接待と手土産
「マウシム」のクラフトジン
すべて実食! 自慢の手土産 #117
2023.09.14
カンボジアで日本人が造る、世界最高レベルのジン。
近年めざましい盛り上がりを見せるクラフトジン。素材や製法に縛りが少なく、ウオッカや焼酎もベースにできるなど自由度が高いため、個性豊かなジンが生まれやすいことも、ブームの一因だろう。
多彩なクラフトジンのなかで、ぜひ手土産にお薦めしたいのが、カンボジア生まれの「MAWSIM GIN(マウシム ジン)」だ。カンボジアで造られていると聞くだけで、興味が湧いてくる。4種類の柑橘とマンゴーなどのトロピカルフルーツをそのまま凝縮した「トロピカルシトラス」と、生のコショウや野生のカルダモンなどによる濃密な香りと刺激的な後味の「スパイス&ハーブ」の2種類があり、どちらも東京下町の職人に特別注文したクールなブルーグリーンのケルデル瓶に詰められている。
ボタニカルをどう配合するかがジンの個性の決め手となるのだが、使うのは自分たちがほれ込んだカンボジアのスパイスやハーブのみ。特に青々とした生コショウの実は世界一とも称されるが、マウシムはさらに上を行く。自然豊かなモンドルキリ州で100%有機農法によって栽培され、収穫から出荷まですべて人の手で行った貴重品だ。ほかにも山地に自生するカルダモンなどのスパイス、バッタンバンオレンジやコブミカンなどのみずみずしい柑橘類、マンゴー、パッションフルーツなど熱帯のフルーツもふんだんに使って、自社の蒸留所で最高のジンに仕上げている。
レシピは、製造元サンウエスパの代表を務める原 有匡さんが自らプロデュースしているが、クオリティーはすでに世界レベル。2023年2月にイギリスで行われた「WORLD GIN AWARDS 2023」で、トロピカルシトラスが世界1位に選ばれるという快挙に続き、3月に同国で行われた世界3大酒類品評会「IWSC 2023」では、トロピカルシトラスが金賞、スパイス&ハーブが銅賞を受賞した。
グラスに注ぐと、まずは香りの豊かさに驚かされる。アワードの審査員をうならせた複雑な香りだ。口に含むと、片やハーブと柑橘類の爽快さが鼻腔をくすぐり、もうひとつはフレッシュさを残しつつも、重層感のあるテクスチャーを感じさせる。いずれもジンらしいわずかな苦みと甘みを舌に残す。
生まれたきっかけがまたユニークだ。サンウエスパは、もともと古紙からバイオエタノールを製造する技術を持っていて、カンボジアで水草のホテイアオイからエタノールを製造する国際協力事業に取り組んでいた。東南アジア最大の湖、トンレサップ湖にホテイアオイが異常繁殖し、人々の生活を脅かしていたのだ。原さんは、そのバイオエタノールに、ボタニカルの宝庫カンボジアのスパイスやハーブを加えてジンにすることを思い付いた。エタノールは飲料用にすれば、燃料用の100倍以上の価値になるという。
サステイナビリティの点からも注目されるマウシムのジンだが、むしろ純粋に味わいを楽しんでほしいと、現地では、蒸留所におしゃれなバーも併設している。クオリティーでは世界をリードし、持続可能な世界にも貢献する、そんなストーリーを持ったジンは、味にうるさい美食家や、うんちく好きの酒愛好家はもちろん、この爽やかな香りは女性にも好まれるはずだ。
株式会社サンウエスパ
岐阜県岐阜市岩田西3-429
価格/トロピカルシトラス500㎖ 6900円、スパイス&ハーブ500㎖ 6900円 ※税込み・送料別
問/058-241-8077
https://mawsim.shop/