旅と暮らし

俳優・岸谷五朗、街を呼吸する。
第1回 丸の内

2017.09.29

俳優・岸谷五朗、街を呼吸する。<br>第1回 丸の内

多くの視線にさらされることが仕事という俳優にとって、リアルな街並みであれ、ステージの書き割りであれ、そこでの存在感は間違いなく生命線だ。もちろん、そのあり方はたたずむ場所によって異なる。

「舞台であれば自分にお客さんの目を集めるようにします。でも映画やテレビであれば、他の役者が近くにいることを見せつつ、そのなかで自分を立たせなきゃいけない」と岸谷五朗は演じる際の心構えを語る。

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演じるキャラクターを体得するための努力は惜しまない。漁師役のために撮影日よりも早く現地に入り、地元の男たちとともに網を張り、船に乗る。そうして少しずつ役を自分の体に染み込ませていく。

「面白いですよ。同じ漁師でも、北海道と小豆島ではまるっきり雰囲気が違いますからね」と楽しそうに笑う。

連載第一回は丸の内。岸谷にとってここは舞台公演の場所だ。
「このあたりは劇場に行くときによく通ります。でもいつもその日のステージで頭がいっぱいで、よく見ていませんでしたね。いい建物がいっぱいあるのに……」

皇居近くにあり、文明開化の頃からさまざま洋風建築が建てられてきたこのエリアは、いわば街自体がひとつのステージ。キャリアを重ねてきた大人の男だからこそ似合う場所だ。

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風景を壊さない、風景に負けない――名優の条件として語られるこの言葉は、確かに丸の内にたたずむ岸谷五朗にふさわしい。

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<岸谷五朗(きしたに・ごろう)>
1964年生まれ。大学時代から劇団スーパー・エキセントリック・シアターに在籍し、舞台、テレビ、映画で活躍する。特に1993年「月はどっちに出ている」では映画初主演にして多くの映画賞を受賞し、高い評価を集めた。94年に独立後、同時に退団した寺脇康文と組み、演劇ユニット地球ゴージャスを主宰。出演以外に演出・脚本も手がけ、毎公演ともソールドアウトとなる人気を集めている。待望の次回公演は来年春を予定。

<丸の内とは?>
皇居外苑と東京駅の間のエリアで、大手町と並ぶビジネスの中心地。明治維新以降、財閥系のビルや省庁が建てられたことから、急速に発展した。現在も重厚な造りの建築が並ぶほか、周辺には帝国、日生、東京宝塚など、日本の演劇人にとって最高峰の劇場が集まる。最近は再開発に伴い、有名ブランド、セレクトショップが競うように出店。ファッションのトレンド発信地のひとつとなっている。

<訪れた店>
ラルディーニ東京店
数々のビッグメゾンのアイテムを手がけてきたラルディーニ。上質な素材、スタイリッシュなフォルム、緻密なディテールはクラシコイタリアの名にふさわしい。世界6店舗目となるこの東京店は今年4月にオープン。ミラノ店と同じコンセプトによる内外観が、丸の内にふさわしい風格を生み出している。東京都千代田区丸の内2-5-1 丸の内二丁目ビル 1F 03-5224-3880 営業時間11時~20時 無休 http://www.lardini.jp/

スーツ¥168,000 タイ¥14,000/ともにラルディーニ チーフ¥9,000/ガブリエレ パジーニ(すべてラルディーニ 東京店 03-5224-3880) シャツ¥19,000/ストラスブルゴ(ストラスブルゴ 0120-383-563)

掲載した商品はすべて税抜き価格になります。

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Photograph:Satoru Tada(Rooster)
Styling:Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair:AKINO@Llano Hair(3rd)
Make-up:Riku(Llano Hair)
Text:Mitsuhide Sako (KATANA)

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