旅と暮らし

すべて実食! 自慢の手土産。#10
「ヴォアラ」のシュトーレン

2018.12.03

写真・図版

慌ただしい年末に豊かな時間を贈る、ヨーロッパ伝統のお菓子。

12月に入り、今年も残りわずか、華やぐクリスマスシーズンも目前だ。こんな心ときめくシーズンには季節感を添えた手土産をセレクトしたい。そこでオススメしたいのが、焼き菓子の「シュトーレン」だ。この時期に多くの菓子店が販売を開始するが、白い砂糖をまとった外見は似ていても味わいは多種多様。ひとつひとつが個性豊かでオリジナリティーあふれるお菓子なのだ。

筆者の一押しは、オープンして33年、世田谷の名店「ヴォアラ」のシュトーレンだ。フランス菓子界の草分けと言われる、先代の棟田純一シェフの味を受け継ぐ、2代目棟田直樹シェフのシュトーレンも相変わらずの絶品。たっぷりとお酒を利かせた大人向けのものを出す店が多いなか、ヴォアラは家族みんなで楽しめる優しい味を目指す。そこには33年もの間、地域の人たちに愛されてきた店の特別な思いが詰まっているのだ。

例えば、なくてはならないラム酒漬けのレーズンも、ここではキャラメルで煮たものを使う。そこにたっぷりのクルミ、松の実、国産オレンジピールなどが入る。もうひとつ、桃のコンフィを加えるのがヴォアラ流。生地に溶け込み、一見入っていることすらわからないが、独特の風味とほんのりとした甘みをプラスしている。使用するエピス(ミックススパイス)とも好相性で、いまではなくてはならない材料のひとつなのだそう。

表面に刷毛で塗ることの多いバターも、ヴォアラでは焼き上ったケーキをグツグツの溶かしバターに漬けて、じっくりと染み込ませる。筆者のお気に入りの理由のひとつがこのバターのコクとしっとり感。ひと口食べるとまた今年も食べられてよかったと、しみじみと幸せな気持ちにさせてくれるのだ。

ヨーロッパではクリスマス前の4週間のアドベント(待降節)の間、シュトーレンを少しずつスライスして食べながら、家族みんなでクリスマスを待つのが伝統だ。そんなのどかな12月を夢見ながらも、実際は山積みの仕事でヤマ場を迎えているビジネスパーソンたちには、優しい味わいのシュトーレンを手土産にして、慌ただしい師走にほっとできるようなひと時を贈りたい。

写真・図版

世田谷洋菓子店 ヴォアラ(VOILA
東京都世田谷区桜丘3-27-4
営業時間/9:0020:0011日~4日は短縮)
定休日/無休
価格/小1,480円、大2,360円 ※写真は大。価格は税込み
問/03-3706-6662
https://www.patisserie-saint-honre.com/

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Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Keiko Katanozaka
Edit & Text:Mayo Morino

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