週末の過ごし方

食通待望の「白いダイヤモンド」が日本上陸!
イタリア食文化の伝道師が創る魅惑の一皿で。

2023.11.13

食通待望の「白いダイヤモンド」が日本上陸!<br>イタリア食文化の伝道師が創る魅惑の一皿で。
実際に白トリュフ狩りを体験したシェフが、現地で直感的に閃いたという一皿。雲丹と松茸、そして白トリュフが織りなす美味に衝撃を受けるはず。

今年9月、イタリア北部ピエモンテ州アルバ地方の白トリュフ狩りが解禁となった。イタリアにおける白トリュフ狩りはユネスコの世界無形文化遺産となっているため、毎年、定められた期間以外の狩りは禁じられている。

解禁に伴い、今年も銀座「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のエグゼクティブシェフであるルカ・ファンティンとそのチームが創作した白トリュフ・メニューが11月より期間限定でスタートする。

例年と異なるのは、ファンティン自身がアルバ地方へ出向き、トリュフ・ハンターと共に森の奥へ入り、自らの手で白トリュフを掘り起こすという異例の機会に恵まれたことだ。なぜ、異例なのかと言えば、一度、白トリュフが採れた場所には約8割の確率で再び白トリュフが育つと言われていることから、ハンターがその区域を他人に口外することはまずあり得ないからだ。

トリュフ探し
白トリュフの争奪戦は、まさに「仁義なき戦い」。多くのハンターたちが、採取場所を家族にも口外しないと言う。

これまでもアルバを訪れる機会はあったが、白トリュフ狩りははじめだというファンティン。

「トリュフ犬のルーナとパリスの後を追い、森の奥へと入って行く。やがて鼻を効かせたルーナが立ち止まる。その木の根元をハンター歴41年のシルヴァーノが吟味する。彼のOKとともに白トリュフを傷つけないよう細心の注意を払って土を掘り起こす。徐々にその姿を見せる白トリュフ……。それは私にとって非常にエキサイティングな出来事だった」と語る。

  • 箱詰めトリュフ
    掘りおこした白トリュフを水洗いし、きな粉のような土砂(産地と成分は秘密!)で覆い5度に保たれた倉庫で管理。
  • ファンティン
    湿気を十分に取り除いたのちに、刷毛を使って丁寧に土砂を払い落とす。ひび割れやカビが無いかも入念にチェック。

11月にスタートする白トリュフ・メニューの構想はある程度決まっていたが、アルバ地方を訪れ、ハンターやトリュフ犬と共に森へ入り、その土や空気を肌で感じることでさらなるひらめきを得ることができたと、ファンティンは続ける。

ハンティングの同行をオーガナイズした地元のディストリビューター曰く、彼らが扱う白トリュフの中でも最高級の粒は全て日本へ送られるとのこと。それは日本の消費者が白トリュフの価値を最も理解しているからだそう。そして、その背景には、イタリア食文化の大使的役割を担うファンティンのようなイタリア人シェフが日本で活躍しているからだ、と続ける。高級ダイニングスポットが競い合う銀座で、14年以上もの長い間トップを走り続け、イタリアの食文化を通じて日伊両国間に強い信頼関係を築いてきたファンティンへの敬意の表れとして今回のハンティング同行が実現したのだろう。

  • 白トリュフ
    ファンティンが丁寧に作業し、選び抜いた白トリュフ。
  • 調理風景
    ハイシーズンには、週に2回ほど店に白トリュフが届く。

同行中のインタビューでファンティンは白トリュフついて次のように話してくれた。

「白トリュフの魅力はなんと言ってもその芳醇な香りにあります。それを手に取った瞬間、秋の森を連想させる濃厚な樹木の香りがあたりに立ち込め、様々なインスピレーションを与え、料理人の創造力を刺激する。白トリュフは食材の枠を超えた不思議な力を持っています。料理にとって季節性は非常に大切なものですが、おそらく白トリュフほどイタリアの秋の妙味をストレートに表現する食材は他に存在しないと思います」

  • イタリア北部ピエモンテ州
    イタリア北部ピエモンテ州に位置するアルバ。中世のムード漂う街並みが、旅人を迎える。
  • ショーケース
    街のメイン通りには、多くのトリュフ専門店が店を構える。ディスプレイ方法も独特だ。

イタリアには、黒トリュフ、サマー・トリュフ、オータム・トリュフなど、様々な種類が存在するが、その中で「白いダイヤモンド」の異名を持つ白トリュフはトップに君臨する。

記述を辿れば紀元前まで遡ることのできる白トリュフ。古代ローマ時代、中世、ルネッサンス期と、それそれの時代で、希少価値の高い珍味として、あるいは魔力を持つ不思議な食材として、そして、時には強壮作用のある食物として扱われてきた。

やがて18世紀に入ると、当時、ピエモンテ地方を統治し、後の王族となるサボイア家によって白トリュフ狩りは広く知られるようになっていく。犬を連れ立った白トリュフ探しは当時の貴族の間で上品な遊びとして流行した。

自家製ラビオリ
自家製ラビオリを使ったカチョエペペ(チーズと胡椒をあえるパスタ料理)。もちろん、仕上げは白トリュフをぜいたくに。

毎年、10月から12月まで開催される「アルバ白トリュフ国際見本市」は今年で第93回目を迎える。期間中は白トリュフに関連する様々なイベントが行われ、極上の白トリュフを求める食通たちが世界中からアルバを目指してやってくる。11月に行われた昨年の世界オークションでは700gの白トリュフが香港の実業家によって184,000ユーロ (3,000万円)で落札されたそうだ。いつの時代においても、白トリュフは世界中の食通を魅了して止まない最高峰に君臨する食材なのである。

シェフ

ルカ・ファンティン
ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティンのエグゼクティブシェフ。2009 年より日本でイタリア料理を進化させつづける。2015 年には日本産食材を使い作り上げたイタリア料理のレシピ本『La Cucina di Luca Fantin』(アソリーヌ出版)を発表。「ミシュラン」一ツ星 (2011 年以降12年連続)、「ガンベロロッソ」最高評価3フォークスを2016 年~2023 年に毎年受賞(20202021年はコロナ禍で休止のため除く)、「The 50 Best Italian Restaurants in the World 202439 位(2022 年)など受賞歴多数。

ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン
お問合せ:03-6362-0555
予約専用:03-6362-1270 受付時間:11:00-17:00
オンライン予約:https://www.tablecheck.com/ja/shops/bulgari-il-ristorante-tokyo/reserve

Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Yukie Muramoto(ATTICO Inc)

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