週末の過ごし方
『シークレット・レベル』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #90
2025.01.30
ビデオゲームの世界を舞台にオリジナルストーリーを描くアンソロジーアニメシリーズ『シークレット・レベル』。
誰もが知る『パックマン』や『ロックマン』をはじめ、『ストレンジャー・シングス』でも登場し、世界で最初のRPGとして知られる『ダンジョンズ&ドラゴンズ』、日本発の人気メカアクションゲーム『アーマード・コア』、昨年発売されわずか2週間でサービス終了するという異例の発表をし話題になった『CONCORD』や、リリースを控えた『Exodus:Odyssey』など世界に名が知れた名作から新作までと幅広いラインアップ。
実写のような映像美や、最先端CG技術を駆使したアニメーションで世界を驚愕(きょうがく)させた『ラヴ、デス&ロボット』を手がけたティム・ミラー率いるスタッフが集結し、エピソードごとに製作会社数社に振り分けられ製作された。
まずは有名どころエピソード6『パックマン』から観てみようと思った人は、さぞ度肝を抜かれたことだろう。やせ細った人間のような生き物、荒廃した世界、躊躇(ちゅうちょ)なく襲ってくるモンスター、これは本当にパックマンの物語なのだろうか……?
それもそのはず、本作はパックマン45周年作品として今年発売予定の『Shadow Labyrinth』からインスピレーションを得て製作されたもの。一転してダークなパックマンは、決して子どもには見せられないトラウマ級の恐怖映像満載な作品となっている。背中を見せたら最後、「食うか、食われるかだー」。
キアヌ・リーブスが声優を務めたエピソード8『アーマード・コア アセットマネジメント』は、十数分のなかに起承転結をしっかりと詰め込み、スピード感あふれるロボアクションシーンは一瞬たりとも見逃せない。ちらりと見えた“有澤重工”の文字や、信頼感あふれるキアヌの起用(しかも登場するキャラクターもキアヌに似ている)、AC(アーマード・コア)6の世界観も匂わせつつ描かれたオリジナルストーリーは、コアなファンをもうならせた。
エピソード11『Exodus:Odyssey』は、相対性理論に基づく時間の流れがテーマとなり、時間の流れが早い星へと旅立ってしまった娘マリを追う父ニックの姿を描いた作品。娘が父の反対を押し切ってでも宇宙に行きたい理由とは? 想像力をかき立てられるストーリーに加え、美しすぎる宇宙の姿、メカニカルデザイン、肌の質感や髪の毛一本をも写実に描く圧巻のCG技術。基となったゲームは、プレーヤーの選択によって世界が変わってくるSFロールプレイングゲームとのこと。まだ販売前だが、こんな壮大な宇宙空間を見てしまったら、期待せざるを得ない。
2019年に発売されたゲーム『DEATH STRANDING』では、ハリウッド俳優を起用し、実際に俳優が演技をした映像を基にモーションキャプチャーをし、よりリアルな表現を実現し話題となった。もはや映画やドラマなどの映像作品とゲーム作品の境界は、曖昧になりつつある。海外ドラマ……というわけではないが、ハイエンドな映像作品の“現在”を体験することができる本作をピックアップしたのは、まさにいま観るべき!との思いからだ。
15タイトル、すべて製作会社によって質感が異なり、リアルな人物描写があれば、コミックのようなポップなアニメーション作品もあり、まずは気になるサムネイルから選んでみるのもいい。タイトルを知らない人にでもわかるように製作されたオリジナルストーリーであるため、「ゲームの内容を知らないし……」という方も楽しめる内容となっている。
早くもシーズン2の製作が発表された本作、今後の展開も見逃せない。『シークレット・レベル』は、Amazon Prime Videoにて配信中。
Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo