週末の過ごし方

ライカの聖地ライツパークで、カメラや写真がもっと好きになる。

2023.12.15

ライカの聖地ライツパークで、カメラや写真がもっと好きになる。

ライカがこの秋に開催した「セレブレーション オブ フォトグラフィー 2023」と「ライカ Watch プレゼンテーション」。その舞台となったのが、ライカカメラ社が本社を構えるライツパークだ。敷地内にはライカやカメラにちなんだホテルやミュージアム、カフェなどが並ぶ。特にライカファンや写真好きにとっては聖地のような場所であり、それ以外の人にもカメラや写真に興味が湧くような仕掛けが盛りだくさんの、とっておきスポットになっている。

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「ヴィエナハウス エルンスト ライツ ホテル」はバウハウスを思わせる外観にも注目。

ライカや写真の世界にどっぷり浸かることができる、世界でも類を見ないホテルが「ヴィエナハウス エルンスト ライツ ホテル」だ。宿泊者がまず目にするのはフロントの壁に記された次の言葉。“ICH ENTSCHEIDE HIERMIT,ES WIRD RISKIERT”。これはエルンスト・ライツ2世が1924年に「ライカⅠ型」の製造に乗り出すときに残した言葉で、その意味は“ここで決断を下す、リスクは覚悟の上だ”。気持ちを鼓舞してくれるような力強い言葉に、いきなり心をつかまれる。

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    エレベーターから降りると名作写真が出迎えてくれる。
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    ジムでは躍動感にあふれた写真を見ながらトレーニングができる。
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階段の踊り場に飾られているモノクロームのポートレート写真。

館内には廊下や階段の踊り場、ジム、部屋の中など至る所に世界中の傑作写真や巨匠たちの名言が掲げられ、常に感性を刺激される宿泊体験が新鮮だ。

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レストラン「オスカーズ」では、あらゆる壁にポートレートが飾られている。

また、ホテルにはオスカー・バルナックの名前を冠したレストラン「オスカーズ」を併設。店内はパブロ・ピカソやソフィア・ローレン、ダスティン・ホフマンなど世界の著名人を写したモノクロームのポートレートで彩られ、特別な雰囲気のなかで食事を楽しめる。

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「エルンスト ライツ ミュージアム」のある建物。

カメラをモチーフにした外観がユニークな建物。この中にあるのが「エルンスト ライツ ミュージアム」だ。さまざまな写真や製品などと共にライカの歴史が紹介されているだけでなく、撮影や現像体験などを実際に行うことでカメラや写真についての理解が深まる体験型の施設になっている。

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アーティスト写真でよくあるような髪の毛が風になびく写真が撮れる部屋。

例えば、大型の扇風機を使って長い髪やコートの裾を風になびかせて撮影することで、風の効果について学べたり、レバーの操作でライティングの方向や強さを自由に変えながら光の効果を実感できるなど、特別な体験がめじろ押し。プロのフォトグラファーがやっているようなことを自分でも試すことができる貴重な場所となっている。

撮影した画像データはプリントアウトやダウンロードができるので、思い出として残せることもうれしい。

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ミュージアムショップの店内は、写真のある自室をイメージさせる什器も秀逸。

ミュージアムショップでは、写真集や写真作品をはじめ、オリジナルのトートバッグやマグネット、ポストカード、Tシャツ、マグカップなどさまざまなグッズが販売されている。

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    数多くの写真集がそろう。
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    日常的に使いたくなるトートバッグやTシャツ。

オリジナルのコーヒー豆やワインもあり、ほかでは手に入らないドイツ土産を探している人にも、うってつけのショップだ。

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    「カフェ ライツ」では、エルンスト・ライツ2世のポートレートに見守られながらのカフェタイムが楽しめる。
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    ケーキの種類も豊富で何を食べようか迷ってしまう。

パーク内巡りで疲れたら「カフェ ライツ」へ。白を基調としたすがすがしい店内でゆっくりできるのがいい。サンドウィッチやケーキも充実していて、ひとつひとつがボリュームたっぷり。コーヒーを飲みながら写真談議に花を咲かせるのもいいだろう。

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曲線使いが美しい、ライカカメラ社の本社社屋。

ライツパークにはさまざまな建物が存在するが、なかでも最も特徴的で象徴的な建物が、ライカカメラ社の本社社屋だろう。カメラのレンズとフィルムのスプール(巻き上げ軸)をモチーフにした外観はインパクト抜群で、上部にはおなじみのライカの赤いロゴマークが掲げられている。

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    ピュリッツァー賞を受賞した写真も並ぶ本社内の展示コーナー。
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    ライカ博物館と呼びたくなるほど、ライカ製品がズラリと並ぶ。

本社社屋にはビジネスとしての機能だけでなく、一般の人が楽しめるコンテンツもたくさん用意されている。例えば、100年以上となるライカの写真の歴史を物語る、超厳選された36枚の傑作写真を鑑賞できたり、ライカがこれまでに作ったカメラやレンズ、双眼鏡がズラリと並んだ、いわば博物館のような展示スペースがあるなど、かなり充実した内容になっている。

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現行品から年代ものまで、さまざまな中古製品が並ぶ「クラシックストア」。

また本社には中古のカメラやレンズを販売する「クラシックストア」と、修理などを請け負う「カスタマーケア」も併設。ライツパークにはほかにも新品を扱うライカストアもあり、ライカや写真の魅力に触れているうちにカメラが欲しくなったときは、購入を検討するのもいいだろう。

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ライカカメラ社の生き字引のような存在として知られるステファン・ダニエルさん。

「クラシックストア」についてライカの持続可能性にも配慮した場所だと話すのは、生え抜きのライカ社員であり、上級副社長のステファン・ダニエルさんだ。

「ライカの製品はライカであるがゆえに使わなくなったら処分するようなものではありません。そのような製品をライカのユーザーが中古としてわれわれに還元してくれて、それをクラシックストアでは点検整備したのちに保証をつけて手に取りやすい価格でみなさんに還元しています。こうした循環によって、より多くの人にライカを使っていただける機会を生み出しているのです」

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ライカカメラ社のエントランス。先日逝去したエリオット・アーウィットのチャーミングな作品に見送られ、ライツパークを後にした。

ライカや写真の魅力を味わえるコンテンツが盛りだくさんのライツパーク。誰もが日常的に写真を撮る今の時代だからこそ、多くの人に訪れてほしい場所なのである。

Photo & Text:Hiroya Ishikawa

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