旅と暮らし

レストラン『INUA』がオープン、
世界中を魅了する『noma』がKADOKAWAとタッグを組んだ

2018.06.20

レストラン『INUA』がオープン、<br>世界中を魅了する『noma』がKADOKAWAとタッグを組んだ

4月26日、ニュースは突然届いた。いま、世界で最も影響力のあるレストラン、デンマークコペンハーゲンにある『noma』のヘッドシェフ レネ・レゼピ氏が日本企業とパートナーシップを結び、『noma』イズムを受け継いだ『INUA』が、東京に出現するというのだ。しかもその相手は、レストラン業界ではなく出版社である株式会社 KADOKAWA! 

オープンは6月29日、場所は飯田橋にあるKADOKAWA富士見ビルの最上階である。日本、いや世界から熱いラブコールを受けていたレゼピ氏は、実にユニークな相手と場所を選んだのである。5月にはレゼピ氏も来日し、INUAのヘッドシェフに就任したトーマス・フレベル氏、そしてKADOKAWAの角川歴彦取締役会長と三者による記者発表が行われた。

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左から角川歴彦氏、トーマス・フレベル氏、レネ・レゼピ氏(※1)

なぜ、KADOKAWAなのか。それは、壇上の三者と向かい合っていたメディアの人々だけでなく、レストラン業界そして食通すべての疑問であろう。口火を切った角川会長は、2015年のレゼピ氏とのデンマークでの出会いやそれ以前からの不思議な縁に触れたあと、こう語った。「KADOKAWAが東京にレストランをオープンする意味、それはグループにとって欠かすことのできない存在であると思ったからです。コンテンツを大事にし、世界に発信していく企業において、INUAは必ず貢献してくれるでしょう」。またインバウンドという意味でも、2020年の東京オリンピックという世界に向けてプレゼンテーションするチャンスにおいても、「INUAがオリジナリティーある立ち位置を獲得するはず」だとも続けた。

レストランビジネスありきでスタートしたのではなく、レゼピ氏という人物との出会いから始まったこのプロジェクト。コンテンツビジネスにフォーカスする企業として、INUAが世界に発信できる力強いコンテンツとなり得るというトップの構想が、驚きの組み合わせへとつながったわけだ。

一方「パートナー選びは、非常にセンシティブに行った」とレゼピ氏。“食文化”という観点からも、フレベル氏が出版社のビルの最上階をINUAのロケーションに選んだことを気に入っているらしい。「シェフになったのは偶然」「内側からの衝動によりすべてが生まれる」など言葉の端々に、感性の鋭さと理屈だけでなく直感を非常に大切にしていることが見てとれる。あっと驚くパートナーシップにより出現するINUAは、飲食業界ありきではなくコンテンツとしての力を評価する企業と、ボーダレスな感性と抜群の勘を有するシェフとの出会いによるケミストリーなのかもしれない。

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INUAのヘッドシェフであるフレベル氏は、nomaの食材開発のトップを任されていた人物で、いわば右腕といった存在である。2015年に東京で行われたnomaのポップアップで来日した際も全国各地を訪ねており、日本そして日本の食材に大いに魅せられていた。フレベル氏の熱い思いは現在に至るまで続いており、今回の出店にあたっても北は北海道の利尻から南は八重山諸島まで食材ハンティングをしている。彼の知識はすでに膨大になっていて、日本人でも知らないようなレアな食材にまで及んでいるとか。

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INUAのメニューは日本の食材で構成します。日本の山菜は本当に素晴らしいが、山菜をはじめ野趣あふれるものも積極的に採り入れたい」。記者発表でも日本そして日本の食材への想いを強い口調で語るフレベル氏。nomaも、食材の開発に優れたレストランであり、それまで凡庸であったコペンハーゲン、いやデンマークの食材事情を生産者も含めて鮮やかに変えた実績がある。対する日本は、こと食材といえば豊かな土壌と四季から実に多様な恵みがすでにもたらされているが、果たして……。

約2年半じっくりと準備をしてきた「INUA」。ビジネス、パートナーシップ、インバウンド、そしてレストラン、多方面からいまだかつてないほどの熱い視線を受けるがベールを脱ぐまで、カウントダウンは最終段階に入った。

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Photograph : Jason Loucas, (※1)Ari Takagi

Text : Toshie Tanaka

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