週末の過ごし方

ドワンゴ取締役の
ビジネスパーソン瞑想のススメ
【センスの因数分解】

2025.07.02

“智に働けば角が立つ”と漱石先生は言うけれど、智や知がなければこの世は空虚。いま知っておきたいアレコレをちょっと知的に因数分解。

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瞑想をする横澤さん。現在は毎朝30分ほど行うのが日課になっています。

トップビジネスパーソンが物事をストレスなく進めるために何を採り入れているかは、誰もが知りたいところ。ドワンゴ取締役の横澤大輔さんは、瞑想がビジネスのみならずライフスタイルにも大きな効用を与えていると言います。

「2021年だと思います。先に瞑想を始めていた友人が明らかに変わったんです。楽そうになったなって。ならば試しても悪くないかも、という軽い気持ちでした」

そこで知ったのが、彼のメンターであるインドの瞑想家で哲学者のシュリ・クリシュナジとシュリ・プリタジでした。

「彼らは、人間の内面が外側の世界をつくっていると説いています。たとえば自分がイライラしていたらイライラした世界になってしまうし、喜びを感じていたら喜びの世界になる、と。言い換えると、人は五感を通して受けた事柄が脳で情報処理をされ、そこから世界というものを認識するということ。それに気づいて、僕自身の人生が百八十度変わったんですよ」

仕事に忙殺され自分の時間などほとんど取れない日常から、パンデミック中の突然訪れた出会いにより、自己の状態を見つめる機会を得ることになったのです。

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Daisuke Yokosawa
ドワンゴ取締役。瞑想を教える立場になりたいと、短期留学を重ねてインドの教員免許を取得。リトリートやセミナーも開催予定。情報は彼のインスタグラムより発信。

「内面の世界を意識し、そこを変えていくスイッチが、瞑想です。目から入ってくる情報が脳のキャパシティの約90%を使っています。瞑想でその90%の領域を内側の観察に向けることができます。観察し、まずは認識していく。そうすると自分がどういう状態なのかということがわかってきます。そして行動の源泉がどこにあるのかを見てみるんです。怒りなのか、不安なのか、恐怖からなのかと……」

今まで不安を見せないようにしたり逃げたりと、その都度やりくりしていたそうです。それでは不安自体は解消されません。瞑想を通じ内面の世界とつながり、抱いている不安やその理由を探ることが、解消に向かったのです。

「今は仕事上の問題で揺らぐことが減り、スタッフとのコミュニケーションもスムーズだと思います。SNSなどにより見なくてもいい情報も入ってきてしまうことが増え、脳がよりストレスを感じやすい現代人こそ、瞑想が必要だと実感しています。そんな思いからインドで教員免許を取得しました。なぜ瞑想が内面の原因の顕在化に有効かを、脳の構造の観点から教え、伝えていきたいです」

ドワンゴをリードしながら、瞑想という古(いにしえ)からの手法を教える立場を得た横澤さん。そこには極と極をつなげたいという思いがあるとか。

「デジタルの最前線の世界と、瞑想に代表されるようなアナログの世界の極を結び付けたい。リアルとバーチャル、伝統とテクノロジー、精神世界と現実、それらをハイブリッドにしていきたいと考えています」

5月には大阪・関西万博で中村獅童と初音ミクの超歌舞伎公演が控えているとか。目指す形へ、確かな歩みを続けています。

「アエラスタイルマガジンVOL.58 SPRING / SUMMER 2025」より転載

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