接待と手土産
「ポアール・デ・ロワ」のフルーツソルベ
すべて実食!自慢の手土産 #98
2022.09.21
氷菓は、溶けはじめると甘すぎることが多いが、このソルベは、溶けてもごくごくと飲みたくなる甘さ加減を追求。食感も、よくあるシャキシャキ感とは相反する、滑らかな口当たりにとことんこだわったという。もうひとつ大切にしたのが、フルーツの香りを最大限生かすことだ。種類によって香りの立つタイミングが異なるため、いちばん香るときに仕込むために、フルーツはもぎたてを仕入れ、例えば、桃はその日のうちにソルベに。反対にマンゴーや洋梨は、入荷してから少し熟すのを待つ。確かに飲み込んだ後に、鼻の奥に広がるフルーツの香りが秀逸で、まんまと作戦にはまった私は、今も頭からその香りが離れないでいる。
もうひとつ特筆すべきは、辻井シェフの生産者に対するリスペクトだ。以前からフルーツアイスは作ってはいたものの、何か新たなものを生み出せないかと生産者を回るうちに、フルーツ農家の大変さや苦労も知ることになる。丹精込めて作られたフルーツを無駄にせず、余すところなくそして最上の状態で人々に届けたい。思いを共有できる生産者から仕入れて、それを最高においしいソルベに変えて提供しているのだ、オンラインショップには生産者の名前が明かされているフルーツも多く、ソルベを通して作り手までも知ってほしいと考えている。
全国から選りすぐった果実を使い、ひとつひとつ丁寧に仕上げられるソルベからは、日本の四季や土地の豊かさ、農家の人柄まで伝わってくるようだ。菓子作り35年の職人が目覚めたフルーツソルベは、生産者も作り手も、お客も喜ぶ幸せなスイーツなのだ。
ポアール・デ・ロワ
価格/メロン(ホール)1万3176円 ※税込み、送料別。季節や産地により価格が変動する。
https://poire.jp/
Edit & Text:Yuka Kumano