腕時計
SIHH2018先取り新作時計情報
VoL.2 A.ランゲ&ゾーネ
2017.12.26
高級腕時計の新作が勢ぞろいする毎年恒例の国際展示会「SIHH(Salon International de la Haute Horlogerie」が2018年1月15日からスイスのジュネーブで開催される(19日まで)。この展示会はジュネーブサロンとも通称されており、28回目となる。18のメゾンが個別に大型パビリオンを構えるほか、カレ(Carre des Horlogers)と呼ばれる特別セクションに17メゾンが出展。
今回はエルメスの参加がホットな話題だが、合計35のメゾンが華麗な競演を繰り広げることになる。プレSIHHとして、注目の新作を先取りして紹介しよう。
ブランド再興の祖である、
故ウォルター・ランゲの功績を称える限定モデル
A.ランゲ&ゾーネは1845年にドイツのザクセン州、グラスヒュッテで創業した名門老舗ブランド。第2次世界大戦後に東ドイツの国営企業に接収されたが、東西ドイツが統合した1990年に劇的に復活。懐中時計のころからの伝統を忠実に継承しながらも、画期的な機構を意欲的に開発してきた。
同ブランドの再興に尽力した4代目のウォルター・ランゲが、2017年のSIHH開催中に逝去。それから約1年を経て、彼の功績を称える記念限定モデル「1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”」が発表された。一般的な機械式時計は秒針がチチチチと小刻みに進むが、このモデルのセンター秒針は1秒ごとにダイヤル外周のレイルウェイモチーフ(線路状の目盛り)に合わせてチッチッチと跳ぶように動く「ジャンピングセコンド」。1秒単位の経過を正確に読み取れるだけでなく、この秒針を2時位置のボタンでストップ・スタートできる。
この機構はウォルター・ランゲの曾祖父であり、創業者のフェルディナント・アドルフ・ランゲが1867年に発明。長男のリヒャルトが発展させて77年に特許を取得。次男のエミールが懐中時計として実用化しており、いわば家族の歴史が込められていることから、ウォルター・ランゲ追悼記念の腕時計にふさわしい複雑機構としてムーブメントが開発された。「ジャンピングセコンド」だけでなく、6時位置には通常の運針のスモールセコンドも設定されている。
この限定モデルのベースとなった「1815」も、創業者の生誕年にちなんだネーミングであり、ブルースチールの針やシャープなイメージのアラビア数字など、懐中時計のころの伝統的な要素と意匠を受け継いできた。さまざまな意味で、ランゲ一族の系譜を語れるシンボリックな記念モデルといえるだろう。
ケース素材によって本数が異なる限定になっており、ホワイト、イエロー、ピンクゴールドのほか、同ブランドでは最上級モデルで数点しか例のないステンレススチール製ケースのモデルが1本のみ製作される。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/A.ランゲ&ゾーネ 03-4461-8080
text: Keiji Kasaki