お酒
クラフトビールと映画。【第8回】
『ターミナル』に合う一杯は?
2026.10.28
爽やかな酸味のある白ブドウのアロマがふわっと現れ、ジューシーでシルキーな飲み口。濃厚で様々なアロマの表情を感じられるのに、こんなに軽やかで飲みやすいだなんて、不思議な感覚だ。NOVORU BREWINGの作り出すビールはいつも華やかで、魔法のように私たちを笑顔にさせてくれる。その感覚が大好きで、新作が出るのがいつも、待ちきれない。
このビールとのペアリングに選んだ映画は、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の『ターミナル』。ニューヨークのJFK国際空港に到着したビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、飛行機での移動中に母国クラコウジアでクーデターが起き、パスポートが無効になってしまい、入国も出国もできず、仕方なく母国の情勢が落ち着くまで空港内で暮らすことに……。
スピルバーグ監督とトム・ハンクスの信頼度は相当なものだ。たとえ過酷な状況に陥っていたとしても、「人間って素晴らしい」「人生って素晴らしい」という気持ちにさせてくれる。
国が消滅してしまうかもしれないという不安を抱えたなかでも、彼は持ち前の明るさと、前向きな優しい心で、周囲の人びとの信頼を勝ち取り、状況を好転させていく。寝る場所がないのなら作る、英語が話せないのなら勉強する、お金がないのなら作る方法を見つける、どんな状況でも乗り越えようと努力するのだ。その方法がなんともユーモアたっぷりで、視聴者をワクワクさせ、彼への関心がどんどん高まっていき、すっかり彼に夢中になってしまう。
しかし、人生というものは努力と信頼だけではどうにもならないこともなかにはある。そこをしっかりと描くのが“スピルバーグ節”。けれど歩みを止めず、彼ならきっと乗り越えて、前に進んでくれるだろうと想像させてくれるのも“スピルバーグ”節。
NOVORU BREWING「Asobe Ⅱ」とスティーブン・スピルバーグの『ターミナル』。どちらも心が華やぎ、そして笑顔になれる最高のペアリングで、素敵なひとときを存分に味わっていただきたい。
鮎川ジュン(あゆかわ・じゅん)
アエラスタイルマガジンwebの人気企画『いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは?』の選者・執筆者。音楽家、DJ、イベントオーガナイザーなど幅広い顔を持ち、ソーシャルイシューギャラリー「SIGNAL」ではバー部門を担当。多種多様なクラフトビールを取り扱う。
SIGNAL social issue gallery
住所/東京都港区虎ノ門1-2-11 The ParkRex TORANOMON 1階
営業/火・水・木・金曜日11:00~23:00
土曜日11:00~18:00
※日・月・祝日は休み
03-6205-8220
https://signing.co.jp/signal/
公式Instagram
https://www.instagram.com/signal_socialissuegallery/
Photograph:Ryohei Oizumi
Text:Jun Ayukawa