腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
カシオ
2018.05.16
年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
日本古来の「匠の技」をハイテクウオッチにアレンジ
カシオは「ハイブリッド電波ソーラー」(地上の標準時刻電波とGPS衛星電波を受信)に加えて、スマートフォンとも連携した3ウェイの「Connectedエンジン」などクオーツ時計のハイテク機構を先駆的に開発。その一方で、バーゼルワールドでは日本古来の伝統的な「匠の技」をアレンジした記念モデルを発表してきた。
今年も日本刀の「鉄鐔Tetsu-Tsuba」に注目。手を守るという実用性だけでなく、高い芸術性を有する意匠が彫り込まれた日本刀の鐔(つば)をイメージした世界限定の「MR−G」が登場した。鉄をたたいて造形する際にできる凹凸をベゼルに再現して強さをアピール。伝統工芸で使用される「紫金(むらさきがね)」、「素銅(すあか)」をイメージした茶褐色のカラーリングも特徴的だ。
エレガンスとハイテクをコンセプトにしたソーラー電波時計“OCEANUS”でも、同じく日本の伝統工芸である江戸切子を採用。ガラスの表面を削ることでさまざまな文様を描く技法だが、これをダイヤモンドに次ぐ硬度で加工が困難なサファイアクリスタルで実現。ベゼルのリングとして精緻(せいち)なカッティングが施されているほか、異なる色の蒸着を何度も重ねることで完成した深みのあるブルーが印象的。
耐衝撃時計として一世を風靡(ふうび)した「G-SHOCK」は、カシオの技術者が誤って時計を落として壊したことが開発のきっかけだった。3階の窓から時計を落下させる実験などさまざまな試行錯誤を繰り返して、2年後の1983年に製品化。今年は誕生35周年となる。これを記念して、初代モデルのデザインを忠実に継承しながらも、すべてをステンレススチール製のフルメタルにした進化モデルが発表された。最新のハイテクムーブメントと衝撃を吸収する新構造も導入している。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/カシオ計算機お客様相談室 03-5334-4869
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。