旅と暮らし
ミニ四駆第3次ブームが到来
大人がハマる、そのワケとは?【前編】
2018.03.16
13年ぶりに復活した2012年のジャパンカップ(第13回)とともに再燃したミニ四駆人気。盛り上げたのは、ミニ四駆第1、第2世代と呼ばれる、30代から40代の“かつての少年たち”だった。あれから6年。現在の状況を探るべく、タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店を訪れてみた。
1982年に誕生したミニ四駆。接着剤を必要としない手軽さと、少年向け漫画雑誌との連動により一大ブームを巻き起こした。1988年に行われたミニ四駆日本選手権、通称ジャパンカップでは、全国で5万人超もの参加者を動員している。それはまさに社会現象であった。
その後、一時人気が停滞するものの1990年代には第2次ブームが起きている。と、ここまではよくある話。たいていはその後、真の終焉(しゅうえん)を迎え過去の遺物となるものだが、ミニ四駆はなんと2012年のジャパンカップ復活をきっかけに第3次ブームを巻き起こしたのだ。しかし、第3次ブームは、1次や2次とは決定的に異なる点がある。それは、ブームを牽引しているのが大人であるということ。第1次ブームを経験したかつての少年たちが、大人になって再びミニ四駆の世界に帰ってきたというわけだ。
子どものころに満足に手に入れられなかったおもちゃを、大人になってから手に入れることなどたやすいことだ。おまけに、第1世代は、いまのように遊びの選択肢が多くなかった世代。彼らをターゲットにすれば、今回のような時代を経てのブームは比較的起きやすいといえるだろう。しかし、タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店のストアマネージャー半谷さんによれば、これは単なるリバイバルブームではないという。
確かにきっかけは、第1次ブームを子ども時代に経験した30代から40代による“懐かしさ”だった。しかし、そこから彼らの子どもたちにも人気が波及。現在、幅広い世代にミニ四駆人気が広がっているのだ。世代を超えて人気を集める現象は、第1次にも第2次にもなかった、初めてのことだと半谷さんは語る。
大人、子ども、親子にクラス分けされているジャパンカップでも、回を増すごとに親子参加が目立つようになっている。第1世代の人たちのなかには、ミニ四駆によって車に興味を覚え、その後エンジニアになって活躍している人も少なくない。そんな親たちのなかには、ミニ四駆を単なるホビーではなく立派なエデュケーショナルモデルとして位置付けている人も多いのだ。さらには、母親もミニ四駆に理解を示す人が多いという。第2次ブームを牽引したテレビアニメは、当時女の子からの人気も高かった。それを経験した母親世代は、ミニ四駆に対して親しみがあるのだ。そんな母親の影響もあり、昨今は男の子だけでなく女の子がミニ四駆で遊ぶ姿も散見される。
初代の発売から36年。3度のブームを経て、さまざまな伏線がつながったミニ四駆は、いまや、国民的ホビーとなりつつある。
Text:Masafumi Yasuoka
Photograph:Ari Takagi