腕時計
話題沸騰中のロイヤルポップ、その本当の魅力とは?
2026.06.12
今季の時計シーンをザワつかせた新作は、あり得ないような組み合わせのコラボウォッチ。スイスの雲上ブランドとカジュアル時計の雄がタッグを組んだ一本は、時計の楽しみ方を広げる革新的なポテンシャルに本質がある。
自分らしく身に着け楽しめる新感覚タイムピース
昨今はビジネスタイムにクラシックスーツがマストではなくなった。気軽かつ自分らしい装いで働ける時代の到来である。一方、長らく社会人男子必携のアイテムと目されてきた時計はどうだろう? 確かに一部は依然としてステイタスアイテムの側面をキープしている。しかし新たな時代には、単にイバリや承認欲求のためだけでなく、もっと自由に楽しむものへとシフトしていいはずなのだ。
そんな気分が醸成されつつある今季、とんでもないコラボウォッチが彗星のごとく登場し、時計シーンはもとよりボーダーを越えて、多くの“物好き”を巻き込み話題をさらっている。それがこの「ロイヤルポップ」だ。
すでに多くの人が、この最新時計の情報をキャッチアップしていると思われる。しかしいま一度、その概要をおさらいしておきたい。「ロイヤルポップ」はスイス高級時計3大ブランドの一角、オーデマ ピゲと世界最大の時計グループに属するスウォッチが、協業にて生み出した新感覚のタイムピースである。
そもそもオーデマ ピゲは超高級モデルのみを限定生産する独立ブランド。初~中級クラスを得意とする大型ブランドのスウォッチとでは、同じ時計カテゴリーではあるものの、いわゆる“住む世界”が違う。当然、これまでは両社のコラボモデルは存在しないし、多くの業界関係者もその予感さえ抱かなかったはずだ。
しかし独自のミステリアスな広告手法も手伝って、ローンチ前から本作関連の話題は広がり、日本における26年5月16日の発売当日には、販売店舗に長蛇の列をなすという“世紀の事態”を引き起こした。
その「ロイヤルポップ」だが、先ほど時計と言わず、わざわざ“タイムピース”としたのにはワケがある。いわゆる腕時計ではなく、今や珍しい提げ時計であることがそのひとつ。コードやチェーンから提げて着用する時計は、懐中時計と呼ばれたが、本作はそれとも若干趣が異なる。
これまでの懐中時計は重厚な鉄側や銀(もしくは金)側が一般的であり、対して「ロイヤルポップ」はケース素材にバイオセラミックを用いており、非常に軽やかだ。また“ポップ”の意図を体現する鮮やかなカラーリングも、伝統的な懐中時計と一線を画す魅力的なポイントとなっている。
つまり、今までにない次世代時計アイテムたるキャラを複数擁しているのが「ロイヤルポップ」なのだ。それゆえ本作には、新たな時計の楽しみ方をあれこれイマジンさせる余地がある。
まず、ストレートに懐中時計として使用できる。クラシックなスーツベストにリンクさせてポケットに入れるだけでも実にフレッシュだ。これが重厚な本式懐中時計では、渋みの演出はできてもどこか仰々しくポップな洒落感は望めない。また単純に手首にコードを巻き付けアクセサリー感覚にて着用するのも非常にスタイリッシュ。ジーンズのベルトループに絡ませブラ下げるのもいいだろう。そして本作には販売時に付属するSサイズのランヤード(時計本体をはめる外枠付き革製コード)のほか、オプションとしてMやLサイズがそれぞれオフィシャルサイトにて販売されている。これを活用することで、ネックレスふうに首に掛けての着用もまた選択範囲となるのだ。
そして本作最大のポイントがオーデマ ピゲの至宝、ロイヤル オークのデザイン的なツボをしっかり押さえているところ。だからこそ単なるポップウォッチではなく、大人も楽しめる逸品となったのだ。ただし、それはステイタスウォッチが放ってきた例の“イバリオーラ”とは明らかに別種のエッジである。“高級”や“伝統”といったエレメントを記号的デザインに変換し、ポップに遊んでみせるというジョークにも似た“粋”があればこそ、「ロイヤルポップ」は新感覚タイムピースとして新たな扉を開いたと言えるのだ。
現在(2026年6月初旬)は、買い逃してしまった人が多く続出している本作。とはいえ販売終了を迎えたわけではなく、「ロイヤルポップ」は純粋に生産に手間が掛かる“複雑モデル”。それゆえ少数出荷とならざるを得ないだけであり、ここ数か月は限定的ながら供給は継続されるとのこと。であるから、希望する人は根気よく探し出し、是非とも新時代のウォッチスタイルを試してほしい。時計は楽しむもの。「ロイヤルポップ」なら誰もがそれを自然に実践できるはず。
スウォッチ×オーデマ ピゲ「ロイヤル ポップ」
クリップなしの状態で直径40mm、クリップ装着時は横44.2mm×縦53.2mm 厚さ: 8.4mm ケース素材: バイオセラミック 機械式(Swatch SISTEM 51)手巻き レピーヌスタイル¥57,200、サヴォネットスタイル¥61,600
https://www.swatch.com/ja-jp/royal-pop.html
Text:Tsuyoshi Hasegawa