接待と手土産
「ラ・ベルドゥジュール」のパテとフラン
すべて実食! 自慢の手土産 #109
2023.06.29
6月始動! 伝説のシェフの思いが詰まったオードブル
今とっておきのギフトはあるかと問われたら、迷わず「ラ・ベルドゥジュール」の「鴨とフォワグラのパテ」と「フォアグラと鶏レバーのフラン」と答えるだろう。味にうるさいグルマンにも、渾身のワインラバーにも、迷うことなく贈ることができる、ホームパーティーでは一躍主役に躍り出るであろう上質なオードブルだ。
ラ・ベルドゥジュールと聞いて、その名に思い当たる人も多いであろう。オーナーシェフの深津泰弘さんが腕を振るっていた白山のフレンチの名店である。シェフが50歳を迎えた2005年に、当時まだ幼かった子どもとの時間を大切にするため、また次なる夢をかなえるために閉じた伝説のレストランだ。以来、飲食業界でのプロデュース業やコンサルティング業に活動の場を移すとともに、自然に恵まれた環境の中で子どもと過ごせるように、八ヶ岳に別荘を構えた。
別荘の周囲の人たちと交流する中で、特段シェフだと名乗ることもなく、自家製オードブルを振る舞ったりしていたが、食通やワイン愛好家の多い別荘族が放っておくわけがない。瞬く間に評判になり、ぜひ分けてほしいという声に押されて、この6月に満を持して商品化に踏み切った。
こだわりは「レストランクオリティ」。よく聞くコンセプトと思うなかれ、食べた瞬間に深津シェフの本気度が伺える。保存に人一倍気を遣う商品にも関わらず、冷凍や真空パックという手段は選ばなかった。その一方で、“菌”との戦いを制するために幾度も試作を重ね、1年を費やしてやっと完成に漕ぎ着けた。
高級レストラン同様の食材を手に入れ、熟練シェフの技を小さな瓶に詰める。例えばフォアグラと鶏レバーのフランは、ぜいたくに使ったフランス産のフォアグラの濃厚な味わい。しかもどこまでも滑らかで雑味がまったくない。ただ、フォアグラ一辺倒では飽きてしまうと、3層構造にしている。一番下は鶏レバーとフォアグラを合わせた濃厚なムース。その上に軽やかな鶏レバーのムースを載せ、一番上はポートワインとフォン・ド・ヴォーで作ったジェリーで覆う。美しさに一瞬ためらうも、スプーンを入れると中から薄ピンクのムースが現れる。そして、ひと口含むだけで、自宅がレストランと化すのだ。
私は10枚切りの食パンをこんがりとトーストして、その上にたっぷりと載せていただく。ワインとの相性は言わずもがな。パテはパテで、フォアグラと鴨がよい具合に存在感を競い合い、洋酒漬けの干しイチジクやピスタチオがアクセントを添える。レストランで提供するひと皿を、このひと瓶に凝縮したそうだ。
白山時代にテレビ番組『料理の鉄人』にも出演し、アイアンシェフに勝利したことでも有名だが、私にとっては、王道であり正統派のフランス料理が楽しめる大好きなレストランだった。それが時を経て、深津シェフの感動もののオードブルが、自宅でも楽しめるようになるとは、感慨もひとしおだ。しばらくはこれ一本でいこうと思うくらい、味のわかる人にこそ贈りたいギフトだ。
ラ・ベルドゥジュール
東京都国立市富士見台1-26-14
営業時間・定休日/オンライン販売のみ
価格/鴨とフォワグラのパテ4290円、フォアグラと鶏レバーのフラン仕立4290円 ※税込み・送料別
問/042-502-8025
https://lbd-jour.studio.site/