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カジュアルウェア
Life with L.L.Bean
ひとりと一匹、自分をチューニングするデュアルライフ
2022.10.11
「もともと壁はすべて丸太がむき出しで、いかにもログハウスという内観だったんです。もう少しモダンなインテリアにしたくて一部の壁を塗りました。キッチンのタイルも自分で貼ったんです」
通称北軽井沢と呼ばれる群馬県嬬恋にある小さなログハウス。グラフィックデザイナーの佐藤重雄さんは、「建物が2つに分かれているユニークさとサウナが完備されていた」ところが気に入り購入。一部セルフリノベーションして、一棟貸の別荘『LOG』の運営をスタートさせた。管理するのも本人、そして傍らにはいつも愛犬のゴエモン(ゴエちゃん)が。ひとりと一匹、東京と北軽井沢の二拠点生活を送っている。
自然と都会で暮らすことでバランスを取る
「僕が生まれ育ったのは東京の多摩なんですが、団地育ちということもあり、長年おおらかな自然に憧れがありました。ここ北軽井沢は大学教授や文学者たちが集って別荘地として拓いたという歴史があり、文化的な薫りを残しています。また静かで豊かな森に囲まれているところもとても気に入っています」
購入を決めたのはコロナウイルスによるパンデミックに、日本だけでなく世界が混沌としていた2020年秋。東京の自宅をベースとする中学生のひとり息子と妻とも、長期の休みや週末には一緒に訪れ、木々に囲まれながらの暮らしを満喫しているという。
「実は東日本大震災のあと、しばらく東京を離れて長崎県の五島に住んでいました。彼の地は周辺を海に囲まれ、海を中心にすべての生活が営まれています。ここでの生活を経ることで東京生まれ東京育ちの私ですが、“どこでも住めるな”と思えるようになったんです。また息子には、自然は身近な存在であると感じてほしかった。そういう意味でも、海の五島での暮らしと今の二拠点、どちらも大切な経験だと思います。都会にいるだけだとわからないことは多いですよね。自然の中で学ぶこと、都会で学ぶこと。それをバランス良く得られたら……。それは息子だけでなく私自身にも言えることです。今では景色を眺めながらサウナに入ったり、森の中をゴエちゃんと一緒に散歩したりしながら季節によって鳥の鳴き声が変化することを知れたりする。自然からインスピレーションを多くもらっています。環境問題のことを考える機会にもなりますよね」
仕事に生かされる北軽井沢での暮らし
佐藤さんにとっては自然からのインスピレーションが、東京で発信するデザインワークにもいいレスポンスとなっているのだそうだ。さらにはログハウスにやってくるゲストたちとの会話も、デザインワークにひと役買っているという。
「僕にとってデザインとは、心が豊かだなと感じることをグラフィックに落とし込むことだと思っています。こういう自然の中に拠点を持つことで、その風景の中にある人工的でない色彩の美しさをデザインしたいと感じるようになりました。自然って見ていて飽きませんよね。僕もそんな飽きないものを作っていきたいんです。またここに来てくれるお客さんたちとのコミュニケーションが、思わぬところでマーケティングに繋がったりするんですよ。北軽の山小屋のオヤジとしてプレゼンテーションしていますが、それと同時にデザイン力が培われているんですよね」
問/L.L.Bean 0120-00-8540
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Text: Toshie Tanaka(KIMITERASU)