週末の過ごし方
『THE GREAT~エカチェリーナの時々真実の物語~』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #39
2023.01.12
ロマノフ朝の女帝エカチェリーナ2世には、興味深いさまざまな逸話がある。もちろんロシア史上もっとも長い34年もの間、皇帝として君臨し、啓蒙専制君主として18世紀後半のロシア帝国の近代化を推し進めた偉大な女帝であることに変わりはない。が、一方で愛人が多数いただとか、馬とセックスしただとか、夫の暗殺を命じただとか、悪女と言われることもちらほら……。
そんなエカチェリーナ2世を描いた歴史ドラマ『THE GREAT』。歴史ドラマといえば、忠実に再現されることを求められがちだが、このドラマは「たまに史実に基づく」と注釈が入るように、大筋の歴史の変化こそ真実ではあるものの、大半がかなりのブラックユーモアで描かれたフィクションである。
王族ドラマとは思えないほど下品な言葉が炸裂し、舞台はロシアだというのに、なぜか登場人物はみな、英語で会話している。そしてエンディングには、毎回違うパンクやロックミュージックで締めくくられ、なんだかとっ散らかっているようにも思えるが、これがまたなんとも痛快!
皇帝ピョートル3世の妃候補として、ドイツからロシアに渡ったエカチェリーナ。貧乏貴族の娘エカチェリーナは、華やかな世界を期待し、夢と希望にあふれていた。しかし一歩その地に足を踏み入れてみると、想像とはかけ離れた世界が……。
出合いがしらから趣味の悪いジョークをお見舞いされ、皇帝とは名ばかりの愚行の数々。隙あらば愛人と性生活を楽しみ、まったく女性に対するリスペクトを感じられない。酒を浴びるように飲み、「ハラショー!」と叫んではグラスを割りまくる毎日。ピョートルだけならまだしも、周りを見渡せば教養もない、モラルもない。このままではこの国は滅びてしまう!と危惧したエカチェリーナは、大胆にもある計画の実行を決意するのであった……。