週末の過ごし方
新潟県十日市のへぎ蕎麦を立ち食いで。
弁当屋仕込みの肉厚椎茸が絶品『がんぎ 新川一丁目店』@茅場町
2026.03.17
早くて、安い。おまけに、ウマい。一見の価値あり、もとい“食”の価値がある都内の立ち食い蕎麦屋を紹介する連載。第4回は、新潟県十日町発祥のへぎ蕎麦を掲げる『がんぎ』。実は実力派の弁当屋が手がけており、蕎麦だけで終わらない。煮物が、思いがけず主役級なのだ。
“どんこ”を、ぜいたくに4つも!
弁当作りの技術を一杯に凝縮。
都内のビジネスエリアに3店舗ある『がんぎ』。ここの魅力は、東京にいながら、新潟県十日町発祥のへぎ蕎麦を手軽に食べられることだが、あえて先に注目したいのが、トッピングについて。
というのも、『がんぎ』は1965年創業の弁当屋『い和多』が手がける立ち食い蕎麦屋なのだ。半世紀以上にわたり磨き上げてきた味づくりの技が、蕎麦だけでなくトッピングにも息づく。なかでも、どんこ(肉厚の乾燥椎茸)の煮付けは、かむほどに上品な甘みと濃密なうま味がにじみ出す。ふっくらとした歯応えも心地よく、弁当屋の矜持を感じさせる出来栄えだ。
もちろん、麺にもこだわりが。十日町発祥のへぎ蕎麦は、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使うのが特徴だ。これにより一般的な田舎蕎麦よりもプリプリとした弾力と、つるりとしたのど越しが生まれる。
その半面、布海苔は下ごしらえにとても時間がかかるのが難点だ。乾燥状態から煮溶かすのに約2時間。さらにひと晩寝かせ、ゼリー状になってようやく蕎麦粉と合わせられる。個人経営の立ち食い蕎麦店ではなかなか難しいこの手間も、老舗の弁当屋という母体があればこそ可能なのだ。
新潟の地酒とともに味わう、
サイドメニューも絶品。
『がんぎ』がへぎ蕎麦を掲げるのは、『い和多』創業者が新潟県十日町出身だから。店内には新潟の地酒が豊富にそろい、蔵元を招いたイベントも定期的に開催している。
そんな地酒と合わせたいのが、人気のモツ煮だ。創業以来使いつづける千葉県銚子市発のヒゲタ醤油の薄口と、かつお出しを合わせた蕎麦つゆで、モツがホロホロになるまでじっくり煮込む。味がしっかり染み込み、日本酒のアテには申し分ない。なお、日本酒の提供は17時から。仕事終わりに軽く一杯楽しみ、締めの椎茸そばでほっとひと息つくのもおすすめだ。
がんぎ 新川一丁目店
住所/東京都中央区新川1-2-10 鹿島ビル1階
電話/03-3551-2951
営業/平日:10:30〜21:00 ※アルコールの注文は17時から
定休日/土・日・祝
Photograph: Shohei Ishida(Blue-ly)
Edit & Text: Ryuto Seno