紳士の雑学
夏にスーツを着るなら生地選びで差をつけろ!
2018.04.10(最終更新:2020.05.14)
装いで知性と品格を表現し、ビジネスに有利に作用させたいならば、服飾用語への造詣を深め、TPOを踏まえた服装術を身につけることが肝要。それはまた、パズルのような知的遊戯への誘いであり、男のエレガントさを追求する旅でもある。洋服の素材は、そこに奥行きを加える重要な一片だ。
Spring & Summer 春夏向けの生地
ミルとは?
自社ブランドを有し、自社工場で製造する生地メーカーがミル。古来、英国の服地製造業者を指す呼称だが、現在ではイタリアなどの優良なメーカーもミルと呼ぶ。これらは総じて、素材選択の厳格な基準を守り、伝統的かつ丁寧な製法で特色のある生地を生産する。信条や地域性を反映するあまり総合的な展開は不得意になりがちだ。とはいえ、こだわりの逸品を求める者にはうれしい存在。
マーチャントとは?
生地メーカーのもう一方の形態がミルに対するマーチャントで、織物商社のことを言う。マーチャントは、原料を買い付け、契約を交わすミルに生地を織らせ、保管管理を行うとともにバンチ(見本帳)を作成し、これをショップやテーラーに配布して顧客に選択させるという流通の仕組みをもつ。また、トレンドを素早く予測し対応する製品を供給するので、プロデューサー的な役割も担っている。
スーパーとは?
スーツを選んでいるとスーパー100'sといった表示のある素材をよく見る。これは原毛の太さを示す表記で、この数値が大きいほど原毛は細くなり、滑らかでつやのあるしっとりとした生地が仕上がる。しかし注意したいのは、この数字が大きいほどいいとは限らないということ。なぜならば、数字が大きくなるとその分だけ耐久性が下がり、タフなビジネスシーンには不向きとなるからだ。
出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)