旅と暮らし
ミニ四駆第3次ブームが到来
大人がハマる、そのワケとは?【後編】
2018.03.19
2012年のジャパンカップ復活を機に、いまでは幅広い層へと浸透したミニ四駆人気。取材に訪れたタミヤ プラモデルファクトリー 新橋店では、2階に特設されているミニ四駆コースで、定期的にレースが行われている。今回は、レース参加者の生の声から、ミニ四駆のいまを探ってみたい。
訪れたのは、タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店の2階で行われるミニ四駆レース「ミニ四駆ナイトチャレンジ」。その名のとおりレース開始は19時からと、大人をターゲットにしたイベントだ。コースの脇には長テーブルがあり、そこで参加者は自前の道具を並べてレース前の調整を行う。その光景は、F1のピットさながらである。
この日の参加者は、30代から50代。仕事帰りに来たというスーツ姿の人も多い。新橋にショップを構ることで、「大人になってホビーの楽しみを忘れてしまったかつての少年たちが、戻ってこられる場所を作りたい」というタミヤの思いが、見事果たされたのだ。
レースといっても、会場は実に和気藹々(わきあいあい)としている。ほとんどの人がミニ四駆を通じて仲良くなったそうで、年齢も仕事も立場もバラバラだが、なかには同じ職場の上司と部下という組み合わせも。ミニ四駆を通して、コミュニケーションを図っているという。もちろん新橋という場所柄、レース終わりの飲みニケーションも含めて。
16歳のお子さんがいるオオサワさんの場合は、ミニ四駆が子どもとのコミュニケーションツールになっているという。ミニ四駆第1世代のオオサワさんは、第3次ブームをきっかけに、子どもとミニ四駆で遊ぶようになった。単純な構造のミニ四駆は、当時小学生だったお子さんでも扱いやすく、すぐに大人と対等に遊べるようになった。小学生も高学年になると、子ども扱いされるのを嫌うもの。だから、親からの押し付けではなく、対等に遊べるミニ四駆はいいツールになってくれたとオオサワさんは語る。高校生となったいまでも、ミニ四駆遊びだけは誘えば付き合ってくれるそうだ。
ナイトレースの参加資格は18歳以上となるが、レース前には大人に交じって会話する中学生の姿も。50代のスーさんによれば「この子から改造のテクニックを教えてもらうことも多々あります。ここでは年齢なんて関係ありません」。
ふと会場の外に目をやれば、若い外国人カップルが見学に訪れていた。実は海外におけるミニ四駆ブームは現在、日本以上に加熱している。ここ新橋店にも、インバウンド客は多い。ミニ四駆は、いまや海外とのコミュニケーションツールにもなっているようだ。
3度のブームを経て、世代も性別も国も超えて支持されるようになったミニ四駆。しかし、ミニ四駆の歴史や経緯をひも解くと、第3次ブームはなるべくしてなったと思わざるを得ない。
Text:Masafumi Yasuoka
Photograph:Ari Takagi