紳士の雑学
知っておきたい、コートのディテール
[袖型、前合わせ]
2018.01.25
秋から冬にかけて、屋外での装いの主役はアウターウエアとなる。ひとくちにアウターと言っても、そのスタイルは実に多様。それらの歴史をひもとき、ディテールを堀り起こし、それぞれの役割や価値に思いをはせれば、男の装いはもっと楽しくなる。
Sleeve 代表的な袖型
ラグランスリーブ
襟ぐりから袖付けを仕立てた袖型で、脇にかけて切り替えが入った形状から肩抜き袖とも呼ぶ。肩まわりの自由度が高くレインコートに多用。セットインスリーブ
身頃の肩から脇下へとほぼ垂直にアームホールを開け、袖山をもたせて袖付けする仕様。最も一般的な設計であることから普通袖とも呼ばれる。
スプリット ラグランスリーブ
ラグランスリーブとセットインスリーブを組み合わせ、前側はセットイン、後ろ側はラグランといった具合に(その逆も可)しつらえる変形袖。セミ ラグランスリーブ
一見セットインスリーブに見えるが、実は袖山にラグランシームと呼ぶ縫い目が配されたものを指す。スプリットスリーブとも呼ばれる。
Front 代表的な前合わせ
ボタンスルーフロント
ボタンホールを通して、留めボタンが表側に見える仕立て方で、最もオーソドックスなフロントスタイル。打ち抜きボタンという呼び方もある。フライフロント
ボタン留めの部分を2重構造の比翼仕立てにすることで隠しボタンにする仕立て。しっかりとした打ち合わせになるので防寒に役立つ。
タイロッケン
ボタンが無くガウンのようにベルトで締めるスタイル。この名称はバーバリー社の商品名だが本来のラップアラウンドという呼称よりも一般的。トッグル
ひもにセットした留め木をもう一方のひもに引っ掛けて留めるもので、ダッフルの顔とも言えるスタイル。両前合わせで着用することができる。
トレンチのベルトはどう締める?

これに関する提案は世にいくつもあるが、正面から少しずらして無造作に結ぶ方法が、最もさりげなく様になる。
出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)