紳士の雑学

エールタイプのクラフトビール
クラフトビールの楽しみ方 第4回

2018.05.10

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今でこそ、上面発酵のエールも珍しくなくなったが、その昔、イギリスのパブで飲んだビールの生ぬるさに驚いた人も多いに違いない。そう、高い温度帯で発酵させる上面発酵のエールの多くは冷やしすぎずに楽しむもので、同じビールであっても、一般的なピルスナーとは、味わいも楽しみ方も大きく異なる。第4回は、上級者向きのエールタイプのクラフトビールのなかでも代表的な「ペールエール」「IPA」「スタウト」「ヴァイツェン」の4種と、ラガー&エールのどちらでもない自然発酵のビール「ランビック」。その5種の味わい方を、藤原ヒロユキ氏に教えてもらおう。

ペールエールとは

こだわりのビアバーなどでよく耳にするのが「ペールエール」。イギリス発祥のビールで、色は黄金色から銅色まで幅がある。上面発酵酵母による豊かな香りが特徴だ。これがアメリカに渡ってアメリカンペールエールが誕生する。北米産のホップを豊富に使用するため、ホップの苦みと香りが楽しめるのが特徴で、その人気は世界的なものとなった。

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代表的な一本として、藤原さんが挙げたのがシエラネバダ。「1980年の創業時から醸造されている全米No.1の伝説的なペールエールです。“クラフトビール先進国”アメリカの道筋をつけ、市場を牽引してきたビールです。グラスを斜めにしてそっと注ぎ、泡をほぼ立てずに注ぎきるのが、香りと心地よい苦みを味わうコツです」

IPAとは

「IPAって何?と思っている人も多いのではないでしょうか。“インディアペールエール”の略です。インディアはインディアンではなく、“インドの”です。18世紀、イギリスから植民地インドにビールを送るのは、喜望峰回りの長い船旅。赤道を2回越える温度差の大きい長期輸送でもなるべく品質が変わらないよう、防腐効果のあるホップをより多く使ったのが始まりです。結果、苦みと香りが増し、新たなビールカテゴリーとして定着したんですね」と藤原さん。

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そのなかでもおすすめの一本が、静岡産の帝国IPA。しっかりとしたコクと苦みと爽やかなホップフレーバーがビール好きにはたまらない。

スタウトとは

黒くなるまでローストした大麦(麦芽とは限らない)を使用し、上面発酵によって醸造されたビールで、その代表的な銘柄がギネス。同じ真っ黒なビールでも下面発酵のシュバルツとは異なり、より、重厚でリッチな香りが特色。

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写真は国産クラフトビールの老舗・箕面ビールの一本。スタウトビールには、甘みが強く濃厚な味わいのスウィートスタウトと、シャープで苦みが強いドライスタウトがあるが、こちらはドライタイプ。しかし苦みのほかに、チョコレートのようなアロマや、トロリとしたまろやかな風味もあり、飲み口はエレガント。斜めにして注ぎはじめ、最後は瓶を垂直に持ち上げて、ほどよく泡を立てるように注ぐのがコツ。

ヴァイツェンとは

小麦麦芽を50%以上使ったドイツ(主に南ドイツ)の伝統的なビール。「ドイツには、ビールを造る際には、麦を発芽化させなければいけない法律がありました。ホップの苦みが少なくフルーティーに仕上がるのが特徴です」と藤原さん。

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写真は鳥取の大山国立公園の近くのブルワリー「大山Gビール」。地元の麦やホップを使って造る、本来のクラフトビールの意味を大切に造り続ける醸造所の名品。

ホワイトエールとは

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ベルギーで造られてきた小麦を使った白ビールの一種。一般にビールの原料は麦芽(発芽させた大麦や小麦)だが、ホワイトエールは、麦芽に、麦芽化されていない小麦を加えて醸造する。液体は白濁しているのが特徴。「フルーティーな香りや酸味があり、ビールの苦みが苦手という方にもおすすめです」

日々進化している街・東京を象徴するビール、というコンセプトのもとに誕生した「FAR YEAST 東京ホワイト」。香り豊かでドライなホワイトエール。垂直に注ぎ、最後は高さを出して、泡をしっかり立てるのが持ち味を十分に味わうコツ。

ランビックとは

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「ビールにはもうひとつ、ラガーでもエールでもない、自然発酵の『ランビック』というジャンルがあります。ベルギーの主都ブリュッセルとその近郊で、麦汁をひと晩自然に冷却して造ります。初めて飲む方は、強烈な酸味に驚きますよ。でも、慣れるとやみつきに」と藤原さん。写真はランビックのなかでも代表的なカンティヨン。醸造所はユーロスターも停車する国際駅、ブリュッセル南駅から徒歩5分の場所にあり、1900年より家族経営を続けている希少な醸造所です。

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「こうして飲み比べると、日本人にとってのいわゆるビールの概念にはあてはまらない味わいの幅の広さに驚くことでしょう。好みのタイプを見つけるもよし、軽い運動をしたあとに、食事に合わせて、まったりとくつろぎながらと、シチュエーションに応じて飲むビールを変えるのも楽しいでしょう」と藤原さん。クラフトビールの知識を身に付けることで、ビールの楽しみをぐっと広げることができるはずだ。

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Photograph : Makiko Doi
Text : Hiroko Komatsu

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