週末の過ごし方

餃子発祥の店『萬里』へ、レッツ“Gyo”!
マッチと町中華。【第6回】

2023.11.14

餃子発祥の店『萬里』へ、レッツ“Gyo”!<br>マッチと町中華。【第6回】
汗をかきながらサンマーメンを堪能。「ほかの麺料理にはない、この感じがすっごく爽快!」。汗もしたたるいい男!

本誌の名物連載として話題沸騰中の「マッチと町中華」。あの町、この町の味アリな中華店をめぐりながら、マッチがラーメンをすすり、ときにはビールを飲みながら餃子を頬張る、わんぱくな大人のための食の探訪記。第六弾は、横浜の餃子発祥の店としてその名を知られる『萬里』が登場。「横浜には子どものときの思い出がたくさんある」というマッチと、餃子のルーツを探す旅へレッツ“Gyo”!

ビールを持つ近藤真彦
まずはお約束の乾杯ビール。「毎回言っている気がするけれど、この瞬間が本当にしあわせなんだよね」

マッチの町中華探訪は、餃子とビールからスタートするのがお約束。「コレがなくっちゃ始まらない!」と冷えたビールをぐいっと飲み、熱々の餃子を頬張るのはマッチにとって至福のひととき。まず、焼きたてをなにもつけずにそのまま味わい、2個目からは醤油と酢、ラー油をほぼ同量でつくるタレにつけて食べるのが、マッチの“餃子ルール”だ。店によってサイズ感や皮の厚み、餡の具材やその配合、焼き加減にもこだわりや個性が見えるからこそ「町中華でのトップバッターは、かならず餃子」と決めているのだそう。

そういえば、町中華の餃子のルーツはどこにあるんだろう」というマッチの疑問を探るべく編集部が調べたところ、答えは意外にも神奈川県の横浜市にあった。

メニューを見る近藤真彦
「壁のメニューの文字がかすれているのも味。この店の歴史がつまっている空間なんだと思ったらグッときました」とマッチ。

新旧多くの酒場が密集する横浜市野毛。ここに、1949年に創業した町中華の老舗『萬里』がある。創業者の祖母は、終戦により中国(満州)からやむなく無一文で帰国し、日々の糧を得るために焼餃子を売り始めた。中国で振舞われた家庭料理の豚饅頭をベースに出来上がった焼餃子は、敗戦直後で材料や設備もままならない状況で様々な試行錯誤があったと予想されるが、美味しくて栄養のある餃子が人気を集め“横浜で最初に餃子を出した町中華”として、その名が広まった。三代目店主の福田大地さんが話す店の歴史に興味深く耳を傾けるマッチも、じつは子どもの頃、横浜に暮らした思い出がある。

従業員と話す近藤真彦
店主の福田さんとお店で働くスタッフとしばし歓談。「同世代だとなんだか親近感がわくよね」

「横浜スタジアムができたとき、親父と一緒に球場のまわりを車でぐるーっと回ったのを思い出した。大洋ホエールズ時代だから、たぶん、もう40年以上まえになるよね。おばあちゃんも横浜出身だったから僕もすごく思い入れがある場所。港で大きい船を眺めてすごい迫力に圧倒されたり、その頃にはすでにこのお店があったと思うと少し不思議な気持ちになります」とマッチ。コンサートを終えた足で中華街へ繰り出したり、大人になってからは仲間とみんなで山下公園の花火を見に行ったなと懐かしそうに目を細める。

カウンターに座り「メニューを見るまえからまずは餃子と決めていました」と間髪入れずにオーダー。餃子が焼きあがるのをビールを飲みながら待つあいだにメニューにサンマーメンの文字を見つけ「これ、僕の大好物!」と思わずテンションが上がり、五目やきそばとしばらく悩んで両方、追加注文をするひと幕も。

サンマーメンをすする近藤真彦
「サンマーメンはこのくらい熱々じゃなきゃ。ストレートの細麺とスープがよく絡んでめちゃくちゃ美味しい」とマッチも感動しきり。「伊勢崎町のお店が発祥と言われているんですよ」という店主の“プチトリビア”にも「そうなんですね!」と感心。
サンマーメン
マッチが子どもの頃から大好きな横浜名物サンマーメン。『萬里』のサンマーメン(731円)は、とろみのある醤油ベースのスープで野菜もたっぷり!

「おばあちゃんがサンマーメンが大好きだったので家族が揃うと出前で頼むのが恒例だった。丼にピチッとラップが張られていて(笑)、注意してはがさないと熱気でヤケドしちゃう。熱いけど、旨い! 旨いけど熱い! ってみんなで汗かきながら食べるのが最高に好きだったな」と少年時代を回想する。

餃子を食べる近藤真彦
『萬里』の焼餃子はやや小ぶりで、パリッとした皮となかのジューシィな餡とのバランスが絶妙。豚と牛のひき肉をあわせることで旨味が濃厚に。「生姜の香りがふわーっと香って、なにもつけなくても美味しいです」
餃子
横浜で元祖と言われる餃子にご対面! 『萬里』自慢の焼餃子は、ひと皿374円(写真は2人前)。「表面にほどよく焦げ目がついた理想の焼き加減。町中華の餃子のルーツと聞くとありがたみがさらに増します」とマッチ。

そこにお待ちかねの餃子が登場。こんがりとした焼き色の美しさに「食べるまえから好み!」と目を輝かせるマッチ。もちろん1個目はなにもつけずにそのままで。3代にわたって受け継がれてきたというその味に「皮がパリッとしていてすごく美味しい。野菜の水気をしっかりときってあるからなかの餡のジューシィさが際立ちます」と箸もビールもぐいぐいすすむ。

ビールと餃子と近藤真彦
右手にビール、左手に餃子でご満悦。「感動するから食べてみて」とマッチにすすめられた撮影スタッフも餃子の美味しさに感激。

店主の福田さんとは同世代ということもあり、互いに親近感がわいた様子。「店の暖簾と味を長く守り続けるのは大変なことですよね」とマッチが話しかけると「日本の飲食業界全体に言えることなのですが、いまは人手不足でお客さんをお待たせしたり、お断りすることもあって申し訳ないです」と福田さん。

近藤真彦とマスター
次の世代へ繋げていくことの難しさについて、店主の福田さんと語り合うマッチ。

自分が愛する町中華が店主の高齢化や人員不足に悩まされているということを常々気にしていたこともあり「僕が経営しているレーシングチームも次世代の育成という大きな課題を抱えていて。どうしたらこの問題を乗り越えられるかというのを僕もいつも考えています」と真剣な表情でそれぞれの思いを語り合う。

守りたいものをいかに受け継ぎ、次の世代へ繋げていくか。“戦う場所”は違えど、自分の仕事や生き方に誇りを持っている同士だからこそ、分かり合えることがある。

調理風景
カウンターからキッチンで調理風景を眺めるのも一興。「香りも音もご馳走だよね」と店主の手さばきに見とれる場面も。
五目焼きそば
サンマーメンとどちらにするか悩み、五目やきそば(1001円)も注文。野菜のほかに豚肉とガツを加えるのも『萬里』流。

追加注文をした五目やきそばは白菜、きくらげ、たけのこなど具だくさん。「これもビールにすごく合いますね」とにんまり。好物の誘惑に抗えないとばかりにサンマーメンをすすり「そうそう、まさにこの味! これぞ僕が子どもの頃から大好きな横浜の味ですね。家の近所にあったら間違いなく毎日通っちゃいます」と満面の笑顔を見せるマッチを嬉しそうに見守りながら「お客さんの嬉しそうな顔を見ると、やっぱり頑張らなくちゃという気持ちになります」と店主も自然と笑顔に。

生まれ育った横浜でのつかのまの触れあいは、マッチにとっても印象に残る時間だったよう。「また美味しい餃子とサンマーメンを食べに来ます」と再訪を約束し、軽やかな足取りで帰路についた。

近藤真彦と従業員
最後は店の前でやんちゃに記念撮影。「横浜って本当にひとが温かい。餃子も本当に美味しかったし、なにより頑張る同世代の姿に元気をもらえました」

萬里
神奈川県横話中区野毛町2-71
Tel/045-231-8011(人員不足により席数制限あり。座敷席で最大8名まで。)
12:00〜21:00(日曜は17:00まで)
月曜休み
※予約は「ぐるなび」か電話にて受付

近藤真彦(こんどう・まさひこ)
1964年生まれ。歌手、俳優、レーサー、レーシングチーム監督、実業家。1979年テレビドラマ『3年B組金八先生』でデビュー。1980年以降はソロ歌手として、『スニーカーぶる~す』『ギンギラギンにさりげなく』『ハイティーン・ブギ』『ケジメなさい』『愚か者』などなど、ヒット曲を多数発表。現在もコンサートやディナーショーで多くの観客を魅了し、そのスター性は健在。

☆マッチさんのコンサート情報などはコチラ!

<<マッチと町中華。一覧はこちら

NEWS!
<マッチと町中華。>ステッカーが完成!

ステッカー

マッチさんが訪れた店舗には、ご本人からオリジナルステッカーをお配りすることになりました。記事掲載された店舗に足をお運びの際は、このステッカーを探してみてください!

Photograph: Akira Maeda(MAETTICO)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: GONTA(weather)
Text: Keiko Kodera

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