週末の過ごし方

今季女子ゴルフツアーは下剋上……
低迷プロの復活、浮上が相次ぐ理由。

2023.05.10

今季女子ゴルフツアーは下剋上……<br>低迷プロの復活、浮上が相次ぐ理由。
優勝トロフィーを手に笑顔を見せる吉田優利 写真:スポニチ/アフロ

2023年国内女子ゴルフツアーの第10戦、今季メジャー初戦のワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ(茨城GC西C)は5月7日、吉田優利(エプソン)の優勝で幕を閉じた。2年ぶりのツアー3勝目でメジャー大会は初制覇。実力者が本領を発揮した形だが、ほかの9戦では初優勝が4人、昨季未勝利の復活優勝は吉田、穴井(2勝)、申の3人だ。昨季優勝者では山下美夢有と青木瀬令奈が各1勝。同メルセデス・ランキング(MR)上位10人のうち、勝利したのは山下(1位)と吉田(6位)だけだ。勝みなみ(4位)、西村優菜(5位)が米ツアーを主戦場にしたこともあるが、稲見萌寧(3位)、西郷真央(2位)らは苦戦。この現象の理由を分析する。

今季国内女子ツアーは文字どおり、“下剋上”の展開になっている。9戦終了時のMR上位10人を見ると一目瞭然だ。

(1) 申 ジエ 1勝(22年16位)
(2) 穴井 詩 2勝(22年48位)
(3) 吉田優利1勝(22年6位)
(4) 山下美夢有 1勝(22年1位)
(5) 上田桃子(22年12位)
(6) ささきしょうこ(22年38位)
(7) 吉本ひかる 1勝(22年68位)
(8) 岩井明愛 1勝(22年40位)
(9) 岩井千怜(22年18位)
(10) 小祝さくら(22年7位)

昨季MR1位(年間女王)の山下は、第6戦の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで優勝。予選落ちは1試合もなく、さすがの安定感を示している。だが、優勝争いに絡んだのは計3試合。現状、昨季のような「抜けた存在」ではなくなっている。

昨季MR2位の西郷真央は6試合出場でトップ10入り1度、予選落ち1度、棄権1度でMR52位だ。昨季は序盤10試合で5勝を飾ったが、シーズン最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップでは、ドライバーイップスでスコアを大きく崩した。オフの間に調整して最悪の状態は脱しているが、昨季と今季のデータを比較すると、ドライビングディスタンス243.63ヤード→234.53ヤード、フェアウェーキープ率68.1818%→57.5893%。完全復調には至っていない証しだ。

昨季MR3位の稲見萌寧は、第1戦ダイキンオーキッドレディスで2位、第3戦Tポイント×ENEOSは3位と好調だったが、第5戦のヤマハレディースオープン葛城からは、3試合で予選落ち、1試合で棄権。その間の第7戦KKT杯バンテリンレディスは、新型コロナウイルス感染で欠場した。復帰試合となったパナソニックオープンレディースの前には、「1 週間ショットを打たなかったのは(ゴルフ)人生で初めてだったので、大丈夫かなと心配していましたが、『意外と打てるもんだな』という感じでした」と話していた。

クラブを握れないことは、シーズンオフも練習を休まない稲見にとっては緊急事態。加えて第6戦の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンからスイング改造をしていることを明かし、「それがちょっとずつ、できたりできなかったりはあるんですけど、できたときに『結構いい球打てているな』という感触とかは、ちょこちょこ持てているので、前とは違う感覚ですけどおニューな感じで(笑)」と言った。だが、改造後に結果は出ていない。

ゴルフは感覚のスポーツ。どんな実力者でも、「いい感覚」を長く維持することは難しい。そのため、スイングを改造して再びそれつかんだり、「新たな感覚」を求めたりもする。逆に苦しんでいたプロが、試行錯誤するなかで「手応え」をつかみ、瞬く間に復活や浮上するケースがある。今季でいえば、穴井、申、初優勝を飾った24歳の吉本、27歳の山内日菜子がそれにあたる。そして、ツアー全体がレベルアップし、力が伯仲。優勝経験のある50代プロは言った。

「今はインターネットが普及していて、スマホですぐに参考になるスイング動画を見られます。映像やデータを集めて、強化ポイントを分析することもできます。かつてはスランプになって、そのまま消えるプロが少なくなかったのですが、復活や浮上するプロが増えてきたことは喜ばしいです」

一方、ネットで情報が過多になり、混乱して調子を崩すプロも少なくない。トッププロさえも陥る「沼」だが、今季も11月末まで戦いが続く。群雄割拠の時代、最後に笑うプロは誰なのかを想像しつつ、今週末の結果を待ちたい。

>>進化しつづける女子ゴルフの20歳の岩井ツインズ、夢の姉妹優勝争いに現実味。

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