カジュアルウェア
ファッション トレンド スナップ13
英国王室も休日着として愛用するワックスド ジャケットの着こなしをロンドンで学ぶ
2017.10.27
防水ワックス(油)を塗り込んだコットン生地を使い、襟にはコーデュロイの生地が付けられたオリーブグリーンのジャケットやコートのことを、英国ではワックスド ジャケットと呼んでいます。
このジャケットは、ウェールズの牧羊地で働く人たちから、ロンドンのブランド店が並ぶニューボンドストリートでデートする人にまで幅広く愛用されている国民的人気のカジュアル&ワークウエア。
代表的なブランドは、1894年にジョン・バブアーによりイングランド北東部のサウス・シールズで創業したバブアー(Barbour)。
今ではおしゃれな直営店が東京や大阪にありますが、以前は主にアウトドアショップで販売されていました。
そのため50歳以上のフィッシングやハンティング、乗馬などをやっている方には、このブランドはファッションアイティムではなく、アウトドアで使い込む服(ギア)といったイメージをもっていることが多いはず。
ちなみに、Barbourは日本でのカタカナ表記は、公式ホームページ(https://www.japan.barbour.com)に表記があるようにバブアーとなりますが、ロンドンではこの発音ではなかなか伝わりません。
どちらかと言うと「バーブァ」(https://www.youtube.com/watch?v=zZWBLcsfA3U)という感じです。
その昔、英国の車のジャガー(Jaguar)を「ジャグワー」(©徳大寺有恒)や「ジャギュア」と発音したりする人がいましたが、日本で一般的になってしまったカタカナ表記が正式名称(ロンドンでは通じにくい発音)になったという点と、英国マニア以外からも人気があるという点で両者はよく似ています。
ちょっと話がそれましたね。
今回は、この超英国的なジャケットをロンドンのジェントルマンはどんなふうに着こなしているかをレポート。
トップバッターはこの御仁。
オリーブグリーンのワックスドジャケットにデニムという定番の組み合わせですが、野暮ったくないですよね。
ポイントは、デニムがスリム だということと、足元がスニーカーという点。
オールドファンなら足元を革靴のウィングチップとかにするところでしょうが、そうしないところがこの御仁のセンスの見せどころ。今のトレンドをさりげなく採り入れていますね。
そして、デニムと靴の色を合わせることによって脚長効果が生まれています。
こちらの御仁もワックスドジャケット+スリムデニム+スニーカーです。
日本ではバブアーのジャケットは、白やネイビーなどのカラーものが店頭に並んでいますが、英国では、このセージ(オリーブグリーン)というカラーが一番人気で、ロンドンの直営店でほかの色を探そうとするとひと苦労します。
こちらの御仁は、ロンドンのコベントガーデンにあるバブアーショップのマネージャーのマークさん。
着ているジャケットは、英国の折りたたみ自転車ブランドのブロンプトンとコラボした特別モデル。都会のサイクリストのために、首元がスタンドカラーになり防風のために首元にストラップがついています。
裏地には、背中の途中に通気性がよく汗でべとつかない生地を使用。
ブロンプトンとのコラボを示す織りネームには、折りたたみ自転車とバブアーが昔使っていた灯台のイラストが入っています。
その上には通常の織りネームがついていますが、よく見ると3種類のマークが入っているのがわかるはず。
これは、英国王室御用達のマークで「ロイヤルワラント」と呼ばれるもの。
バブアーは、1974年にエディンバラ公、1982年に女王陛下、1987年にはチャールズ皇太子から授かっています。
このブロンプトンとのコラボモデルは、日本でも購入可能。
マートン ジャケット ¥64,000
バブアー 渋谷店 TEL 03-6450-5993
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもマネできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウォッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi