旅と暮らし
料理も空間も過ごす時間もアートそのもの
とっておきの夜に選びたい店
[部長の名店]
2018.04.12
接待、歓送迎会、家族の記念日に使うハレの店なら、部長に聞こう。今日は自分においしいランチを奢(おご)りたい、そんな日も部長に聞こう。そっと会社の近くのいい店を教えてくれるはずだから。
さまざまな企業で働く部長たちに聞いた「名店」をご紹介します。
暖簾をくぐると、ネオジャパネスクの世界が広がる。古くから名店が多いと言われる南青山のビルの地下1階、「アートのなかで食事する」というコンセプトのもとオープンして足掛け7年が過ぎた。店名の『東京十月』は、開業月から。加えて、東京で興味深い多くのアートイベントが開催される月だから。アートを楽しむ感覚で店をのぞいてほしいというオーナーの気持ちが込められている。
その思いのとおり、器はパリのブランド〝アスティエ・ド・ヴィラッド〞。店中央にある大テーブルは、彫刻家〝アンテ・ヴォルジュノヴィック〞の作品。テーブル中央にある水のスペースが店の空気を彩る。水を眺めながらの食事はなぜか落ち着く。店にあふれるアートは、共に過ごす人との会話の糸口にもなるだろう。
料理は美しい創作和食。アラカルトもいいが、コース(写真・7000円)がおすすめ。部長は「大人の空間が落ち着く」とのこと。推薦の弁どおり、印象深い夜を演出できること間違いなしの店だ。
Photograph:Reiko Masutani
Text: Sachiko Ikeno