週末の過ごし方
アウディ Q6 e-tronは日々を豊かに彩り、
その魅力でEVの普及を加速させるか?
2025.07.02

プレミアムミッドサイズセグメントのEV、「Audi Q6 e-tron」。アウディがポルシェと共同開発したPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用し、多くの先進システムを盛り込んだモデルとして話題を集めている。今回、この上陸間もない新型をテストドライブ。短時間だったが、実力の高さをチェックした。
走りだしてすぐに思わず、つぶやいた。「おっ、想像以上だ」と。
アクセル、ブレーキ、そしてステアリング、それらの操作に対してクルマがとても違和感なく動く。しかも、とにかく静かだ。ロードノイズは見事に抑えられ、外界からの音も抑制される。何より驚かされたのは、EVならではの「キーン」というモーター音が聞こえない。パワー制御の見事さも手伝い、EVをドライブしていることをつい忘れてしまうほどだ。

EVはボディーがとかく重くなるものだが、それを感じさせることなく、走り、曲がり、止まる。各部の剛性感も相まって運転のストレスは微塵も感じない。全長4770mm、全幅1940mmと、それなりの大きさだが、意思どおり正確に動いてくれるから、自信を持ってステアリングを握れる。試乗当日、あえて狭い路地にトライしてみたが、車両感覚のつかみやすさもあり、取り回しの苦労を感じずに済んだ。
また、回生システムも先進的。日常の制動プロセスの約95%は回生ブレーキによって行われるという。パドルで回生ブレーキの強さの切り替えができ、また、Bモードに切り替えれば、ワンペダルでのイージードライブが可能。アクセルオフで、完全停止までカバーされる。

ドライバー目線で欠点を見つけることは難しい。では、パッセンジャーにとって、Q6 e-tronは魅力的か?
乗り心地、空間のゆとり、静粛性、空調の面など、いわゆる「おもてなし」について、プレミアムモデルとしての秀逸さを誇り、パッセンジャーを至福のドライブ時間に誘ってくれる。
エクステリアは、ハンサムなマスクと力強いラインによる洗練された美しさ。駅までの送り迎え、レストランのエントランス前など、日常のありふれた乗降のシーンさえもすてきに演出してくれるだろう。

11.9インチのバーチャルコックピットプラスと14.5インチのMMIタッチディスプレイに加えて、助手席の前に、第3の画面となる10.9インチMMIパッセンジャーディスプレイを装備。助手席で映画や動画コンテンツが楽しめる。Q6 e-tronの快適で入念なインテリアを味わってしまうと、世間の助手席が陳腐に感じてしまいそうだ。

Q6 e-tronは積極的にロングドライブに出かけたくなるだけの航続距離を実現。185kWモデルで569km、285kWモデルで644kmという一充電走行距離のスペックを誇り、SQ6 e-tronでは672kmをマークする。
これからの季節は高原リゾートを目指すドライブも、パッセンジャーにとって喜ばしいものだろう。バッテリーの電力のみを用いるQ6 e-tronは、絶景スポットで気兼ねなく停車させた状態を続けられる。きめ細やかに制御する空調を利かせ、リラックスできる音楽を秀逸なオーディオから奏でながら、揺れるこもれびも味わう優雅なひととき。しかも、大容量バッテリーを搭載するから心強い。

充電の不便さがクローズアップされがちなEVだが、アウディなら全ての販売店に150kW充電器が用意され、紀尾井町に続き、芝公園と厚木にも充電施設が開設された。この厚木のAudi charging stationは、新東名高速道路の厚木南インターチェンジのすぐそばに位置し、東名方面での経路充電を担ってくれる。積極的な充電拠点の拡充は、おのずとアウディを選ぶ理由となる。

急速充電器ネットワークPCA(プレミアム チャージング アライアンス)の月額基本料金と都度充電料金が1年間、無料となるキャンペーンも実施。CEV補助金の恩恵も受けられる。そして何より今回の試乗で印象的だったのは、839万円〜のプライスが低めに設定されていると感じるほどのクオリティーの高さだ。
いま日本でのEVの普及は足踏み状態と言える。しかし、いいEVさえ登場すれば、多くの人の心を動かすはず。そう思わせるほどの完成度を、Audi Q6 e-tronは備えている。
問/Audiコミュニケーションセンター 0120-598106(9:00〜19:00)
https://www.audi.co.jp
Text: Haruhiko Ito (Office Cars)