接待と手土産
「高野竹工」の極細摺漆箸
すべて実食! 自慢の手土産【特別編】 #165
2026.06.23
職人の技と感性が込められた、食べものをおいしくする竹の極細箸
特別編「“おいしさ”を支える食まわりのアイテム」の第2回は、良質な竹の産地として知られる京都西山の長岡京に工房を構える「高野竹工」の箸。豊富なラインアップのなかから、いち押しは箸先を1.2mmにまで削り上げた「極細摺漆箸」だ。筆者は口の中に入れたときの存在感が控えめで、食べもののおいしさがダイレクトに感じられる細めの箸が好みなのだが、高野竹工の極細箸は、その願いをかなえるだけでなく、優美なたたずまいで使う人の所作まで美しくしてくれるのだ。
長さは22.5cmというほどよい長さで、四角の形状が手にしっくりとなじみ、小さな料理も難なくつかめる優れものだ。また漆を厚く塗る一般的な手法と異なり、薄めた生漆を重ね塗りする摺漆(すりうるし)という伝統技法が施されていて、自然の木目や竹の風合いを生かしながら、傷がつきにくく、耐水性や防腐性も増している。使い込んで摺漆が薄くなっても、また塗り直すことができ、長く使うことができる。
そのもの自体を味わうわけではないが、食べものを口に運ぶ重要な役割を担うのが箸。この箸は、口当たりも優しく、素材の風味を邪魔しない。箸ひとつでこれだけ食べものの味が変わることに驚かされる。
高野竹工の創業は1968年。茶道具づくりからスタートし、その経験で培った技と感性を生かして、今では、箸、器、アクセサリーなど、竹を中心にしたものづくりに取り組んでいる。開業当時から使用する材料にこだわり、茶道具に使う真竹に関しては近くの竹林を自社で整備・伐採している。立秋の頃から生育状況を見極めて、地上に芽を出してから5年以上を経た竹のみを切り出すという。
もうひとつ主要な素材となっているのが、寺社の建て替えや修繕に伴って出る古材だ。茶道具を数多く手がけてきた縁で、各地の寺社から声がかかるようになった。傷や割れ、釘や虫食いの跡といった寺の古材ならではの風合いを生かして、茶道具などを作っている。
切り出した竹には、一本一本の竹を立てて乾燥させる「水抜き乾燥」、余分な油分を取り除く「油抜き」、竹の曲がりを直す「矯(た)め直し」、太陽の光に当てる「天日晒(さら)し」といった工程を、専任の職人が施し、倉庫で数年にわたって丁寧に乾燥させることによって、美しいつやを持ち、丈夫で長持ちする竹材へと仕上げていく。さらに、その竹材を扱いやすい大きさに切断する「荒ごなし」、そして、割り、削り、塗りといったいくつもの工程を経て、上質で美しい竹製品が作られるのだ。
さらに高野竹工では1膳の箸の組み合わせにもこだわっている。別々の竹から切り出した材料ではなく、竹を割ったときに隣り合う2本を使って箸を作る。そうすることで色みや模様がそろうだけでなく、手に持ったときの微妙な重さやしなり方などのバランスが取れた1膳になるそうだ。
箸は「橋」に通じることから、人と人を結び付ける架け橋になるとされる。また毎日の食事に欠かせない道具であることから、一生食べ物に困らずに健康で長生きできるという象徴でもある。縁起もよくて、食べものもアップグレードしてくれる高野竹工の箸を大切な人に贈ってはいかがだろう。
本店高野竹工 Shop & Gallery 竹生園(ちくぶえん)
京都府長岡京市天神2-15-15 錦水亭竹生園内
営業時間/10:00~17:00 ※11月~2月 10:00~16:30
定休日/火曜~木曜 ※祝日は営業
価格/極細摺漆箸(白竹・ゴマ竹・燻し煤竹)22.5㎝ 2530円 ※税込み
問/075-925-5673(竹生園営業日のみ)※本社075-955-2868
https://www.takano-bamboo.jp/
https://takanochikko.com/
Edit & Text:Yuka Kumano