お酒
Tantalus Estate(タンタラス・エステート)
美食もペアがワイヘキ流!推しワイナリー3選。
【ニュージーランド、知られざるワインの島へ。】
2023.12.05
ワイナリーを結ぶバスや専用車ツアーを活用し、一日に数軒ハシゴするのがツウなワイヘキの巡り方。テイスティングだけでなく美食も堪能できるが、食べすぎ、飲みすぎにはくれぐれもご注意を!
創業10年の新星ワイナリー、すご腕シェフの美食も話題。
石畳のアプローチ、手入れが行き届いた庭園、そして高くそびえる鐘楼。まるでフランスにいるかのように錯覚するタンタラス・エステートだが、実際ワインはフランスを強く意識した造りになっており、ラベルには「カシェット(隠れ家)」、「ヴォワレ(ベールに包まれた)」など、ワインのイメージに合ったフランス語が付けられている。特にカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、マルベックのブレンド「エクルーズ(水門)」は見事なまでにボルドーワインと比肩。舌の上に流し込んだ瞬間にスミレやブラックベリー、オーク、スパイスなど複雑なアロマが広がり、余韻の長さに驚かされる。
テイスティングは2コースあるが、ここはやはり「エクルーズ」を含む上級ライン「リザーブ・ワイン・テイスティング(計4杯でNZ$30)」がおすすめ。ほぼ手作業で収穫を行うためニュージーランド産ワインのなかでは高価なほうだが、実際に飲めばその値段も納得のクオリティを感じられることだろう。
タンタラス・エステートが素晴らしいのは、これだけ華やかなワインにもしっかりマリアージュするガストロノミー・レストランを併設している点にある。南アフリカやヨーロッパのミシュラン星付き店で研鑽(けんさん)を積んだランドマン氏を総料理長に抜擢し、アラカルトからコースまで見た目も美しい繊細な料理を提供。ここまで本格的なペアリングは、フランスやアメリカのワイナリーでもなかなかお目にかかれない。オープンは2013年だが、既に島内屈指の人気ワイナリーに成長し、約200席あるレストランは平日から大勢の観光客で埋まってしまう。ブドウ畑の眺望も素晴らしいので、できれば窓際のテーブルをリクエストして予約したい。
帰り際、「エクルーズ 2017」を自宅用に購入。現時点で6年の月日が経っており、十分芳醇でやわらかな飲み口を堪能できるが、セラーで保存すればさらに10年は熟成が期待できるとのこと。ありがたいことに、旅の思い出もまだまだセラーの中で生きつづける。これぞ、ワイナリー訪問の醍醐味(だいごみ)だろう。
タンタラス・エステート
70/72 Onetangi Road
https://tantalus.co.nz/
Photograph: Tomohito Ishimaru
Coordinate: Grooby Miko
Edit & Text: Keiichi Izawa