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「パタゴニア」が中古品販売ブースを常設した旗艦店をオープン!
“ファッションはわたしたちには関係ない”というステイトメントが意味するものとは?

2024.09.17

「パタゴニア」が中古品販売ブースを常設した旗艦店をオープン!<br>“ファッションはわたしたちには関係ない”というステイトメントが意味するものとは?
©︎yasu matsumoto photography

アウトトドア企業の「PATAGONIA(パタゴニア)」は、9月6日(金)に国内24店舗目の直営店となるパタゴニア大阪・梅田ストアを「グラングリーン大阪」にグランドオープン。「グラングリーン大阪」のお披露目イベントに併せて開催されたメディア向け内覧会で、本ストア出店の狙いや、実店舗を構える意味、ブランドが伝えたいメッセージなどを伺った。

青々とした天然芝の広場を備え、阪神甲子園球場よりも広い総面積、約4500㎡超の都市公園「うめきた公園」に併設された複合型商業施設「グラングリーン大阪」。同施設内にオープンしたパタゴニア大阪・梅田ストアは、ワンフロアとしては国内最大規模となる約383㎡の売り場面積を誇り、クライミングや登山、トレイルランニング、フライフィッシングといったテクニカルウエアからデイリーユースのライフスタイルウエア、さらに地球を再生する農業を支援するプロジェクト「パタゴニア プロビジョンズ」の食品やクラフトビールなどを取りそろえる。

1050_Photo-Credit3:yasu-matsumoto-photography 
©︎yasu matsumoto photography

パタゴニア地方を象徴する名峰「フィッツ・ロイ」の巨大な写真が見守る開放的な空間で、ひときわ目を引くのが“ファッションはわたしたちには関係ない”と書かれた巨大なメッセージ看板だ。店内を案内してくれた野口一彦さん(マーチャンダイジング&マーケティング担当)によると、これはグローバルキャンペーンのステイトメントであり、パタゴニアが長年育み、培ってきたブランド哲学を表すものだという。

「海外では”Fashion is none of our business. ”とうたっているのですが、これは流行に追随せず、高品質な製品を長く使い続けようという私たちの考え方を表しています。また、このメッセージは、=(イコール)クオリティを担保することでもあるんです。われわれにとって、クオリティとは、デザインや耐久性だけでなく、環境への責任も含まれています。過剰な消費をドライブさせる側面を持つファッションは、気候問題にも大きな影響を及ぼします。なぜなら、アパレル産業は二酸化炭素排出量全体の10%を占めており、その多くは新製品の生産過程によってもたらされているからです。毎シーズン新品を買い換えるような過剰消費が気候問題を促しているということですね。」

気候問題への悪しき影響は理解できる。では、なぜパタゴニアを選ぶことが、過剰な消費の抑止につながるのだろうか? 野口さんの答えは明快だ。

「パタゴニアの製品は、すべて長い間着られることを前提とした普遍的なプロダクトです。デザインやシルエットもトレンドに寄せるのではなく、汎用性が高いもの、ファッションというよりインダストリアル(工業)デザイン的な思考と言っていいでしょう。そして、現在展開しているプロダクトの97%が、リサイクル素材またはオーガニック素材を使ったプリファブル(Preferable:好ましい、望ましい)マテリアルを使用しています。近年では、肥沃な土地へと再生しながら綿を生産するリジェネラティブ・オーガニックコットンや、廃棄された魚網をリサイクルしたネットプラス素材、海辺に漂着したプラスチックを再生したポリステルを使ったプロダクトにも力を入れています(注1)。どの製品もパフォーマンス、革新性、リペア(修理)、そして使用後のソリューションを念頭に置いて作られており、品質へのあくなきこだわりをもってデザイン、製造されています。」


(注1) 漁場に残された魚網はウミガメ、海洋哺乳類、海鳥などが絡まる原因となる。また、プラスチックは容易に分解されないため、魚や海の生物がエサと間違えて誤飲し、体内に蓄積された有害物質によって生態系の破壊を招く可能性が指摘されている。

1050_Photo-Credit1:yasu-matsumoto-photography 
©︎yasu matsumoto photography

さらに、企業としての責任は、過去に生産されたプロダクトにまで及ぶ。

「破損したら買い換えるのではなく、長く大切に着てもらうためにリペアも行っています。例えば、世界中の人たちが既に持っている服をあと9カ月だけ長く着れば、二酸化炭素や水の消費量を約20%も減らせるというデータがあるんです。つまり、古くなったものをすぐに捨てて新品を購入することで、いたずらに資源を浪費することになるのですが、それをストップさせようという試みですね。そういった施策のひとつが、“Worn Wear(ウォーンウエア)ブース”の常設になります」

そう言って、野口さんの指差した先には“BETTER THAN NEW(新品よりもずっといい)”という看板が掲げられた一角が。これまでも、渋谷店や京都店でポップアップイベントとして期間限定で中古品を展開されていたが、今回国内初の常設コーナーとして誕生した。

「われわれは、何も古着屋を目指しているわけではありません。新品もあるけど、リユース品もありますよという選択肢をカスタマーに提供したいということです。古いものでも価値があるという事実は、パタゴニアが提供している製品が普遍的なプロダクトであるという証明でもあり、われわれの大きな自信にもなりますね。」

着なくなったら捨てて、また新しく購入するという消費のサイクルに歯止めをかけること。ここにあるすべてのモノとコトには、しっかりとした整合性があり、強い説得力につながっていく。工場で働く労働者に1点ごとに賞与が還元される「フェアトレード・サーティファイド縫製」も含めて、こうした取り組みのひとつひとつがブランドへの信頼感へと帰結する。

1050_Photo-Credit4:yasu-matsumoto-photography 
©︎yasu matsumoto photography

最後に、オンラインの比重も大きい現代において、本ストアはどのようなお店を目指しているのだろうか。

「さまざまなコミュニティの“ハブ”になることでしょうか。例えば、トレイルランニング好きの人たちが集まって情報交換できる。または、スタッフもトレイルランニングを通じてパタゴニアが行っている環境問題への取り組みについてお伝えできるとか。そんな場所になれば理想ですね」

実際にこちらのストアでは、ギャラリーとシアター上映も可能なイベントスペースを併設。今後、ファーマーズ・マーケットやシルクスクリーンのワークショップ、製品のケアを学べるウォッシュパーティなど、さまざまなイベントが予定されている。さらに、リアル店舗ならでは強みはもうひとつある。

「例えばレインウエアの場合、エントリーモデルから機能性の高いモデルまで3種類ラインアップがあるのですが、オンラインでは圧倒的にエントリーモデルのニーズが高く、逆に店舗では高機能なウエアを購入される方が非常に多いんです。スタッフはみんなアウトドアアクティビティが大好きなので、知識も豊富ですし、すべてのプロダクトについてしっかりとした説明や接客ができるのは実店舗ならではの良さでしょう。ぜひ一度お店に足を運んでもらいたいですね」

1050_Photo-Credit5:yasu-matsumoto-photography 
©︎yasu matsumoto photography

パタゴニア 大阪・梅田
住所:大阪府大阪市北区大深町6番38号 グラングリーン大阪 ショップ&レストラン 北館1F
営業時間:11:00〜19:00
定休日:年末年始、毎月第3水曜日
電話番号:06-6445-9770
公式Instagram @patagonia.umeda

Text: Tetsuya Sato

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