旅と暮らし

オレゴンの大自然でラグジュアリーを堪能する
日本人がまだ知らないアメリカ/後編 マウントフッド~ポートランド

2018.11.21

オレゴンの大自然でラグジュアリーを堪能する<br>日本人がまだ知らないアメリカ/後編 マウントフッド~ポートランド

アメリカ西海岸に位置するオレゴン州。「全米でもっとも住みたい街」に選ばれたポートランドがあるこの地域は、西側は海、東側は雄大な山々があり、全域を通して森林や農場など大自然に恵まれた場所だ。多くの観光客を魅了してやまないオレゴン州には、日本人がまだ知らない魅力が数多く隠されている。

ウィラメットリバーでワイルド・アドベンチャー

オレゴン州には10の大きな川があり、そのなかに長さ301kmにおよぶ川、ウィラメットリバーがある。南のユージーンから北のポートランドを通りコロンビア川へとつながる、オレゴン西部を北流するこの川は、鮭やマス、季節によってはアシカにも出会うことができる。そして、大自然・オレゴンを満喫するなら、はずせないのがワイルド・アドベンチャーではないだろうか。

ポートランドから車で約30分南下したオレゴンシティーに、レンタルショップ「eNRCカヤッキング」がある。ここではカヤックのほかに、カヌー、ラフティング、スタンドアップ・パドルボードのレンタルとガイドをしている。カヤックは、初心者でも意外と簡単にできるのでトライしてみよう。

02Willamette Falls Kayakers
カヤックのほかにラフティングなども◎。夏ならスタンドアップ・パドルボードがスリリングで楽しい。

ガイドの手ほどきを受けながらカヤックを漕ぐこと数十分、2011年に閉鎖した歴史あるウィラメット・フォールズ・ロックを通過しつつ奥へ進むと、突如大量の水しぶきとともにウィラメット滝がお目見えする。水量でいうと全米2位になるというこの滝、近くで見るとその臨場感に圧倒される。

ウィラメット滝を遠くから眺められる展望台はあるのだが、近くで見るにはカヤックなどで近づくのが最良の手段だ。滝の水しぶきを直に浴びるのもワイルド・アドベンチャーの醍醐味。これぞ、魅惑のスポットと言われる所以なのであろう。

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    オレゴントレイルの最終地点に位置するトレイル蒸留所
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「eNRCカヤッキング」の近くには、「トレイル蒸留所(Trail Distilling)」があるので、帰りに立ち寄るのにおすすめだ。2016年にオープンしたここは、カスケード山脈から流れ落ちる氷河の水と自然収穫された穀物を用いたウィスキー、ヴォッカ、ラム、2種類のジンを手作り、販売している。

ラムやジンには14種類のハーブが入っており、ジンにいたってはユリ科の花「トリリウム」が使われており、オレゴン州で作られている蒸留酒のなかで最優秀賞も受賞している。カクテルとして飲むのもいいが、ストレートやロックで華やかな香りと深い味わいを楽しむにもぴったりな名品がそろう。

05Jonsrud Viewpoint Mt Hood Fall Season Sandy

オレゴン州のシンボル、マウントフッド

ポートランド市内から車で約90分、先述したオレゴンシティーから車で約60分山道を走行すると、標高3,429mの活火山であるマウントフッドが見えてくる。「オレゴンの富士山」とも呼ばれる美しいシルエットであるこの山は、同州で最も高く、また、オレゴンのシンボル的な存在だ。

5つスキー場があり、一年中スキーやスノーボードが楽しめて、夏にはキャンプ、釣り、ハイキング、マウンテンバイクでトレイルを楽しむ人々で大いに賑わっている。

スポーツやアウトドアを楽しむために訪れるのも最高なマウントフッドは、山を眺めるためだけでも行く価値大ありだ。というのも、マウントフッドの中腹には、1937年、フランクリン・ルーズベルト大統領の時代に大恐慌救済政策として、職人や芸術家を雇用して建築されたティンバーライン ロッジ(Timberline Lodge)」もあるから。

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    ティンバーライン ロッジの外観
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    中腹から見えるマウントフッド

その当時からずっと営業を続けているティンバーライン ロッジは、アメリカ合衆国の国定歴史建造物にも指定された建物で、映画『シャイニング』の舞台としも使われている。

すぐ側のスキー場へのアクセスがいいのはもちろん、館内のレストランやバーも人気だ。ホテルとしても利用でき、宿泊客は外のジャグジーやプールを利用できる。体を動かしたあとジャグジーに浸かり、湯上りは地元のビールやワインを楽しめるなんて、とても贅沢な時間だ。

さらにここからの景色が絶景! マウントフッドに次ぐ第二蜂のジェファーソン山まで見渡せる澄み切ったパノラマ。ぜひとも堪能あれ。

  • ティンバーロッジ
    巨大な暖炉がティンバーライン ロッジのシンボル
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    館内のレストラン「カスケード・ダイニングルーム」

旅の思い出をポートランドで締めくくる

オレゴン州は消費税がゼロなので、ショッピングをするのにももってこい。オレゴンの大自然を満喫したら、空港にも近いポートランドで、旅の思い出になるお土産を探してみよう。

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オロックス・レザーの店内

革製品ブランド「オロックス・レザー(Orox Leather)」は、古いレザープロダクツに造詣が深く、ディティールやパーツにもこだわったバッグなどがあり、地元の人々にも愛されている店だ。マルチネス一家が経営しており、メキシコ出身の創業者マーティン・マルティネスの父親であるホセ・マルティネスは、かつて栃木県の革を扱う企業に6年間勤めており、メキシコに戻り寿司屋を開業したが、息子のいるポートランドで革製品を作る職人になった。店内にあるカウンターは、じつは日本の寿司屋のカウンターをイメージしている。

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アメリカンレザーや、ウォータープルーフのワックスド・キャンバスを用いた機能的にもデザイン的にも優れた革製品がそろい、オレゴンで購入したワインを入れるのにぴったりなワインバッグは、ウォータープルーフなので氷を入れても問題なしだ。

  • カチカ
    ポートランドで人気のロシア料理店、カチカの店内
  • Herring under A Fur Coat
    手前が「Herring under A Fur Coat」

ポートランドにて、地元の人に人気の店でゴハンを食べたい、と思ったらここ「カチカ(KACHKA)」がおすすめ。ロシアからの移民の多いポートランドでは、本格ロシア料理を楽しめる。「Herring under A Fur Coat (毛皮のコートを着たニシン)」という名の7層になった一品は、いわゆるインスタ映えしつつ、味はさっぱりかつまろやかでおいしい。

全米でもトップレベルのロシア料理店だが価格はカジュアルなので、ショッピングの途中に立ち寄ってもらいたい。

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メイドヒア・ピーディーエックスの店内

「メイドヒア・ピーディーエックス(Made Here PDX)」はポートランド産だけを扱うセレクトショップ。チョコレートやお菓子、グラノーラ、調味料、コーヒー、食器、衣類、アクセサリー、ポストカード、キャンドル、ドッグウェアなど、あらゆるジャンルのデザイン性の高いアイテムがそろう。グラスの底が山の形状をしたマウンドフッドグラスは$50〜。日本に帰国してからも、使うたびに旅の余韻にひたれるだろう。

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問/eNRC カヤッキング/1701 Clackamette Dr Oregon City(+1 503-772-1122)、トレイル蒸留所/21553 S. Highway 213, Oregon City(+1 503-479-0003)、ティンバーライン ロッジ/27500 E Timberline Road, Government Camp(+1 503-272-3311)、オロックス・レザー/450 NW Couch. Portland(+1 503-954-2593)、カチカ/960 SE 11th Ave, Portland(+1 503-235-0059)、メイドヒア・ピーディーエックス/40 NW 10th Ave, Portland(+1 503-224-0122)

取材協力:トゥアラティンバレー・ワシントン郡観光局ポートランド観光協会デルタ航空

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Text : AERA STYLE MAGAZINE

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