週末の過ごし方
『若き光の拡散/PRISMA』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #35
2022.11.10
イタリアから、淡く切ない青春ドラマが届いた。各話色のタイトルがつけられ、思春期のあどけない恋愛模様や、アイデンティティーの確立、将来について、何色にでも変わることができる思春期の揺れ動く感情と葛藤を描いた。何度となく写り込む太陽の光、決して急ぐことなく、ゆっくりと流れる物語。
ローマから南東へ車で1時間と少し、ティレニア海からほど近い美しい街、ラティーナに住む双子の兄弟マルコとアンドレア。見た目は同じでも性格は微妙に違う。マルコは両親の期待に応えなければというプレッシャーに耐えながらも、水泳を続けている。内気な性格で、自分の気持ちを正直に伝えることが苦手だ。不器用がゆえに抱えきれなくなったストレスは、ふとした拍子に爆発してしまうこともあった。
アンドレアは秘密を抱えている。とある目的のため、大麻を売って貯金している。ある日、学校の先生に見つかり留年し、マルコと学年が離れてしまった。「誰も私を知らない」というSNSアカウントを作り、友人たちには内緒で、“なりたい自分”を投稿している。
思春期といえば、誰もが正体不明の不安に悩まされていたことを思い出すだろう。ちいさな出来事で、最高の一日にも、最低の一日にもなる。周りを見渡せば、将来の夢が明確な者や、自身のアイデンティティーを確立している者も増えてくる。そんななか、どうしたら“なりたい自分”になれるのか模索する。
果たしてそれは、思春期特有のものなのだろうか? 青春ドラマに惹(ひ)かれてしまうのは、大人になってもその自問自答が続くからではないだろうか?