週末の過ごし方

伝統を継承 さらに100年先へ
軽井沢・万平ホテルの進化

2025.12.19

伝統を継承 さらに100年先へ<br>軽井沢・万平ホテルの進化
大改修を経て2024年10月にグランドオープンした「万平ホテル」の正面玄関

今年創業131年を迎えた「万平ホテル」。1894年、前身となる旅籠(はたご)「亀屋」を西洋式ホテル「亀屋ホテル」に改装したのが今日の姿につながる。舞台となる軽井沢が避暑地として知られるようになったのはカナダ出身の宣教師アレクサンダー・クロフト・ショーが別荘を建てたことに端を発する。その彼が「亀屋」を好んだこともあり、地域の発展と共に脚光を浴びる存在となっていった。

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昭和11年当時、ハーフ・ティンバー風の「萬平ホテル」。

「亀屋ホテル」が1896年に「萬平ホテル」に改称したのは外国人が発音しやすいようにというのが理由。軽井沢とホテルが世界的な社交場であったのはゆうに想像できるエピソードだ。以降、避暑地・軽井沢にはさまざまな伝説が生じた。例えば、上皇上皇后両陛下の出会いの場となった「軽井沢会テニスコート」は徒歩圏内。加えて1970年代後半、ジョン・レノンが毎年夏に家族と滞在したことでも知られる。

時は流れ、創業130周年を迎えた202410月2日、「万平ホテル」は初の大規模改修・改築を経てグランドオープンを迎えた。

変わったもの、変わってはならないもの

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着工後、大改修となった「アルプス館」。ジャッキアップされた様子も見える

大規模改修・改築プロジェクトにおいて長年愛されてきた万平ホテルの象徴を踏襲・昇華するミッションと「日本のクラシックホテル」から「国際水準のクラシック・ラグジュアリーホテル」への進化が掲げられた。耐震、断熱、防水の強化も必須で、この生まれ変わりには約1年半の休業が充てられた。

とはいっても簡単にはいかない。時間以外に技術と十分な予算が求められる。技術面に至っては建築当時から受け継がれてきた木製フレームを意図的に外に露出させるハーフ・ティンバー様式の継承。1936年建設の「アルプス館」は関東大震災の教訓から久米権九郎が考案した木造建築の耐震構造「久米式耐震木構造」により、国の登録有形文化財に登録されている。それにより耐震改修促進法の17条認定を受けての改修となる。

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左図はリニューアル前、右図はリニューアル後

本館「アルプス館」は柱や梁の骨組みを残し、ジャッキアップして基礎を補修する大改修となった。「愛宕館」は建て替え、「碓氷館」も改修されている。さらに別棟「アサマ館 桜の間」はバンケット「桜」に建て替えられた。

実際に訪れてみると過去の記憶と目にする現在に大きな誤差のない印象を受けるのだが写真でBefore and Afterを比べてみると変容が目の当たりになる。

  • Before1
    大改修前の「アルプス館」正面玄関 
  • mptop
    大改修後の「アルプス館」正面玄関
  • Before2
    大改修前の「メインダイニングルーム」
  • After2
    大改修後の「メインダイニングルーム」
  • Before3
    大改修前の「アルプス館」客室
  • after3
    大改修後の「アルプス館」客室

「アルプス館」正面玄関はバリアフリーに。日本の伝統建築のひとつ折り上げ格天井と栄華を伝えるステンドグラスに飾られた「メインダイニングルーム」の和洋折衷の内装も再現されている。

体感という部分では経年劣化によりすきま風が厳しかった「アルプス館」は暖かな空間へと。また長年、階段での上り下りを余儀なくされていたのだがエレベーターが設置され、ゲストとスタッフにとって快適な場となった。進化といえば愛宕館も目覚しい。全客室の内風呂に天然温泉によるおもてなしが加わっている。

こうして時代に則したアップデートにより、100年後も約束された「万平ホテル」。とはいえ「ホテルは人なり、おもてなしは心なり」の理念を掲げてきたからこそ、ホスピタリティの研鑽(けんさん)も実施。休業中、スタッフは母体となる森トラスト ホテルズ&リゾーツ株式会社所有の各ホテルに出向。さらにグランドオープンにあたって、サービスとホスピタリティのブラッシュアップを行ったことにより人の輝きが増したのがわかる。

「万平ホテル」の常連であった人はぜひ答え合わせに。新たに興味を持った人には伝統の継承の在り方を見届けるために訪れてほしい。

【予約・問合せ】
長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢925
0267-42-1234
https://www.mampei.co.jp/

Text: Satsuki Izumi

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