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『OZARK/オザークへようこそ』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #22

2022.04.21

『OZARK/オザークへようこそ』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #22

麻薬カルテルもののなかでも異彩を放つ名作、『オザークへようこそ』のファイナルシーズン (シーズン4art.2429日よりNetflixにて配信される。

一般的に麻薬カルテルものといえば、派手な暴力シーンやドンパチを想像するだろう。しかし、オザークにはそれらはあまり登場しない。恐怖は静かにやって来る……

友人と共同経営しているシカゴの会社で、ファイナンシャルプランナーをしているマーティ。私立校に通う娘、息子、そして妻と、多少の衝突はあれど幸せに暮らしていた。

しかし裏では会社で麻薬カルテルの資金洗浄を長年しており、マーティが知らぬ間にビジネスパートナーがカルテルの金を横領していたことが発覚。マーティ以外の者はすべて射殺され、慌てふためいたマーティはとっさに機転を利かせ新しい資金洗浄方法を提案した。

なんとか一命は取り留めたものの、代わりに3カ月で800万ドルの資金洗浄を強要される。一家はシカゴという都会から一転、ミズーリ州オザークというのどかなリゾート地で暮らすことになったのだ。

物語はマーティが寂れたリゾート地オザークで、いかに「資金洗浄していくか?」を中心に進んでゆく。資金洗浄とは、つまりは麻薬で得たお金の出所を隠すために転々とお金を移動させること。マーティはこの地で、経営不振に陥っている会社に投資をし、経営者として関わり、会計を担当し、資金洗浄をしてゆく。ホリデーシーズンには観光客が集まり、現金が飛び交うことから、この場所は使えると考えたのだ。

毎回、マーティの資金洗浄術には意表を突かれる。言葉巧みに次々と口説き落とし、オザークの人々を知らず知らずのうちに資金洗浄に巻き込んでいく。

麻薬カルテルものでも、ひときわホームドラマ色が強いのも本作の魅力。寂れた観光地に連れてこられた家族は心底退屈そうにしていたが、数々の困難に立ち向かっていくうちに、自分たちができることを始めるのだ。

妻ウェンディは、以前政界で働いていたスキルを生かし、地元の不動産業者を上向かせた。そして夫と共に交渉の場へ出向き、夫顔負けの交渉術を披露する。シカゴでは夫に相手にされないがために不倫までしていた退屈な主婦が、麻薬カルテル相手に話を取りまとめる姿は生命力であふれている。

口数が少なく、おとなしい息子ジョナは、ひょんなきっかけで同居することになった余命1年の老人バディになぜか懐いている。銃に興味があり、コンドルを観察……。彼の成長はすさまじいので、ぜひ本編で確認していただきたい。

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