特別インタビュー

リモワCEOが語る、過去を知り未来を開く創業125年の現在地。

2023.06.01

リモワCEOが語る、過去を知り未来を開く創業125年の現在地。

1898年にドイツで誕生したリモワ(RIMOWA)は今年、ブランドの文化的、技術的な発展を振り返るエキシビション「SEIT 1898」を開催する。エキシビションは6月に東京・原宿でスタートし、その後ニューヨークとケルンを巡回。リモワのアーカイブコレクションのほか、貴重な個人所有のケース、映画やドラマに登場する象徴的なピースなどを展示する。リモワの豊かな歴史と文化的意義に触れることができるまたとないチャンスだ。

振り返れば、この数年間の世界的パンデミックは、“旅は人生に欠かせないものである”という想いを再認識させた。リモワのCEO、ユーグ・ボネット・マシンバート(Hugues Bonnet-Masimbert)氏もまた、「パンデミックは、旅行とは何かということについて人々に問いかけ、それぞれが旅について再定義しました。これまでよりも、より目的を持った移動が求められるようになったのです」と語る。リモワはパンデミックの間も、豊富な製品ラインアップ、革新、職人技のノウハウを生かし、新しい商品を発表し続けた。旅行需要が戻ってきた今、多くの国において、パンデミック以前のレベルをはるかに超える結果を残している。

リモワの強みは、やはり歴史そのものだろう。「リモワの中心には芸術的なエンジニアリングがあります。伝統を大切にしながらも、時代超越したデザインで仕上げ、さらに目の肥えた旅行者を満足させられる機能も持ち合わせています。革新への努力を惜しまなかったことが製品を作り上げてこられた要因です。私たちは125年間、そうあり続けてきました」。その結果、コンシューマーはリモワを旅の相棒とすることに誇りを持ったと言える。新たなファンから何十年も愛用している人、信頼を求めるビジネストラベラー、流行やファッションに敏感な若者まで、あらゆるタイプのコンシューマーに愛されている。

常に旅人のニーズに応え、進化を続けるリモワは、新しいサービスやプロジェクトにも積極的だ。今年、スーツケースの再利用、修理、リサイクルに焦点を当て、リモワのアルミニウム製スーツケースに新たな命を吹き込むプログラム「RE-CRAFTED」をスタートした。また、アーティストとの協業や著名デザイナーとのコラボレーションも活発で、ときには“ストリート”へもリーチする。「私たちは常に、私たちを取り巻く世界からインスピレーションを受け、常に革新的な努力を続けています。コラボレーションとは、進化し、自分たちの限界を超え、あらゆる困難に打ち勝つための素晴らしい機会だととらえています」。

マシンバート氏は、最後にこう締め括った。「リモワが誕生した当初から、私たちは心のこもったモビリティツールを作ることに専念してきました。物作りにおいて、長く使えることを念頭に置いています。このレガシーを継承するために、クラフツマンシップ、革新性、機能性、そしてタイムレス性を追求してきました。これらの信念は、今も変わらずブランドの指針となっており、この先、年月が経とうとも、この遺産を守り続けていくつもりです。2022年に始まった学生コンペティション『RIMOWA Design Prize』もまた、ブランドの信念に基づいています。モビリティをテーマとするこの取り組みは、次世代のデザイナーを応援し、素晴らしい新しいデザインをサポートするもの。私たちは、レガシーを守りながらも、未来につなげる活動を積極的に行っていきます」。

Text:Yuki Koike(VINYL)

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