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マセラティ ジャパン
週末の過ごし方
日本で極まるメイド・イン・イタリー。
マセラティが貫くクラフトマンシップと品質への哲学
2026.09.16
マセラティが掲げる「Fatto in Italia - 日本で極まる」という言葉を目にしたことはあるだろうか。Fatto in Italiaは英語でMade in Italyを意味する。そこには、イタリアで育まれたクラフトマンシップと美への情熱を、日本ならではの緻密な品質へのこだわりによってさらに高めるという独自の哲学が込められている。約90日間の船旅を経て、千葉県印西市のPDIセンターにたどり着くイタリア生まれのモデルたち。「日本で極まる」とは何を意味するのか。 その答えを探るため、マセラティ品質を支える最後の工程を訪ねた。
111年以上受け継がれる、美への執念
1914年の創業以来、マセラティは単なる移動手段ではなく、人の心を動かすイタリアンラグジュアリーカーを生み出してきた。デザイン、走り、職人技。そのすべてに宿るのは、「より美しく、より完璧に」という情熱だ。111年以上受け継がれてきたクラフトマンシップは、今もクルマづくりの隅々に息づいている。
その旅は、世界遺産都市モデナの歴史あるファクトリーから始まる。長きにわたって数々の名車を生み出し、マセラティの魂を受け継いできた聖地だ。ここには、ブランドが誇る「メイド・イン・イタリー」のDNAと伝統、そして革新への飽くなき挑戦が息づいている。最新の生産ラインから送り出されるモデルのひとつひとつに、マセラティの哲学が宿る。
ファクトリーでは熟練のエキスパートたちが、丁寧にモデルを仕立てていく。そこに息づくのは、高度な生産技術と人の感性を融合させたイタリアならではのクラフトマンシップだ。マセラティが追求するのは、単なる機能や性能だけではない。ファッションや家具、建築にも通じるイタリアの美意識を、クルマを通じて表現すること。見た瞬間の美しさから、触れた時の質感、ハンドルを握った時の高揚感までをも含めて仕立てられている。その妥協なき姿勢こそが、マセラティをマセラティたらしめる理由なのである。
ジャパンクオリティをまとう
イタリア現地での厳格な検査を終えたモデルはファクトリーから出荷され、約90日間の船旅を経て日本へと到着する。だが、マセラティのクラフトマンシップと品質へのこだわりはそこで終わらない。
あらゆる商品やサービスに高い品質を求める日本の消費者。その審美眼はクルマにも向けられ、日本市場が求める品質基準は世界でも高い水準にあるといわれる。
だからこそマセラティ ジャパンでは、イタリア本国基準を満たした車両に対しても独自の検査や調整を実施する。現地ファクトリーでの品質確認を経てなお、日本であらためて細部までチェックを重ねるのだ。
イタリアで生まれた一台は、こうした工程を経て、日本市場ならではの品質へのこだわりをまとってオーナーのもとへ届けられる。
その舞台となるのが、PDI(Pre-Delivery Inspection)センター。納車前点検を意味するこの工程は、マセラティ品質を支える最後の重要なステップでもある。
0.1ミリの違和感を見逃さない
千葉県印西市にあるマセラティ ジャパンのPDIセンター。敷地には、車両を最大で5台搭載できるという、マセラティのロゴが入った巨大なトランスポーターが待機していた。イタリアからの船旅を終えた車両はすべて港からこの場所に運ばれ、通常は8日間の厳しいチェックを経て全国のディーラーへと届けられる。
許可を得て施設内へ足を踏み入れると、輸送用カバーを外された新車たちが並んでいた。1日目は輸送モードの解除やバッテリーの充電などを実施。本格的な検査は2日目から始まる。
白を基調とした清潔な空間では、インスペクターたちがハンドライトを手に車体に目を凝らしていた。小さな傷や塗装のわずかなムラも見逃さない。疑わしい箇所を見つけると、データとして記録する。1台あたり約3時間。本社のガイドラインに沿いながらも、その基準を超えるレベルで細部まで確認していくという。
3日目はメカニカルチェックだ。車両をリフトアップし、足回りやエンジンルームを点検。約100項目におよぶチェックリストに基づき、部品の装着状態からウィンカーなどの機能まで一つひとつ確認していく。
特に印象的だったのは、水漏れやオイル漏れがないかの確認だ。液体が垂れていた場合は、それが単なる結露なのか、それとも冷却水なのか。触れた時の粘度や色、匂いの違いから異常を見極める。五感を研ぎ澄ませ、ごくわずかな違和感さえ見逃さない。
PDIセンターの担当者は「問題のないことが大前提ですが、船で輸送するため、ごくまれにトラブルが起きていることがあります。その一台がいつ、どこにあるのかはわかりませんので、私たちはこうして徹底して調べるのです」と説明してくれた。
4日目には、陸運局での予備検査に先立つ事前検査を実施。施設内には車検ラインと同等の設備が設けられており、ブレーキ性能やサイドスリップ、排ガス基準、ヘッドライトの光軸や光度も視力検査のようにチェックする。
5日目は予備検査。そして6、7日目はリペア工程へと移る。機械系の調整を担うメカニックと、塗装や外装補修を担当するペインター。それぞれのエキスパートが最後の仕上げを担う。
ペインターがさまざまな道具を使いながら傷を丁寧に整えていく姿は、まるで伝統工芸の職人を見ているかのようだった。磨き上げられたグレカーレのボディに映る真剣な眼差しに、思わず声をかけるのをためらったほどだ。
イタリアと日本では文化も考え方も異なるだろう。しかし、品質への妥協なき姿勢と細部への徹底したこだわりは共通している。イタリアで育まれたクラフトマンシップは、日本での厳格な検査と調整を経て、オーナーのもとへ送り出される。その一つひとつの工程は、最初にハンドルを握る瞬間の感動へとつながっている。
最初のひと握りを、最高の体験にするために
PDIセンターで一日に各工程へ送り出される車両は8~12台程度に限られる。効率よりも品質を優先する姿勢は、出荷前の最終確認にまで貫かれていた。
8日間の工程の最終日は、クリーニングと磨きのフェーズだ。あらためて車両を美しく仕上げるとともに、初日の段階で確認した項目も含め、最終チェックを実施。二重三重の確認を経て磨き上げられた一台は、真っ白な保護カバーをまとい、全国のディーラーへ旅立っていく。
数えきれないほどのマセラティを見届けてきたPDIセンターの担当者はこう語る。
「本社が定めた基準をクリアすることは当然ですが、そこに曖昧さを残さず、一台一台を確実に仕上げることが私たちの役目です。その上で、日本でさらに品質を磨き上げていくことも重要だと考えています。日本のお客様に信頼していただくためにも、品質を優先する姿勢だけは変わりません」
そして最後に、担当者はこんな思いを語ってくれた。
「どの車も同じ品質で安心して乗っていただけることを心がけています。そして、マセラティを好きな方に、自分のクルマに会えた時の歓びを一番に感じていただきたいのです」
美しさと性能を極めようとするイタリアのクラフトマンシップ。そして、それを確かな信頼へと昇華する日本の品質文化。その融合がマセラティの完成度を高め、オーナーが最初にハンドルを握る瞬間の感動へとつながっていく。
「Fatto in Italia - 日本で極まる」
日本でマセラティに乗るオーナーは、他のどの国で乗るよりも素晴らしいドライビング体験を手にする権利を有しているのかもしれない。
問/マセラティ コールセンター 0120-965-120
(9:00~18:30/年末年始を除き無休)
https://www.maserati.com/jp/ja/models/grancabrio
Text:Nobuo Kitabayashi
Photo:Hidetaka Yamada