旅と暮らし

古城をリノベーションした、スペイン国営の宿「パラドール」

2018.02.02

大石智子 大石智子

古城をリノベーションした、スペイン国営の宿「パラドール」

Parador de Hondarribia(パラドール デ オンダリビア)
オンダリビア/スペイン

「世界一の美食都市」と称されるサンセバスチャンの隣に、オンダリビアという大好きな街がある。オンダリビアはフランスとの国境沿いにある小さな港町。サンセバスチャンへはクルマで約30分。便数の多いバスも便利だ。しかも街からサンセバスチャン空港へはクルマで約5分と、サンセバスチャンから空港よりも随分近い。

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オンダリビアにはバスク建築らしい木組みの家々が並び、海にはたくさんのヨットが浮かぶ。そして愛犬家が多く、海沿いでの犬の散歩も多くみられる。つまり、この街の景色は信じられないくらい平和! 街には「アラメダ」という素晴らしいレストランやいいバルもあるので、もしもサンセバスチャンに行く機会があるのなら、1泊はオンダリビアに泊まるのがおすすめだ。

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そんなオンダリビアにはまったきっかけは、「パラドール デ オンダリビア」というホテルを知ったことだった。世界中から旅行者が集まるサンセバスチャンにホテルは多いけれど、意外と泊まりたいと思うホテルがない。お金に余裕のある人は、サンセバスチャン随一の高級ホテル「ホテル マリア・クリスティーナ」で優雅に過ごしたらいいと思う(ちなみにこのホテルのおみやげさんにはいい食材がたくさん売っているので、ぜひのぞいてみてほしい)。

私の場合はレストランに莫大な金額を使うし、旧市街のAirbnbに泊まるのが定番。そう思っているなかひかれたのが、隣町のオンダリビアにあったパラドールだった。

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パラドールとは、古城や修道院をホテルとしてよみがえらせた、スペイン国営の宿のこと。「パラドール デ オンダリビア」は、元は980年に建てられた要塞で、その後16世紀にカルロス5世のお城として改築された。元要塞なだけあり、頑強にできた外壁は夜にはものものしいオーラを放ち、館内には中世の大砲や槍が飾られている。シャンデリアまで武器のように見える造りで、夜に探索すれば異世界に迷い込んだよう。

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中世の雰囲気が魅力のパラドールであるけれど、じつは最も好きなのは、部屋からの眺めだ。窓が額縁となり、その中に見えるのは青い空と海、たくさんの小さなヨット。明け方には海が朝日に赤く照らされ、ヨットの影が海に浮かぶ。太陽がのぼったら、『天空の城ラピュタ』に出てきそうな中庭に面するカフェでフレッシュオレンジジュースを飲む。このゆったりとした、朝の数時間が幸せだった。

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ビジターでもお茶をできる場所はあるけれど、趣たっぷりの館内を散歩できるのは宿泊者だけなので、1泊はする価値あり。ちなみに2014年の夏に泊まった際は2万円台後半だったのに、2017年の夏には3万7000円と値上がりしていた。ラグジュアリーホテルではないので、少し割高な気がする。でも、オンダリビアの満足度が高いので結果オッケー。小さな街ではあるけれど、日帰りではなくのんびり過ごしたい場所だ。

昼はサンセバスチャンでバル巡りをして、その後オンダリビアへ。「パラドール デ オンダリビア」でくつろぎ、夜は「アラメダ」でディナー。翌日はオンダリビアの街を散歩しながらバル巡り。バスクに行く際は、そんな1泊2日を旅程に組み込んでみてはいかが?

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http://www.parador.es/es/paradores/parador-de-hondarribia

プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

<<ブエノスアイレス/アルゼンチン 「パラシオ ドゥオー パーク ハイアット ブエノスアイレス」

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