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『Lの世界 ジェネレーションQ』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #52

2023.07.20

『Lの世界 ジェネレーションQ』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #52

アメリカのテレビドラマ史上初、LGBTQ+のLである“レズビアン”の恋愛事情を本格的に描いたドラマ『Lの世界』をご存じだろうか?

『Lの世界』が放送された2004年から2009年のころは、いまのようにマイノリティの恋愛事情を知る機会は格段に少なかった。養子縁組や性転換、カミングアウトすることによって起きる差別、レズビアンならではの性・恋愛事情、同性婚など、レズビアンである監督と脚本家がリアルに描き、日本でも多くのファンを獲得した。

あれから時代も変わり、ドラマでも多様性が描かれることが当たり前になった今、再び10年の時を経て続編『Lの世界 ジェネレーションQ』が配信された。

ジェネレーションQのQとは、「クエスチョニング」や「クィア」を意味するもの。性自認や性的思考が定まっていない人や、意図的に定めていないセクシャリティを指すQを付けたのには大きな意味があり、続編ではレズビアンだけではなく、さまざまなセクシャルマイノリティを描いている。

オリジナルメンバーのベット、アリス、シェーンを中心に、Z世代のマイノリティも新たに加わり、過去作を観ていなくても十分楽しめる作品となっている。

あの悲しい出来事から10年、舞台はロサンゼルスのウエストハリウッドから、シルバーレイクへ。ベットはパートナーとは離婚し、娘アンジーと2人で暮らしている。アートディレクターをしながらも、ある目的のためにロサンゼルス市長選に立候補し、日々選挙活動に励んでいる。

アリスはトークショーのMCを務め、クィアの世界を発信しつつ、プライベートでは恋人の子どもとの関係、元妻との関係に悩みながら日々奮闘している。

そこへ、世界各地でヘアサロンを展開していたシェーンが、悲しみを抱えて、町に戻ってきた。

Lの世界の魅力は、なにより“リアル”であること。どんなセクシャリティでも、恋愛や人生の悩みはみな同じ。登場人物が多いだけに、世代も、社会的立場も違う多種多様な恋愛模様を知ることができ、誰もが誰かに感情移入できるはず。特に、自分のセクシャリティや恋愛のスタイルが定まらず悩んでいる人は、一度『Lの世界』をのぞいてみてほしい。「もしかしたら……?」と、新しい自分を見いだせるかもしれない。

恋愛だけではなく、同性婚ならではのさまざまな問題を知れるのも『Lの世界』ならでは。

ベットとティナの娘アンジーは、精子ドナーによって授かった子ども。ふたりの母親とは違う肌の色をしていることから、思春期を迎え自身のルーツに興味を持ちはじめ、母親たちには内緒で父親を探すことに……。

共通して言えるのは、登場人物がみな全力で自由に恋愛をし、全力で人生を謳歌(おうか)しているということ。たとえ何かにぶつかったとしても、仲間たちと助け合い、解決に向かって手を取り合う。その姿が、観ているこちら側にも大きな救いになり、パワーをもらえる。完璧な人なんていないんだ、みんな違って当たり前、自分を愛することを忘れずに……。そんなメッセージを私たちに届けてくれる。

『Lの世界 ジェネレーションQ』シーズン1〜3(完結)は、Huluプレミアにて独占配信中。前作『Lの世界』もHuluプレミアにて全シーズン配信しているので、気になった方はぜひ。

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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