お酒
フィネス&エレガンスが受け継がれる「長野メルロー2015」
[今週の家飲みワイン]
2018.06.15
日本のワインのでもなか高い評価を受けているぶどう品種のひとつがメルローだ。「メルローというぶどうは、それぞれの土地になじみやすい適応性の高さをもっています。日本のなかでも長野の土が合うんでしょうね。コンクールで賞を取るようなワインもメルローが多いですね。水に強い品種というか、日本のように降水量が多くても、華やかなオークの香りが出やすいんです。だからふくよかで厚みがあり、果実の甘みも十分に出ています。ブラックチェリーやプルーンなどの黒い果実の香り、また、カベルネ・ソーヴィニョンほど酸味やタンニンが強くなく、芳醇でまろやかかつ繊細といった、メルローとしての特徴がまったく欠けることなく表現されています」と大橋さん。
140年の歴史を有し、日本ワインの先駆けとして牽引してきたシャトー・メルシャンが自信をもってその品質を世に問うている一本だ。長野の標高の高いエリアで栽培されたメルローを使用しているため、甘みや果実味だけでなく、締まりがあるのが長野メルローの特徴でもある。シャトー・メルシャンがその長い歴史を通じて目指しているものが「フィネス&エレガンス」。つまり、調和の取れた上品な味わいということで、この一本はまさにそれを体現している。価格が張るのが国産ワインの難点であるが、こちらはこのクオリティーながら、3000円前後というのも実にうれしい点だ。
「国産ワインにおいてのフルボディーというと、ちょうどこの長野メルローあたりです。前回のガヤなどと比べると、いかに軽く飲みやすいかがわかります。ガッツリと焼いた肉や濃厚な煮込みには合いません。というか負けてしまいます。それよりも醤油との相性がよいので、うなぎのかば焼きに合わせるのもすてきです。すき焼きや肉じゃがにはもちろんいい。ワインの面白いところは、同じ品種でも、見事にテロワールを反映し、味わいや香りが変わるということ。そして、その土地の料理に必然性をもって合ってくるということなのです」。今年の丑(うし)の日には長野メルローとともに楽しんでみるのもいいだろう。
Photograph:Makiko Doi