カジュアルウェア
FASHION VIEW 【前編】
ピッティは進化する。
2024SS PITTI IMMAGINE UOMO 104
2023.12.11
3年ぶりに訪れた、ピッティ・イマージネ・ウオモ。そこには、かつてと異なる空気が漂っていた。世界的なメンズファッションの祭典の「いま」を伝える。
第104回「ピッティ・イマージネ・ウオモ(以下ピッティ)」が、去る6月にイタリアのフィレンツェで開催された。ピッティとは、年2回開催される世界最大級のメンズファッションのトレードフェア。パンデミックの影響で、2020年6月と翌1月はリモート開催を余儀なくされたが、2021年6月からはリアル開催を再開。以後、往時の活気を取り戻しつつあり、今回は825社が出展、延べ1万7000人が来場した。もちろん、コロナ直前の2020年1月の出展社数が1203社であり、来場者が3万6000人だったことを考えると、その道のりはまだまだ遠い。だが、リアル開催に踏み切った21年6月の出展社数が396社で、来場者数が6000人であったことを思えば、感慨深いものがある。
ピッティの“顔”はどこへ?
多くのバイヤーやメディア関係者がささやき合っていたのが、かつてのピッティの隆盛をけん引してきたファクトリーブランドを中心とする「イタリアン クラシコ」系の不在。ラルディーニやタリアトーレといった、日本でおなじみのブランドのブースがこぞって見当たらないのだ。もちろん、彼らのビジネスは継続している。パンデミックを経て彼らはビジネススキームを見直し、トータルブランドとしての世界観をより明確に発信するために、自分たちのプレゼンテーションの場をミラノなどに独自で確保する選択をしたのだ。
とは言え、ピッティの「顔」と呼べる人気ブランドがすべてピッティを去ったわけではない。例えば、ヘルノ。かつてはアウターを主力とするイメージが強いブランドであったが、トータルブランドへの進化をここピッティで鮮明に打ち出す。そのプレゼンテーションは、モードブランドのそれに近しく、往年のイタリアンクラシコのイメージを軽やかに、確実にアップデートしている。
ブルネロ クチネリもまた、言わずと知れたピッティの「顔」。こちらも、トータルブランドとしての重層的なプレゼンテーションに定評があるが、注目すべきは「ドレスアップ」の解釈。“軽やかさ”を求める時代の空気を反映したタキシードの拡充は、気高き孤高性を際立たせた。
「アエラスタイルマガジンVOL.55 AUTUMN / WINTER 2023」より転載
ここには載せきれなかった写真は、アエラススタイルマガジン VOL.55にてお楽しみください!
Photograph: Mitsuya T-Max Sada
Coordinate: Mayumi Terashima