カジュアルウェア

SHOWCASE
ただいま、おかえり。
帰ってきた紺ブレ。

2023.12.13

各界のプロの審美眼にかなった、いま旬アイテムや知られざる名品をお届け。

SHOWCASE_紺ブレ 400_1
左からブレザー¥50,600/ビームスF、シャツ¥30,800/マリア サンタンジェロ、タイ¥20,900/フランチェスコ マリーノ、チーフ¥3,080/ビームスF、ブレザー¥220,000/ジャンフランコボメッザードリ、シャツ¥25,300/ブリッラ ペルイル グスト、タイ¥20,900/フランチェスコ マリーノ、チーフ¥8,580/フマガッリ、ブレザー¥132,000/ビームスF、シャツ¥33,000/エリッコ フォルミコラ、タイ¥13,200/ビームスF、チーフ¥8,580/フマガッリ(すべてビームスハウス 丸の内 03-5220-8686

「ネイビー・ブレザー」、いわゆる「紺ブレ」への熱が上がってきたのは今年の春頃のこと。なじみのテイラーで、次は何を誂えようかと考えながら、生地の束をめくる手が止まったのが紺無地のウール生地だった。もっとも、紺ブレは何度も作っているし、長く所有しているモノもある。それでも、紺色のジャケットそれも紺ブレへの熱はなぜか定期的に湧き上がる。

紺ブレは、とにかく着こなしの守備範囲が広い。グレーのウールトラウザーはもちろん、ツータックのチノーズはベージュでもネイビーでもよく合うし、ジーンズはもちろん、ミリタリーパンツなんかを合わせても案外さまになる。いまテイラードジャケットを持っていないという人でも、まずは「紺ブレ」を手に入れれば、一張羅(いっちょうら)として重宝することだろう。

 しかしながら、テイラードジャケットにもあまたの種類があり、移ろう男心はときに紺ブレを凡庸で退屈に感じてしまう。着こなしやすい半面、おもしろみがなく、ほかの華やかな生地や鮮やかな意匠のジャケットに惹(ひ)かれしまうのだ。

 映画の主人公なら誰しも、平凡で従順な良き妻をかなぐり捨て、魔性の女と狂乱の宴に興じるもの。それでもラストシーンには何事もなかったかのように妻の元へ戻り、また穏やかで幸せな暮らしをするのだ。

 はたして、紺無地のウール生地が僕の心を揺り戻してくれ、僕は無事に紺ブレに帰ってきた。上質な紺無地の平織生地に、裏地には燃えるような赤。つまり、Blazer=ブレザー色を配して誂えた紺ブレを、いままた穏やかに愛用しようと考えている。

文・尾崎雄飛

Yuhi Ozaki
〈サンカッケー〉デザイナー。セレクトショップのバイヤーや、いくつかのブランドプロデュースを経て現在に至る。最近、尾州の小さな機織工場を買い、生地屋も始めた。

「アエラスタイルマガジンVOL.55 AUTUMN / WINTER 2023」より転載

Photograph: Ryohei Oizumi
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)

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