週末の過ごし方

米ツアー参戦! 勝みなみに高まる期待感
すさまじい心技体に「きっと世界を驚かせる」の声。

2023.02.17

2023年の女子プロゴルフが動きだした。既に米女子ツアーは開幕し、過去2年間の優勝者だけが出場できる初戦のヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズでは、日本人選手3人がプレー。結果は畑岡奈紗5位、笹生優花6位、古江彩佳18位だった。

今月23日からは、同ツアー今季第2戦のホンダLPGAタイランドが開催される。この3人に加え、昨季から米ツアーを主戦場にしている渋野日向子、さらには主催者推薦で、20歳双子姉妹の岩井明愛、岩井千怜が出場予定。昨年8月、日本人として37年ぶりに全米女子アマチュア選手権を制した馬場咲希(代々木高2年)もエントリーしている。

昨年12月の米ツアー最終予選会(QT)を5位で突破した勝 みなみは、3月23日初日の第4戦・ドライブ・オン選手権からのツアー参戦となる。理由は国内ツアーで3試合の出場を優先したためだ。開幕戦のダイキンオーキッドレディスに続く第2戦の明治安田生命レディス(3月9日~12日)は、所属先の冠大会。第3戦のTポイント×ENEOS(同17日~19日)は、地元鹿児島での開催だ。会場の鹿児島高牧CCはジュニア時代の練習拠点で、ファンや関係者も勝のプレーを楽しみにしている。

大会後はすぐに渡米し、試合に臨むあわただしさ。そのまま、母親の久美さんと2人だけでの転戦となるが、国内女子ゴルフ関係者の間では「彼女なら早い段階で優勝し、きっと世界を驚かせる」といった声が高まっている。

理由は勝の心技体だ。まずは体だが、コロナ禍をきっかけに2020年から取り組みはじめた週3回のトレーニングで、優れたフィジカルを手にした。2017年のプロデビュー当時から比べると、明らかに体つきが変わり、ショットが力強くなった。ドライビングディスタンスは、242・94ヤード(17年)から253.21ヤード(22年)にアップ。約11ヤードだが、2連覇を達成した昨年の日本女子オープン最終日では、17番パー4(421ヤード)でアゲインストのなか約260ヤードのドライバーショットを放った。そして、第2打を7番アイアンでピン横2メートルにつけ、勝利を決定づけるバーディーを奪った。ほかの選手が、第2打をウッドやユーティリティーで打つ状況で、全体のパーオン率は18.8525%。勝のパワーが際立ったシーンだった。

メンタルも強い。好不調はあるものの、ひどく落ち込むことがなく、切り替えが早い。プロテスト後からメンタルトレーニングを受けはじめ、ボギーの後に「バーディーを獲らなければ」という焦りがなくなり、「今、この時間をどれだけ楽しめるか」と考えられるようになったという。練習ラウンドでも試合でも、アプローチがうまくいかない場合は考えすぎず、「次はここに打たなければいい」と思える。だからこそ、勝はオーバーパーを打った翌日に、60台前半のビッグスコアをマークできるのだ。

技に関しては、修正能力が際立っている。選手の入れ替わりの激しい国内ツアーでは、コーチへの依存度が大きく、自己修正ができないプロも少なくない。しかし、勝はプロテスト合格前からコーチを付けず、練習の積み重ねでスキルアップしており、自分の感覚が全て。だからこそ、ラウンド中にも思い切ったことができる。

やはり、昨年の日本女子オープンでのこと。勝は第2日を19位で終えた後、「途中でインサイドアウトが足りないことに気付きました。それを意識して、振るようにしたらドライバーが真っすぐにいきました」と明かした。自力で「良い感覚」を取り戻した勝は、高速グリーンにも順応して第3日は3位に浮上。首位に3打差から出た最終日は、全体のベストスコア68をマークし、鮮やかな逆転優勝を飾っている。

異国の地でも既に力を発揮している。昨季の国内ツアー最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ最終日を終え、翌日に渡米。十分な準備期間がないなか、8ラウンドの長丁場で順位を上げていった。さらに言えば、米国には日本とは違う芝質のコースが多く、西海岸地域では、グリーン上で不規則な転がりを生むポアナ芝も目にする。これには渋野も苦しめられてきたが、勝のマインドと能力なら、あらゆる困難も乗り越えていく。そんな期待を抱いてしまう。

問題の英語力について、勝は「全然できなくて」と公言しているが、そばには元小学校教員で娘の将来に向けて英会話を学んできた久美さんがいる。かつてとは違い、米ツアーには日本人選手も多くなった。同期の畑岡、渋野もいる。語学はできたに越したことはないが、勝がすぐに輝ける可能性は十分にある。

>>ピリピリから相互リスペクトに……、20年間で激変した国内女子ゴルフツアーの雰囲気。

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