週末の過ごし方
『北京亭』で味わう華麗なるカレー!?
マッチと町中華。【第7回】
2023.11.17
本誌の名物連載として話題沸騰中の「マッチと町中華」。あの町、この町の味アリな中華店をめぐりながら、マッチがラーメンをすすり、ときにはビールを飲みながら餃子を頬張る、わんぱくな大人のための食の探訪記。第7弾は、町中華のカレーがおいしい理由を探るべく神保町の『北京亭』へ。自他共に認めるカレー好きのマッチと、華麗なる(!?)町中華カレーの世界へ。
町中華のカレーはなぜ、おいしいのか。カレーマニアや町中華ファンのあいだで長年、語られているテーマのひとつだが、マッチは「やっぱり火力の強さとラーメンの出汁を使うからこそ美味しくなるのではないか」と分析する。
“カレーの街”として全国的に知られ、現在は400軒以上の店でカレーを提供するという東京・神田神保町エリアに店を構えて50年以上。カレーを目当てに訪れる人も多いという『北京亭』で、その美味しさの理由を探ることに。
営業中はひっきりなしにお客が訪れる人気店。1980年代にはすでに「カレーを出す町中華」として、界隈で働く人や学生の胃袋を支える存在に。厨房で豪快な鍋振りを見せる料理長のハンさんに聞けば「最初の頃はカレー麺を出していたのだけれど、常連の学生さんに米でカレーを食べたいと言われて定番メニューになった」と話す。ダイナミックな調理風景を眺めながら「町中華の見本のような店」とマッチもほれぼれ。
最初はもちろん、お約束の餃子とビールから。店の活気と熱気に包まれながらグラスをきゅーっと飲み干し、渇いた喉を潤す。「この連載のおかげで餃子ウォッチャーとしての目が肥えてきた気がする(笑)」とマッチ。さてさて、見るからに皮のもっちり感が伝わる餃子のお味は?
「餡の味がすごく豊か。焼きがしっかりしていて皮の甘みも際立っています」と言いながらもうひとつを食べたところで、メニューを見たときから気になっていた辛醤(ラーチャン)焼きそばが運ばれてきた。
カレーに行き着く前に満腹になってしまうのでは、と心配するスタッフに「大丈夫。カレーは別腹だから」と余裕の笑顔。よその町中華ではあまり目にすることのない辛醤焼きそばは、上海出身の初代が考案した麺料理なのだとか。自家製の上海風味噌を加えた麺をすすりながら「コクがあっておいしい!」とビールをもうひと瓶追加。胃袋も十分にならしたところで、いよいよ本命の“町中華のカレー”が登場。
なかなかのボリューム感にもひるむことなく、箸をスプーンに持ち替え「待ってました!」と気合十分のマッチ。家でも自分で作るほど深い“カレー愛”が伝わる食べっぷりに料理長もうれしそうだ。
「玉ネギをいっぱい入れて作るのが近藤流。普通、カレーって煮込むものというイメージがあるけれど、このお店のカレーは鉄鍋に伝わる火の強さをすごく感じます。家ではどんなにマネしようとしてもできない味。町中華のカレーの美味しさはやっぱり、火のパワーを最大限に利用した調理にもあるんだと思いました」と感心しきり。
料理長によれば、ラーメンに使う豚骨と鶏ガラのスープのほかに豆板醤でコクを出しているのもポイントだそう。「昔からカレーは二日酔いのときに食べたくなる(笑)。胃もたれしているところにわーっと食べるとシャキッとするんだよ。なんならそこにカツを追加してもいいくらい(笑)」。ほかにもアジアを旅行するとカレー欲が高まるそうで、年に2回、レースのタイヤテストでマレーシアを訪れていた時期は、お気に入りのフィッシュカレーの店を見つけて頻繁に通っていたそう。
「店に行くたびにお母さんが僕のことを“コンド、コンド”と言って出迎えてくれるのもうれしくて。家で福神漬けたっぷりのカレーを作るのもいいけれど、海外のカレーって本当に個性豊かで面白い」。町中華のカレーの第2弾をやるのも面白そうというマッチのリクエストに答えて、次回は横浜の老舗で“町中華カレー”ツアーを敢行することに。「それじゃ、今日もおつカレーとか僕は言わないからね(笑)」と最後までサービス精神旺盛のマッチ。“町中華のカレー”横浜編もぜひ、お楽しみに!
北京亭
東京都千代田区西神田2-1-11
TEL/03-3261-4116
11:00~15:00、17:00~22:30
月曜休み 38席
近藤真彦(こんどう・まさひこ)
1964年生まれ。歌手、俳優、レーサー、レーシングチーム監督、実業家。1979年テレビドラマ『3年B組金八先生』でデビュー。1980年以降はソロ歌手として、『スニーカーぶる~す』『ギンギラギンにさりげなく』『ハイティーン・ブギ』『ケジメなさい』『愚か者』などなど、ヒット曲を多数発表。現在もコンサートやディナーショーで多くの観客を魅了し、そのスター性は健在。
NEWS!
<マッチと町中華。>ステッカーが完成!
マッチさんが訪れた店舗には、ご本人からオリジナルステッカーをお配りすることになりました。記事掲載された店舗に足をお運びの際は、このステッカーを探してみてください!
Photograph: Akira Maeda(MAETTICO)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: GONTA(weather)
Text: Keiko Kodera