週末の過ごし方

近くてアツい、冬の香港へ!
(後編・飲み歩き編)

2026.02.04

近くてアツい、冬の香港へ!<br>(後編・飲み歩き編)

東京からのフライト時間はわずか3〜5時間なのに、圧倒的な熱気と異国情緒で来訪者の五感を刺激する街、香港。前編では最新街歩きを紹介したが、後編では夜の「飲み歩き編」を紹介。今、香港には国際アワードで高評価を集めるバーがひしめき合っており、また街はコンパクトで治安も良好なため、バーホッピングにはもってこい。ここでは最新&マストビジットなバーを5軒紹介しよう。

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世界No.1のBAR LEONEと、その最新姉妹店をハシゴ酒

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(左)ローマ市内にどこでもありそうな雰囲気のBAR LEONE。もちろんこれも、計算し尽くされた演出。 (右)雰囲気だけでなく、カクテルの価格も良心的。ハードルの高さを感じさせず、ドレスコードなどもない。

まず紹介するのは、世界が注目する香港のバー、BAR LEONE(バー・レオーネ)だ。毎年開催される世界最高峰のバーアワード「World’s 50 Best Bars」、その2025年最新ランキングで世界No.1に輝いたバーである。

香港島・中環のBAR LEONEがオープンしたのは、実は2023年6月とつい最近のこと。これまで香港のバーシーンをけん引してきたイタリア人オーナー、ロレンツォ・アンティノーリ氏のお店とあって、開業からすぐに話題となった。初ノミネートとなった「Asia’s 50 Best Bars(World’s 50 Best Barsのアジア版)」でいきなり1位に輝く前人未到の快挙を達成。翌年もアジアでの2年連続No.1に輝き、勢いそのままに世界一の称号も獲得してしまった。

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この奥深いネグローニのつまみには、モルタデッラハムの塩気がお酒にぴったりのフォカッチャがおすすめ。ハムを挟むように塗られたリコッタチーズ、そしてピクルスとの相性も抜群だ。(写真左©︎香港政府観光局、写真右©︎BAR LEONE)

BAR LEONEは「COCKTAIL POPOLARI(一般の人々のためのカクテル)」という独自のコンセプトを掲げ、カジュアルで通いやすい伝統的なローマのバーを再現した。店内に飾られたイタリア映画のポスターやセリエAのサッカークラブ、ASローマの写真などを眺めていると、香港からローマに瞬間移動してしまったのではと思うほどだ。

もちろんカクテルやフードも、本格的なイタリア路線。看板メニューは100年以上前にイタリアで考案された伝統的なカクテル「ネグローニ」だが、アンティノーリ氏いわく、このネグローニこそカクテルの神髄。ここでは奇をてらった複雑なカクテルより、ネグローニやマティーニといった「基本を完璧に仕上げた一杯」が主役となる。

クオリティを追求したクラシックなメニューに、カジュアルで居心地のよい雰囲気、あえて予約を取らないスタイル。そして世界的な名声を得ているにもかかわらず、カクテルやフードの値段が非常に良心的であること。これらすべてが重なり合って、「近所にあって通いたくなるバー」というアンティノーリ氏の理想郷が完成しているのである。

BAR LEONE
https://www.barleonehk.com/

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入店時に店員が一斉に放つ「Ritmo!(リトモ!)」の掛け声。スペイン語でリズムの意味で、音楽やテンポを大事にしたMONTANAのコンセプトを体現している。

BAR LEONEに足を運んだら、そのまま裏通りのHollywood Rd.にあるバー、MONTANA(モンタナ)を目指そう。こちらはアンティノーリ氏が2025年夏に、同じく世界のバーシーンで活躍するイタリア人バーテンダー、シモーネ・カポラーレ氏とタッグを組んでオープンしたBAR LEONEの姉妹店。ただしコンセプトはがらりと変わって、「1970年代のマイアミのエネルギー」と「キューバのクラシックなカクテル文化」のミックスとなっている。

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カジュアルである点はBAR LEONEと共通するが、こちらはよりエネルギッシュ。店内には陽気なキューバンサルサがかり、BGMや店員の掛け声のボリュームも一段階高く感じられる。

当然、カクテルもそのコンセプトを忠実に反映している。キューバと聞けば連想するのはもちろんラム酒。MONTANAのメニューにもダイキリやモヒート、ピニャコラーダといった聞き覚えのあるラム酒ベースのカクテル名が並ぶ。ただし伝統に敬意を表しながらも、解釈は現代的。例えばダイキリはホワイト・ラム、ライムジュース、シュガーシロップの3つから作るシンプルなカクテルだが、こちらの看板メニュー「モンタナ・ダイキリ」は、ラズベリーのオー・ド・ヴィー(蒸留酒)を加え、味わいを引き立ている。

ちなみにシモーネ・カポラーレ氏は2023年に「World’s 50 Best Bars」No.1に輝いたバルセロナのSIPS(シップス)の共同創設者のひとりでもある。バーアワードで世界一に輝いた2人のスターによる共演とあって、MONTANAが今年のアワードで上位に入るのは確実であろう。既にかなりの人気店ではあるが、世界的な脚光を浴びる前にいち早く体験しておきたいバーだ。

MONTANA
https://www.montanabarhk.com/

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イチオシのシグネチャーカクテル「モンタナ・ダイキリ」。ラズベリーのオー・ド・ヴィーがエレガントで華やかに香る。

2025年9月、尖沙咀に絶景ルーフトップバーが誕生!

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ビクトリア・ハーバーの夜景が270度展開するTHE SWIM CLUB。トレンドに敏感な香港人の間で、最も話題のスポットのひとつだ。

香港といえば、ビクトリア・ハーバーの夜景を眺めながらお酒を楽しむルーフトップバーも外せない。今香港のトレンドセッターに人気なのが、Kimpton Tsim Sha Tsui Hong Kongの 50階に出現したTHE SWIM CLUB(ザ・スイム・クラブ)だ。ひと言で魅力を表現するならば、摩天楼のアーバンオアシス。その世界観から紹介したい。

THE SWIM CLUBがコンセプトとするのは、南カリフォルニアのプールクラブ文化。特に1960年代前後のミッドセンチュリーモダンのエッセンスを色濃く反映しており、テラコッタカラーの温かみや、ネイビーの爽やかなストライプ、店名を示す太めのレトロフォントからは、太陽の光が降り注ぐパームスプリングスの雰囲気が感じられる。プールが利用できるのは宿泊ゲストのみだが、ビジターでもテラス席を陣取ればその解放感を存分に堪能できる。特にカリフォルニア特有のゆったりとしたリゾート感と、エネルギッシュに輝く香港の夜景の組み合わせは非常に新鮮。個人的には今、ここが香港で一番アガるバーだと思っている。

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(左)古き良き1960年代のカリフォルニアをほうふつとさせるレトロポップなデザイン。(右)内装と夜景を同時に楽しめるエレベーターホールは人気の撮影スポットでもある。

飲み物のメニューにもプール文化へのオマージュが込められており、FreeやStraight、Pikeといった水泳の飛び込みの型がそのままカクテルの名前になっているのも遊び心が利いている。フードも自家製バンズのホットドッグや、Doritos(ドリトス)を皿にしたダック・ナチョスなど、カリフォルニアを感じられるものばかりだ。

視線を移した先のパノラマビューもひと味違う。尖沙咀のルーフトップバーは概して周りのビルと重なり、圧倒的な解放感が得られるスポットが少なかったのだが、ここは高さが50階あり尖沙咀の他のビル群から頭ひとつ抜き出ているため、西の空に現れる夕焼けから、目の前できらめく「シンフォニー・オブ・ライツ」、東側にひしめく高層マンションの夜景まで、壮大な眺望を270度楽しむことができる。

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(左)プールに近いバーカウンターからはビクトリア・ハーバーのシンフォニー・オブ・ライツもよく見える。(右)テラスのソファ席もおすすめ。尖東や九龍湾方面に重なり合う高層マンションの夜景が美しい。

ちなみにこのTHE SWIM CLUB、店内のある場所に、スピークイージーバー「HIGH DIVE」への入り口が隠されている。店内の壁際にヴィンテージの自動販売機があるのだが、実はこれ、単なるレトロな装飾ではなく、その奥に隠されたVIPルームへの秘密の入り口なのだ。ルーフトップのオープンな楽しさとは対照的に、よりプライベートな楽しみ方もできるTHE SWIM CLUB。眺めの良さに加えて、洗練されたデザイン、ユニークなコンセプト、そしてサプライズも兼ね備えており、この手のルーフトップバーとして確実に唯一無二な存在である。

THE SWIM CLUB
https://www.kimptonhongkong.com/#EAT-DRINK

下町雑居ビルの隠れ家で、昼はコーヒー、夜はリキュールを

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次に紹介するBAD COFFEE & LIQUOR CLUBは、ネイザン・ロードに面したディープな雑居ビル、Alhambra Building(平安大樓)の中にある。

香港という街は、混沌とした下町サイドにも魅力が詰まっていることを忘れてはならない。ここまでは中環や尖沙咀など観光に王道のエリアのバーを紹介してきたが、次はナイトマーケットや専門店街が軒を連ねる九龍半島のディープな下町・油麻地へと足を運んでみよう。

BAD COFFEE & LIQUOR CLUB(バッド・コーヒー&リカー・クラブ)が入るのは、人々の往来が絶えないネイザンロード沿いの雑居ビル1階。筆者も初めて訪れた際、決して治安が悪いと感じたわけではないのだが、前進するのを少しためらうほどローカル感を感じた建物である。

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「知る人ぞ知る」ワクワク感や、コーヒーとお酒の二面性、不良テイストを感じるストリート感などに引かれる男性も多いはず。

この先にバーがあるとは到底思えない薄暗いビルを進んでいくと、おそらく昔は果物店だったと推察される看板跡を残した店舗が姿を現した(ちなみに香港では、建物の壁などに残されたかつての店舗看板や絵柄のことをゴーストサインと言う)。

壁に貼られた小さな黒い看板に「BAD COFFEE & LIQUOR CLUB」の文字を見つけてひと安心。実はこの店、昼間はエスプレッソやハンドドリップコーヒーを提供するカフェ。束の間の休憩を経て、夜にはバーとして営業を再開する。周囲の露店やネオンの光と相まって、さらに妖しげな雰囲気を醸し出しており、これまで紹介したバーとは別の次元で非日常を味わわせてくれる。

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(左)カウンター奥で存在感を放つ、1970年代のレトロデザインを復刻したFAEMA社のエスプレッソマシーン。(右)一日の終わりに静かにカウンターでひとり、そんな使い方をしたくなるバーだ。

店内に足を踏み入れた瞬間、タイムスリップした感覚に陥るのは、無造作に置かれたミラーボールやブラウン管のテレビ、アナログのターンテーブルなどによる錯覚か。決して華やかなバーではない。照明は薄暗く、椅子は木製のハードなハイチェア、バーテンダーもお世辞にも愛想がよいとは言えない。だが、不思議とそれでもよそでは味わえない高揚感と居心地の良さがある。

バーのドリンクメニューはミルクやお茶など香港らしい副材料を使ったオリジナルの「Hong Kong Classics」と、オールドファッションやビーズニーズ、ネグローニなどの定番カクテルからなる「Our Classics」、2種類のクラシックなメニューで構成。古き良き香港のバイブスを、グラスからも感じられることだろう。眺望や夜景がない分、とことんカクテルと自分に¬フォーカスした時間が味わえるバー。粋な紳士であれば、下町にもこんな隠れ家バーを知っておきたい。

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不定期に休みとなることも少なくないので、出かける前に一度インスタグラムのストーリーズなどで営業状況の確認を!

BAD COFFEE & LIQUOR CLUB
https://www.instagram.com/badcoffeeliquorclub/

最後はオーセンティックに、あの名門ホテルのバーへ

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(左)ライトアップされたザ・ペニンシュラ香港。香港に来たならばいつかは泊まりたい憧れのホテルだ。(右)昼間はアフタヌーンティー客でにぎわうロビーも夜は静かな雰囲気。この上階にバーはある。

最後に香港を代表する正統派バーも紹介しておこう。その名も、THE BAR(ザ・バー)。直球なネーミングからも、バーの矜持が伝わってくるだろう。

THE BARが入るのは、「東洋の貴婦人」と呼ばれる名門ホテル、ザ・ペニンシュラ香港。1928年開業、コロニアル調の壮麗な外観は九龍半島のランドマークだ。業以来、世界の王族やセレブリティを迎え続けてきた格式高いホテルであり、ページと呼ばれるスタッフが開けてくれる回転扉の向こうには、喧騒とは無縁の優雅な空間が広がっている。

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(左)男性はつま先の覆われた靴、長ズボン、袖付きシャツ着用など、ドレスコードがあるので注意。(右)名曲をカバーしたジャズの生演奏などが流れ、優雅かつノスタルジックな空気が漂う。

THE BARへは階段を上がってアクセス。廊下にかすかに漏れてくるピアノのメロディが頼りになるだろう。世界三大銘木に数えられる木材、マホガニー材を用いたバーカウンターや、深紅のレザーソファ、控えめに抑えられた照明のインテリアは、紳士のための隠れ家と呼ぶにふさわしい。香港のバーカルチャーは誰にでも門戸が開かれたカジュアルな雰囲気が魅力だと思うが、THE BARのような時代を超越してクラシックな雰囲気が漂うオーセンティックバーはやはり特別感があって気分が高まる。

おすすめカクテルは、スクリュードライバー。1950年代、映画の撮影のためザ・ペニンシュラ香港に泊まっていた俳優クラーク・ゲーブルのお気に入りカクテルだったが、バーテンダーのジョニー・チャンは当時のレシピはおろか名前さえ知らず、それでも要望に応えようとホテルのエンジニア部門に助けを求めようとした、という逸話がある。そこでクラーク・ゲーブルはカクテルの説明をし、自らがカウンターでスクリュードライバーを作ってみせたそうで、現在でもそのレシピを踏襲したスクリュードライバーは当バーの伝説的カクテルになっている。

はやり廃りの激しい香港のバーシーンにおいて、THE BARは今夜も永遠に変わることのない「王道」と「品格」の価値を体現し続けている。個人的には香港滞在のラストナイト、旅の思い出を語り合うなど、締めくくりに訪れたくなるバーである。

THE BAR
https://www.peninsula.com/ja/hong-kong/hotel-fine-dining/the-bar

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眺望はないが、内装の重厚感や品格あふれる空気感で、非日常に浸るには十分すぎる空間だ。

紹介した5軒のバーは、飲食のクオリティの高さや多様なミックスカルチャー、人と都市が放つエネルギー、紳士淑女によって紡がれてきた歴史など、それぞれが香港の持つ多様な魅力と密接に結び付いている。香港でバーを巡ること、それは単にお酒を飲むという行為だけではない。扉を開けるたび、グラスを干すたびに、香港という街を読み解くフィールドワークのような面白さが詰まっているのである。

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