紳士の雑学
ジャケットを構築するディテールを知る
[ベスト、フロントボタン]
2017.10.18
ウエストシェイプが導くシルエットの妙。伝統的なあしらいに込められたTPOとの相関関係。手の込んだ仕立て業が生み出す軽快な着心地…。それらの差異に目を向ければ、スーツスタイルは実に楽しい。「神は細部に宿る」とは近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエの言葉。それは、大人の男の装いにもあてはまる。
Vest ベスト
ノーカラー型
襟のないベスト。ビジネスシーンに好ましい普遍的なスタイル。ベストはウエストコート、オッドベスト、あるいはジレと呼ばれる場合もある。ノットドラペル型
ノッチ(V字切り込み)が、上襟と下襟の合わせで刻まれたラペルをもつベスト。クラシカルな印象が強いスタイルといえる。
Front フロントボタン
シングル2つボタン
2つのボタンをタテ1列に配した、シングルブレステッド(片前)の前合わせで、上部のボタンだけを留める。いわゆる、上1つがけの仕様。シングル3つボタン段返り
アメリカントラッドで多く見られるスタイル。上と下のボタンを留めずに、中央のボタンのみを留める(=中1つがけ)のがお約束。シングル3つボタン
上の2つのボタンを留め、いちばん下をはずす仕様。ボタンの留まる位置が高くなるので、Vゾーン(襟開き部分)の分量も狭くなる。
ダブル4つボタン
前合わせが二重でボタンの配列が2列。計4つのボタンが配された仕様。ボタンはすべて留めても、下1つだけはずしてもよい。ダブル6つボタン
ボタンを6つ配したダブルブレステッド仕様。左右上部の2つのボタンが外側につく、スプレッドアウトと呼ばれるスタイルが一般的。
出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)