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『ヤング・シェルドン』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #103

2025.07.31

『ヤング・シェルドン』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #103

仕事で疲れた日には、シリアスな人間ドラマより、頭脳をフル回転させる推理ドラマより、悪の存在が一切登場せず、心が癒やされクスっと笑えるハートフルなコメディドラマが観たくなるものだ。そこでお勧めしたいのは『ヤング・シェルドン』。

『ビッグバンセオリー』のスピンオフである本作は、MIT(カルフォルニア工科大学)に通う秀才シェルドンのちょっと変わった子ども時代を描いたドラマだ。舞台は1989年、シェルドンが9歳にして高校に入学するところから始まる。

まず、シェルドンについて説明しよう。彼は、双子の妹と、年は違えど同じ学年の兄と、父と母で暮らしている。言わずもがなシェルドンは優秀で、鉄道が大好きな少年っぽさもありながら、両親の確定申告も完璧にこなし、FBIを脅かす?ほどの探求心と、常軌を逸した学習能力を持ち合わせている。近くには祖母が暮らしており、ギャンブルに少々のめり込んではいるが、両親よりも柔軟な考えの持ち主で、子どもたちの面倒をよく見てくれるファンキーな祖母だ。

シェルドンは、知的好奇心が旺盛で、興味を持ったことはとことん調べ尽くし、学ぶ。数学と化学に関しては特にたけていて、大学教授とは対等に会話ができ、高校教師に対しては間違いを指摘し、論破してしまうほど。シェルドンに論破された教師たちは自尊心を失い、こぞって午前中から酒を飲むようになってしまった。それもそうだ、彼は9歳で、身長は117㎝ほどの小さな子どもなのだから。

シーズンを重ねるほど長尺ドラマはすっかり減り、リミテッドシリーズが主流の昨今。そんななか、『ヤング・シェルドン』がシーズン7まで多くの視聴者に愛されてきたのは、子どもたちが成長に伴い変化し、成長を感じられる喜びや、子どもたちの考えや行動によって得られる親としての学び、シェルドンの突飛かつまれな興味深い発想、そして痛快でセンスあるブラックユーモアが、絶妙なバランスで繰り広げられ、心が満たされるドラマだからだろう。

完璧な家族ではないけれど、少々過保護気味だが繊細なシェルドンをサポートする母メアリー、マイペースだけれど家族を分け隔てなく愛する父ジョージ、家族がシェルドンばかりに気を取られ、寂しい思いをしているが、自分たちなりに理解し、共にシェルドンを支えている兄妹と、いつもみんなの避難所のような存在の祖母コニーの日常が、毎日でも観ていられる心地よさがある。

1話20分ほどと、いつでもどこでも気軽に楽しめるのも理由のひとつ。いつでもこの家族と、同じ時間を過ごすことができるのだ。

時代背景が1990年前後ということもあり、懐かしいアイテムも多数登場する。思ったことは伝える、行動する、その方法しかなかった時代のコミュニケーションを見ていると、ふと現代の人間関係の希薄さに、考えさせられるものがある。

友人はいらない、ひとりのほうが勉学に励めるし、好きなことに没頭できると言っていたシェルドンでも、学校生活を通して、人との関わりの重要性に気づきはじめる。シェルドンなりに、不器用ながらも、理屈っぽくなりながらも、努力を積み重ねていく姿には、感動してしまう。

『ビッグバンセオリー』を観ていないと楽しめないのでは?ということはなく、ファンにとってうれしいサプライズは用意されているものの、家族ドラマということもあり、誰もが感情移入できるよう制作されている。

先日配信された最終シーズン7では、思わぬサプライズと感動が用意されていて、ファンにとってはたまらないラストを迎えた。しばらくシェルドンロスに悩まされそうだが、再び『ビッグバンセオリー』を観返している人も多いはずだ。

いつでも、どこでも、シェルドンに会える!『ヤング・シェルドン』はNetflix(S1S6)Amazon Prime Video(S1S5)U-NEXT(S1S7)にて配信中。

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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