カジュアルウェア
テレワーク時の服装、何を着るのが正解?
だらしなく見えないコーディネートの作り方
2022.10.06(最終更新:2023.09.15)
突如として起こる災害やコロナ禍への対策として、テレワークを実施する企業が増加しています。テレワークを行う際にはオフィスで勤務するときとは違った服装のマナーがあります。今回は、テレワークを行うときに適した服装とはどのようなものなのかを紹介します。
コロナ禍で浸透するテレワーク
「テレワーク」とは、情報通信技術(ICT)を利用して時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方を意味します。Tel(離れて)とWork(働く)という2つの言葉を組み合わせた造語で、本拠地のオフィスとは離れた場所を拠点としてICTを活用しながら仕事をすることです。働き方改革が推進されるなかでコロナ禍の影響も加わり、テレワークの導入を進める企業は増加しています。
通常勤務とテレワークの大きな違いは通勤の有無です。テレワークを推進することで通勤の肉体的、精神的な負担が軽減し、仕事に取り組みやすくなります。また、台風や大雪などの災害時にも従業員の安全性を確保できます。働く場所が自由に選べることで家事や育児、介護と仕事を両立しやすくなります。加えて、コロナ禍の感染対策は企業にとっては見逃せない課題です。感染対策のために三密を避けることが重要視されており、テレワークを推進することで人との接触機会を減らすことにもつながります。
部屋着と仕事着は分けるべき? テレワークにおける服装の悩み
テレワークのなかでも在宅勤務を行う場合は、満員電車に揺られて通勤することがなくなるので、通勤による疲労を抱えずにすみます。往復の通勤時間を別のことをする時間に充てるなど、有効活用することが可能です。一方、在宅勤務はオンとオフの切り替えが難しい、集中力を持続させにくい、勤務時間中にWEB会議があるときにどのような服装をすればよいのか迷う、という悩みを持つ人は少なくありません。出社していたときはスーツ着用が当たり前だった人も、在宅勤務になればスーツを着用する必要に迫られることが少なくなるでしょう。
家で仕事をして誰にも会う予定がなければ、部屋着のまま仕事をしてもよいのではないかと考える人はいるはずです。とはいえ、在宅勤務中にWEB会議に出席する場合もあります。前もって予定されている会議であれば事前に準備できますが、突然会議が行われることになった場合、あまりにラフな服装だと準備が間に合わず慌ててしまいがちです。場合によってはクライアントや上司を待たせることにもなりかねません。そうなれば、相手に対する印象が悪くなってしまいます。いざというときに慌てないためにも、在宅勤務を行うのにふさわしい服装とはどのようなものかを心得ておくことが必要です。
WEB会議で好印象を与える! 在宅勤務のコーディネートのポイント
在宅勤務で仕事をする場合、服装に特に決まりはありませんが、WEB会議に参加するときは、ほかの人に自分がどう映るかは気になるところです。ここからはWEB会議で好印象を与えられるコーディネートのポイントについて紹介します。
部屋着ではなく仕事をするのにふさわしい服装に着替える
テレワークを行ううえで、オンとオフの切り替えがうまくいかないと悩む人は少なくありません。オンとオフを切り替えるためには服装を部屋着から仕事着(ビジネスウエア)に着替えることが効果的です。自分の気持ちを仕事モードに切り替えるだけでなく、家族に対しても今は仕事をする時間であることをアピールできます。テレワークは出勤するときのように時間の区切りが付けにくいものです。
部屋着のままでいると自分の意識のなかでメリハリが付けにくく、スマートフォンに手が伸びてしまうなど、仕事以外のことに時間を使ってしまうケースも少なくありません。出勤しているときよりも休憩時間が多くなり、集中力が低下してしまうこともあるでしょう。服装をきちんとすることで気持ちも仕事に向けることができ、集中力も高められます。また、在宅勤務を行っている際に急な会議が開催されることがないとはいえません。ビジネス用の服装で仕事をしていれば、そのようなシチュエーションになった場合にも慌てず対処できます。落ち着いて仕事をするためにも、服装を整えることはとても大切です。
きちんとしているように見えて楽な服装を選ぶ
自宅で仕事をすることはオフィスに出勤する場合と比べて気持ちのうえでは楽です。しかし、オフィスで仕事することに慣れている人にとっては、慣れない環境下で仕事を行うことによって、かえってストレスになることがあります。服装の選び方によって仕事の効率にも差が表れてきますので、できるだけストレスを感じにくい服装を選ぶことがポイントです。例えば、ストレッチ性のある生地で作られたボトムパンツやウエストにドローコードがあしらわれたパンツなら着心地が良いためストレスを感じにくく、長時間のデスクワークも快適に行うことができるでしょう。
こうした服装はテレワークに適しているだけでなく、仕事が終わった後に、そのまま近場への買い物などにも出かけることができます。こうした仕事着として選ぶ服装は清潔感も大切なので、日々の手入れがしやすいことも重要なポイントになります。シワになりにくく、洗濯機で丸洗いできる素材のものであれば気軽に洗濯もできます。これまで仕事着としてスーツしか持っていない、ほかは部屋着のみしかない人は、テレワーク用の服装をそろえることをすすめます。
きちんと感が出せる襟付きを着用
在宅勤務中にほかの人と対面する機会で多いのはWEB会議です。WEB会議に臨むにあたってほかの人にきちんとした服装をしていることをアピールするには、襟付きの服装を選ぶことがポイントとなります。トップスのなかで最も好印象が与えられるアイテムは、シャツです。前開きで襟がついているため、きちんとした印象になります。ただ、スーツに合わせるドレスシャツはネクタイを締めることを前提に作られているため、ネクタイを締めずに着ると襟が広がってだらしない印象になりがちです。ネクタイを締めないことが基本の在宅勤務では、きちんとした印象がありながらもややカジュアルで、ネクタイがなくても決めやすいデザインを選びましょう。
ボタンダウンシャツや襟の小さいホリゾンタルシャツはおすすめのアイテムです。襟羽根のないスタンドカラーシャツも軽やかな印象でありながらきちんと感が出せます。クールビズで定着したポロシャツも活動的できれいな着こなしができるアイテムです。Tシャツは着心地が楽ですがカジュアルな印象が強いため、WEB会議の際にはジャケットをはおるだけでも印象が違ってきます。
清潔感や清涼感を与えられる色選び
WEB会議では何を着ているかも重要ですが、着ているものの色によって相手への印象は違ってきます。白やブルー、ネイビーなどの定番カラーは清涼感があり失敗しにくい色です。夏場の会議でも、暑苦しさを感じさせません。ところで、WEB会議で画面に映った自分の顔が暗く見えると感じることもあるのではないでしょうか。顔に当たるライトが弱いとこうしたことが起こりやすくなりますが、白っぽい色のトップスを着ることでレフ板と同様の効果を得て、顔の表情を明るく見せることができます。
WEB会議の場合は上半身だけがカメラに映ることが多いので、画面に映った顔が映えるよう、グリーンやイエロー、ピンク、レッド、オレンジといったはっきりした色合いの服装や柄物を選ぶことも効果的です。WEB会議では上半身に視線が集中しがちですので、胴がストライプや色無地で襟やカフスが白無地のクレリックシャツや、襟ぐりが切り替えデザインになっているトップスも見栄えがします。ネッカチーフやポケットチーフなどの小物を上手に使うと、さりげないおしゃれを演出できます。
上にはおるもので表情を変える
普段はシャツやポロシャツ、Tシャツなどで仕事をしていても、WEB会議に参加するときは一枚上にはおるときちんとした感じが出せます。上にはおるものの定番といえばジャケットですが、スーツのジャケットのようなウール素材をTシャツなど合わせると、ミスマッチな印象になりがちです。ストレッチの利いたジャージー素材や、カーディガンに襟がついたようなニット素材のジャケットなど、軽くはおれるものを用意しておけば便利に使えます。
また、オフィスカジュアルの定番であるカーディガンも、在宅勤務においては使いやすく便利なアイテムのひとつです。ジャケット代わりにさっとはおることもできますし、少し肌寒い秋から春まで長く使えます。日々のコーディネートがマンネリ化していると感じている人は、ニットもおすすめです。ジャケットよりも低価格で買いやすいため、何枚か用意しておくと中に着るものとの組み合わせで違った表情を作り出せるでしょう。編み目が細かいハイゲージで薄手のニットなら、シャツと重ね着したときもスマートです。編み目の大きなローゲージはカジュアルな印象になります。
テレワークの服装で活躍するブランド10選
テレワークをするときの服装は、WEB会議が突然行われるときにも慌てないようきちんとしたものであること、それでいて楽に着られることがポイントです。ここからは、テレワークのときに活躍しそうなウエアを展開しているブランド10選の歴史やデザイン性、機能性などの特徴を紹介します。
MACKINTOSH LONDON(マッキントッシュ ロンドン)
「マッキントッシュ ロンドン」は、ブランドの象徴であるゴム引きコートを19世紀から一貫して伝統的な製法で作りつづけている英国の代表的なアウターウエアブランドの「マッキントッシュ」から派生しました。母体であるマッキントッシュは、トレンチコートやダッフルコートなど、英国で伝統的に受け継がれてきたアウターウエアを現代に合うよう再構築して人気を得ています。
マッキントッシュ ロンドンは、その考え方を踏襲しつつアウターウエアを主軸としながらも、日常のさまざまなシーンで活躍するオーセンティックなコレクションをトータルで提案。英国のトラッドテイストはそのままに、シンプルで上質かつファッション性に富んだ幅広いアイテム展開が特徴です。高級ブランドのため手軽に購入できる価格帯とはいえないものの、上質なものを求める人たちから多くの支持を得ています。
CIRCOLO 1901(チルコロ1901)
「チルコロ1901」は、イタリアのバーリを拠点として2009年より始動したブランドです。カジュアルおよびにスポーティーな素材として認識されているスウェット生地を用いたテーラード仕立てのジャケットがイタリアや日本で人気を集めています。
「イージークラシック(Easy-Classic)」をブランドのコンセプトとして掲げているように、リラックスして着られるスウェット生地を用いながらもクラシックな仕立てにこだわっていることが特徴です。生地は実際に触らなければスウェット生地とはわからない、ウールの布帛(ふはく)と見分けがつかないほどの風合いが再現されています。本来スウェット生地を使った衣類はロックミシンをはじめとした特殊なミシンで仕立てますが、チルコロ1901のジャケットはテーラードの基本にのっとった縫製が施されていることも特徴です。
JOHN SMEDLEY(ジョン スメドレー)
「ジョン スメドレー」は、世界で最も高品質なニットウエアを作り出すことを自認し、誇りとしているイギリスのニットウエアブランドです。1784年の創業以来スメドレー一族が経営に携わりつづけており、230年以上にわたって職人の手仕事の技術が脈々と受け継がれてきました。そして、これまで培った伝統と歴史の上に安住することなく、さらに進化しつづけています。製品はすべて英国内の工場でクラフトマンシップに基づいて手作りされていることもブランドのこだわりです。
1枚1枚手触りやディテールにもこだわってデザインされており、着心地の良さにつながっています。ジョン スメドレーのニットウエアは使い捨てにするのではなく、トレンドを超えて長く愛用できるものを作り出すことがブランドのコンセプトです。現代に合う独自の色展開も魅力のひとつといえます。
Drumohr(ドルモア)
「ドルモア」は1773年に創立された世界最古のニットブランドとしても知られているスコットランド生まれの老舗です。2001年に1912年創業のイタリアのニット会社に買い取られたため、現在では拠点をイタリアに移し、ブランドイメージをより活性化しています。ドルモアは商品のカットや手触りなどディテールにこだわりを持つことで、着心地の良さを追求していることが特徴です。
世界で最初にシームレスニットをドルモアが考案してから長い年月を経ても、当初の風合いの良さと着心地の素晴らしさを絶やすことなく維持しつづけています。200年以上培われてきた伝統は最新のコレクションにも受け継がれ、クラシックなテイストを根本的に大切にしながらも現代のトレンドをエッセンスとして注入し、数多くの新たなスタイルを提案しつづけているのです。
GRAN SASSO(グランサッソ)
「グランサッソ」は、1952年にサンテジーディオ・アッラ・ヴィブラータというイタリアの小さい村でディ・ステファノ4兄弟が創業したニットブランドです。創業当時は小さなニット工場だったものの、高品質な製品作りをしていることから1970年にはそのブランド名が全世界にとどろき渡りました。国際的な服飾展示会への積極的な出展を行ったり、国内だけにとどまらず海外の一流ブランドのニット製品を手がけたりするなど事業を拡大していったのです。2002年には広大な敷地に工場やオフィス、ショールームなどを含む本社屋を建設しました。現在は、ステファノ家の2代目が事業を継承しています。
ニットを販売するショップの数は5大陸で約3000にも上っており、名実共にイタリアを代表するニットメーカーです。グランサッソの製品は、すべてのコレクションを通じてブランドロゴや装飾が一切施されていないことが特徴です。それでいてシンプルなデザインでありながらも確かな品質のニットアイテムは、多くの人の心をつかんで離しません。
SUNSPEL(サンスペル)
「サンスペル」の前身であるThomas A Hill Ltdは1860年にイギリスのノッティンガムでアンダーウエアメーカーとして創業しました。1932年に社名をSea Island Textile Ltdに変更し、大恐慌などの世界情勢不安を背景として、国内向け高級アンダーウエアメーカーに路線を変更。1937年にサンスペルに社名を変更しました。アメリカのボクシングの試合を元に、イギリスでのトランクスの販売を開始したブランドでもあります。
2006年には映画『007/カジノ・ロワイヤル』に主演した俳優、ダニエル・クレイグ向けのポロシャツとTシャツを製作したことが話題となりました。アンダーウエアはもちろんのこと、Tシャツやポロシャツなど、コットン素材を主体としたさまざまなアイテムを展開しています。シンプルでありながらも着心地の良さにこだわったアイテムは、豊富な色展開も特徴のひとつです。
SLOANE(スローン)
日本発の「スローン」は、自分たちが着たときに心地良さが感じられるものを提供したいという思いをブランドコンセプトとして作られています。作り手に細かいニュアンスを伝えられるようにするだけで完成度が高くなるという考えのもとに、国内で生産を行っていることが特徴です。ユニセックスで着られることを目指していることもあり、日常使いに重宝しそうなベーシックなアイテム展開になっています。
メリノウールやシルク、カシミヤなど上質な素材にこだわったラインアップは、オフィシャルからカジュアルまでTPOを選ばずに着ることができそうです。ヴィヴィッドなカラーよりも抑えた色合いのアイテムが多いため、幅広い年代・性別の人に合わせやすいコレクションともいえます。
Cellar Door(セラー ドアー)
「セラー ドアー」は、北イタリアのヴェネト州にあるファクトリー、ヴェッタ社の若き3代目であるフィリッポ・ベッタニン氏が初めて発表した自社コレクションのネーミングです。ヴェッタ社は、「HERMÈS」や「TOM FORD」「ZEGNA」といった高級ファッションブランドのパンツの製作を手がけているファクトリーです。これまで手がけてきた数多くの実績、職人によって受け継がれてきた技術、歴史の積み重ねに裏打ちされた製品は、細部までこだわって製作されています。
近年では、「maison KITSUNE」や「THE GIGI」のパンツのサンプルの開発も担当した実績があります。スポーティーでありながら洗練されたデザインにより上品さも兼ね備えたパンツの数々は、大人が街で着用するパンツとしてふさわしいものです。
VIGANO(ヴィガーノ)
「ヴィガーノ」は、1900年代の初めにSartoria Viganoというブランド名で設立されました。すべてテーラーメイドで商品を製作。50~60年代ごろに工業化とパンツに特化した製造を行うことを決定、70~80年代には国外にもその高品質なパンツが紹介されるようになったのです。パンツの専門メーカーとして地位が不動のものとなった後、90年代にはファッション業界で有名な店舗から注目を集めるようになりました。現代においては高い縫製技術と最新のテクノロジーを駆使したブランドとして知られています。
ヴィガーノはオフィススタイルにマッチするウールのパンツはもちろん、素材にナイロンなどを用いたイージーパンツまで幅広く展開。ジャケットにも合う上品でスタイリッシュな見た目とはき心地のよさを兼ね備えていることも特徴です。
PT TORINO(ピーティー トリノ)
「ピィーティー トリノ」は2008年にトリノで誕生しました。数あるブランドのなかではまだ歴史が浅いブランドのひとつです。メンズの衣服においてパンツは最も重要なアイテムであるとするブランドコンセプトに基づき、パンツを専業とするメーカーです。ドレスパンツといえば、それまではクラシックなものしかありませんでしたが、そこに新しい風を吹かせたのがピーティートリノでした。幅広いデザインを採り入れ、それぞれのモデルごとにテーマを持たせ、独自の世界観を演出したのです。
パンツの可能性を広げるとともに、美しいヒップラインと脚長効果にこだわったシルエットを実現しました。時代の流れに沿うモダンで洗練されたパンツのラインアップを提案しています。ブランド名は、創業地であるトリノへの賛辞と究極のパンツづくりをするという信念を込めて名付けられました。
まとめ
在宅勤務をする際には家で仕事をすることが多いため、部屋着のまま仕事をしてしまう人は少なくないでしょう。しかし、部屋着のままではオンとオフの区別が付けにくい、突然WEB会議が開催されたときに服装を整えるのに時間がかかり焦ってしまうというデメリットがあります。オンとオフをしっかり分けるためには、自宅で仕事をする場合でも仕事用の服装に着替えることがポイントです。
襟付きのトップスや着心地の良いジャケットを用意しておけば、突然WEB会議が開催されたとしても慌てずにすみます。仕事用の服装は楽に着られて仕事がしやすいことはもちろん大切ですが、WEB会議に参加した際にきちんとしているように見えるという観点も重視して、適切なアイテムを選びましょう。