週末の過ごし方
西と東の交差点で時空を超える旅へ。
─「イスタンブル建築」が語る世界帝都の魅力─
2024.11.27
海峡の西はヨーロッパ、東はアジアという世界に類を見ない都市・イスタンブル。太古より世界中の人々を魅了してきた帝都の面影を求め、建築を巡る旅に出る……。
イスタンブルで、建築巡礼という旅の醍醐味(だいごみ)を
そこでしか体験できない事柄は国境を越え旅をする理由となる。西洋と東洋が交わる都・イスタンブルで建築を訪ねるのは十分にその価値があると、建築家の中村拓志さんは言う。モロッコやメキシコなど、世界の建築を巡る旅を続けているが、イスタンブルもかつて訪れ、感銘を受けたという。
「建築には、実はメディアという側面があります。通信手段を持たなかった時代は特にですが、世界がこういうふうにできているのだ、ということを民に伝えるための最大のツールでした。風土の総体、信仰の総体、歴史の総体が伝統建築には刻まれています。
そして行った先の風土を感じることは、旅の醍醐味です。そういう意味でも、旅の目的に建築という選択肢をぜひ入れてほしい。建物の中に身を置き、そしてアプローチや庭園も建築ととらえ五感で受け止めれば、風土のみならず民族性までもうかがい知れるでしょう。イスタンブル建築からは宗教的寛容性、目に見えない存在を空間に落とし込む際の英智、それに挑む試行錯誤を感じました。そんな体験は土地や人を立体的に理解する一助になるはずです」
※トルコ語の発音に即して、この記事内ではイスタンブルと表記しています。
中村拓志(なかむら・ひろし)
建築家、中村拓志&NAP建築設計事務所代表。現在、明治大学理工学部特別招聘教授。日本建築学会賞(作品賞)ほか多数受賞。
取材協力:Go Türkie/トルコ共和国大使館 文化観光局 https://goturkiye.jp/
Edit & Text: Toshie Tanaka(KIMITERASU)
Photograph: Kosuke Mae