週末の過ごし方
『イージー』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #43
2023.03.16
恋愛の価値観は人それぞれ。パートナーとの関係が多様化し、海外ドラマにおける恋愛模様もさまざまなリレーションシップが描かれるようになった。
Netflixにて配信中の『イージー』は、シカゴを舞台に多様化する現代人の悩みを描いたオムニバスコメディードラマ。そのなかでも興味深かったのは、オープンマリッジ(お互い合意の上で、パートナー以外との性的な関係を認めている)という選択をした夫婦の物語。
ことの発端は、友人のたわいもない世間話から始まる。「性別の規範的な役割を果たすカップルはセックスの回数が多い」と記事で読んだというのだ。性別の規範的な役割とは、男性が稼ぎ、女性は家庭を守るという前時代的なもの。この夫婦は、男性が収入の不安定な仕事をしていることもあり、妻が働き、夫が家事や子育てをしている状況だった。そんないささか空気の読めない友人の話から妻は「そういえば私たち、完全に情熱を失っている!?」と、ふたりの関係について考えるようになってしまう。
夫婦の関係性は、どちらかが不満を抱えつづけていればやがて壊れてしまう。お互い話し合い、妻の提案で、オープンマリッジという選択をしたのだ。もちろんそれは、より良い夫婦生活にするという目的あってのこと。お互いを尊重し、愛しているという前提で夫婦は相手探しに奮闘する。
関係を持った相手のことを話す? 話さない? 公表する? しない? お互いにルールを探りながらは始めてみたものの……。
ふたりの絶えない衝突が、とにかくリアルで、視聴者は、夫婦の悪いところを幾度となく見つけてしまうがゆえに、「こうやって人はすれ違っていく」を目の当たりにするのだ。
しかしこれは、ふたりの本当の気持ちを知っている視聴者の特権。現実ではこうはいかない。「あのとき……」と、ふと過去の恋愛を思い出してしまうかも?