カジュアルウェア
オリンピックの影響か? フレンチトラッドが再燃の兆し。
いま注目すべきアイテムはこれ。
ファッショントレンドスナップ197
2024.04.17
7月に開催が迫ったパリ2024オリンピック。日々のニュースでは、最終予選でどのチーム、誰が選ばれるかが更新されヒートアップ気味。この盛り上がりはスポーツ業界のみならず、パリやフランスに関連するものが便乗してSNSでざわつきはじめています。私もこのチャンスを機にフランスのファッションを深掘り(復習)してみようと……。
そんなときは、メゾンブランドを調べるのが手っ取り早いのですが、ほとんどのフランス発祥のブランドは、グローバル化&ブランディングが進みフレンチテイストを盛り込む必要はほとんどなくなりました。そのため「フランスらしいデザインとは? パリらしい着こなし方はこれ!」という答えをブランドのホームページで見つけるのは至難の業。
※エルメスなどの限られたブランドには古き良きフランスらしさが残っていますが、気軽に採り入れられる価格ではないので日本で再現するにはハードルが高い。
そこで、私がたどり着いたのが、フランスの作業服「フレンチ ワーク」「フレンチ ミリタリー」。実はこの分野、コロナ禍にビンテージ愛好者の間で盛り上がったジャンル。コルビュジエ ジャケットやフランス軍カーゴパンツなどなどディープな解説動画がこの時期にかなりアップされました。
そうした人気フレンチワークのアイコン的商品は、最初は価格もまだ手頃だったのですが、その在庫数の少なさがゆえに日に日に高騰。なかでも個人的にここまで上がるか? とびっくりしたのが、今はなきパリのアルニスというブランドのジャケット。
フォレスティエール(フランス語で森の番人)と呼ばれるビンテージのワークジャケットは目を疑う価格に。ビンテージデニムほどではありませんが、4〜5年前の10倍以上の値段まで跳ね上がっているのです。
またまた、前書きが長くなってしまいました。猛省。
「現存するフランス生産のワークウエアのブランドは、ほんのわずか。日本の愛好家の方々はビンテージのジャケットなどを購入されて、日常使いしている方が多いのではないでしょうか。ただし、一部の人気アイテムは、気軽に購入できる価格ではなくなっていますし、希望のサイズで好みの生地となるとなかなか見つからないというのが現状です。そんなお悩みに答えるべくスタートしたのが、アルデックスの新しいサービス。今回私が着ているフレンチ デザインのワーク ジャケットをオーダーでお作りできるようになったのです」。アルデックス東京店の小島匠太郎さんは熱く口火を切った。
なるほどなるほど、日本では新品のフレンチワークはデザインが限られるし、ビンテージのモノはサイズが合わないとか、生地の汚れや傷みが激しかったりで、普段使いできる人はほんのわずか。
そうした悩みを解決したアルデックスのこのオーダーはニッチな分野ですが、ビジネス関連もの一辺倒で少し閉塞感のあったオーダー業界においては、新分野。そうでなくても猛暑やリモートワークでスーツやジャケット離れが進む日本においては、ファッション業界の救世主となる可能性を秘めているのでは?と感じるのは私だけでしょうか。
「デザインのポイントは、襟が低いスタンドカラーになっていているところと、前合わせがダブルになっていてボタンが12個付いているところでしょうか。ポケットはワーク ウエアの基本のパッチポケット。フレンチワークの代表格と言えるル サン パレイユのビンテージにこうしたデザインがあったようですが、現存するものはマニアの間で争奪戦が繰り返されていて、なかなか日本のビンテージ市場に出回ることはないようです。アルデックスでは、フランスのビンテージウエアを研究したうえで、弊社流のオーダーシステムでこれを再現しました。今回着用しているものはコットンのコーデュロイですが、アルデックス東京店にある生地バンチからお選びいただいて作ることができます。フレンチワークならモールスキンやインディゴ リネンという固定観念を一度リセットし、お客さまのライフスタイルやファッションにマッチする素材をお選びいただくのもオーダーの醍醐味(だいごみ)ではないでしょうか」。熱い小島さんの解説はこの後も続くのですが、ここではこのくらいに。
より深掘りした内容を聞きたい方は、お店に行ってみてくださいね。
個人的には、イギリスの分厚いリネン、日本のセルビッチつきのデニム、イタリアのカシミヤとかでオーダーするのも面白いのではないかと思います。
最後に見落としてはいけないコーディネートのポイントを!
フレンチトラッドの定番と言えるネッカチーフ(スカーフ)を小島さんは目立たないように首元に巻いています。よく見るとドット柄のネッカチーフですね。80年代の中旬に日本でフレンチトラッドが流行したときは、男性も女性も大判のシルクのスカーフを首に巻いていたのをふと思い出しました。
フレンチトラッドのアイコンというとベレー帽、バスクシャツ(ボーダーの長袖Tシャツ)が有名ですが、実はネッカチーフやスカーフ使いも欠かせません。最近のパリのストリートスナップを見ていても、なかなかこのフレンチトラッドの三種の神器を見かけることはほとんどなくなりましたが、間違いなく一世を風靡(ふうび)したフレンチスタイルであることは間違いありませんので、あしからず。
アルデックスのフレンチワークジャケットのオーダーは、アルデックスの東京店にある生地見本(バンチ)からチョイス。スターティングプライス 12万2100円から。今回小島さんが着用したカチョッポリ(イタリア)のコーデュロイ生地の場合は、14万5200円。
※価格は全て税込み。納期は、仮縫いを含めて約2カ月半(仮縫いのタイミングにより伸びることがあります)。
<アルデックス東京店>
住所:東京都港区西麻布4-11-30 小針ビル6階
電話番号:03-3498-0082
営業時間:10:00~18:30
定休日:火曜日、木曜日(祝祭日の場合は翌日)
E-mail :tokyo@aldex.co.jp
https://www.aldex.co.jp/
Photograph & Text:Yoichi Onishi